灼熱の終末クロニクル『灰燼のレクイエム』
常陸之介寛浩◆本能寺から始める信長との天
プロローグ:灰色の夜明け
2025年6月13日、23時12分。イスラエルのテルアビブで、サイレンが鳴り響いた。空を切り裂く閃光が、イラン中部のナタンズ核施設を襲った瞬間だった。コードネーム「オペレーション・サンダーボルト」――イスラエルの決断は、世界を一瞬で変えた。「――撃たれた! イランの報復ミサイルがエルサレムに!」
軍事衛星の映像を映すモニターの前で、作戦司令官が叫んだ。だが、その声は、遠くで炸裂する爆音にかき消された。極超音速ミサイル「ホラムシャフル-IV」がエルサレムの聖堂を灰に変え、戦争の火蓋が切られた。17歳のハルは、東京の自宅でそのニュースを見ていた。画面には、燃える中東の映像と、緊迫したアナウンサーの声。「…両国の衝突が拡大し、ロシアとNATOが動く可能性が…」 彼はため息をつき、リモコンを置いた。「またかよ…戦争なんて、俺らには関係ねえだろ。」その夜、ハルは奇妙な夢を見た。燃える空の下、赤髪の少女が彼に手を伸ばし、「まだ間に合う」と呟く。目を覚ますと、窓の外で爆発音が響いていた。カーテンを開けると、遠くの空に核のキノコ雲が立ち昇り、ドローンが無秩序に飛び交っていた。「…何!?」
ハルが立ち上がった瞬間、ドアが開き、煤まみれの少女が入ってきた。長い赤髪と、緑の光を放つナノスーツを身にまとった彼女――ミナミだった。「ハル、急いで! 東京も戦場になった。イランのAI兵器『オラクル・コア』が暴走して、世界が…終わりに近づいてる。」
彼女の言葉に、ハルは凍りついた。だが、ミナミは彼の手を掴み、力強く言った。「君にしかできないことがある。シベリアの廃基地に行けば、希望が残ってる。信じて。」外では、核の炎が夜空を染め、文明の終焉が始まっていた。ハルは震える声で呟いた。「…俺に、できるのか?」
ミナミは微笑み、答えた。「できるよ。君がいてくれるなら。」その瞬間、遠くで新たな爆発が響き、プロローグは終わりを迎えた。だが、物語はまだ始まったばかりだった。
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