悪役令嬢も美少女戦士も俺が踏みつける! 竹馬闘戦伝!タケル
寿ん太
第1話 竹馬バトラータケル
888年に一度、選ばれし者だけが挑むことができる伝説の戦い――竹馬闘戦。
その頂点に立つ者は、あらゆる願いを叶える力を手にするという……。
予選最終戦。
円形の闘技場は熱気と緊張で包まれていた。観客の歓声がうねる。
竹重タケル、12歳。
バトラー歴はまだ10日しかない。
そんな彼が対峙するは、皇コンツェルンのエリート社員・山田。
彼の操る超科学竹馬は、IQ30万の人工知能で完璧に制御され、無慈悲な精度で攻撃を仕掛けてくる。
「来るぞ、タケル!」
冷静な声が響く。
声の主はタケルが駆る竹馬、天馬雷鳴号。天然の竹と科学を融合させた竹馬で、対話ができる学習型人工知能を持つ。
「よし、天馬! 俺に任せろ!」
タケルは息を整え、両足を通して感じる天馬雷鳴号に集中する。
シュッ!
山田の竹馬が鋭く踏み込む。高速の攻撃がタケルを狙う!
「うおっ!」
タケルは必死にバランスを取りながら、体をぐっとひねる。
天馬雷鳴号の蹄がギシッと軋み、土煙が上がった。
「まだだ、踏み込みが弱いぞ、タケル!」
天馬雷鳴号がタケルの拙い竹さばきをたしなめる。
「冷静に! 心を乱すな!」
「うるさい! わかってる!」
タケルは深く呼吸をし、集中を取り戻す。山田の動きを読み、チャンスを狙う。
「よし……今だ!」
タケルの声と共に、ドンッ!と竹馬同士が激しくぶつかり合う。
山田のバランスが崩れ、グラリと揺れて地面に倒れ込む。
「馬鹿な! IQは完璧なのに!?」
会場が一瞬静まり返り、その後に歓声が轟いた。
「やった……けど……」
タケルは安堵の笑みを浮かべながらも、表情はどこか曇っている。
「タケルーー!すごーい!」
サポート席の少女が叫ぶ。
彼女は小刻ユレル。
タケルの幼馴染みで、兄が天馬雷鳴号を開発したときにサポートした才女。天才だが感情が昂ると身体が小刻みに揺れるのが悩みだ。
バインバインとユレルが小刻みに揺れた。
その姿が会場の大型モニターに映し出される。
「おぉ~!」
会場の男たちが先ほどとは違う歓声を上げた。会場がうねりを上げる。
「ユレル、落ち着くウマ! ウマウマ!」
ユレルの肩にいる竹馬型ロボ、竹丸が慌てて注意する。
「ほんと揺れ過ぎだぜ、ユレル」
頬を赤らめるタケルだが、すぐにまだ表情が曇る。
「俺は……まだ神技を使えない……なんでだよ……!」
タケルのつぶやきを聞いた天馬雷鳴号が静かに諭す。
「焦るな、竹重タケル。神技は技術ではなく、八百万の神からの賜り物だ。君なら神に認められると私は信じている」
タケルは拳を握り締める。
「ありがとな。天馬。でも……俺はまだ弱い。兄さんの期待に応えられていない……」
ユレルが小刻みに震えながら近づき、タケルに声をかける。
「タケル……あなたならできるよ。私も信じてるから!」
小刻みに揺れながら、ユレルが微笑む。
「ありがとう、ユレル……でも、俺はもっと強くならなきゃ!」
竹丸が元気に「ウマ!」と喜びながら、タケルの肩に飛び移った。
「くすぐったいよ、竹丸」
「もう、ふたりとも落ち着きなさい! ……天馬雷鳴号、ラボに戻って戦闘データの解析とあなたの身体の修復をするわよ」
揺れが鎮まったユレルが天馬雷鳴号と歩き出した。
「次こそは兄さんが編み出した神技『天馬の蹄』、必ず使ってみせる! 神技が使えないままじゃ、この先の戦いは勝てない……」
熱い闘志を胸に、タケルはふたりの後を追う。
本戦まであと3日。
タケルは神技発動のきっかけを掴むことができるのだろか?
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