第14話「神喰いの剣、魔喰いの意志」



──金属と金属がぶつかる、澄んだ一撃音が、旧通路に響き渡った。


水瀬 悠と《神喰い》ゼノ――

二人の剣が、ただ一撃で周囲の空気を変えた。


「……クク。おもしれぇ。魔剣の癖に、俺の剣を受け止めるとはな」


ゼノの背にある巨大な剣――それは“斬る”というより、“断つ”ためのものだった。

封じられた神性を喰らい続けたというその刀身は、悠の魔剣グリムを押し返す。


《キタナ……クサイ……シンダ、チカラ……ニクイ、オトコ……!》


「吠えるな、魔剣。お前も俺が“処理”してやるよ」


ゼノの足が地を蹴る。

次の瞬間、悠の視界からその姿が消えた――!


「悠、右だッ!」

拓海の叫びと共に、悠はグリムを薙ぎ払う。


ギィィィィンッ!!


ギリギリで受け止めたゼノの一撃は、地面を裂き、岩盤を吹き飛ばすほどの威力。

だが、悠はその衝撃を“利用”して距離を取る。


(ヤバい。……こいつ、“動き”が読めねぇ!)


──それでも、悠の瞳は研ぎ澄まされていく。

スキル《無限成長》──その第三段階戦術理解が、戦闘中に次なる段階へと“進化”を始めていた。


《ユウ……キヅク。ソノ、ミ、オボエル。ソノ、テ……マネロ……!》


「……見えた」


再び向かってくるゼノの踏み込み。

悠は、わずかに“タイミング”をずらして――


「受け流す!」


ゼノの刃が、空を裂く。悠はその隙を突き、グリムを“逆手”に構えた。


「喰らえッ!!」


ズンッ!!


グリムの一閃が、ゼノの左肩を切り裂く。

血飛沫が舞い、ゼノが初めて後退した。


「……クッ。見事だよ、“異常個体”」


それは皮肉でも、怒りでもなく、純粋な賛辞だった。


「……だが」


ゼノの瞳が、夜闇のように濁る。


「俺もまだ、本気じゃねぇんだ」


彼の背の剣が――“もう一本”現れる。

それは禍々しい黒刃。神の死骸から鍛えられた、封呪兵器。


第二神剣デス・ロア。……お前とその魔剣ごと、神域ごと焼き尽くす」



──同時刻・拠点側通路。


「まずい、悠が――!」


拓海が走り出そうとするのを、イルゼが制する。


「だめ。ゼノが“それ”を抜いたら、普通の人間じゃ近づくことすらできない」


「でも――!」


「信じて。彼は今、自分を超えようとしている。

“神喰い”の剣に対抗できるのは……“魔喰い”の意志だけよ」


瑠璃が祈るように手を握る。


(悠……あなたなら、きっと超えられる)



──対峙する二人の剣士。


「殺し合いの中にしか、正義はねぇ。俺は、そうやって育った」


「……だったら俺は、そんな正義をぶっ壊す側になる」


《イクゾ、ユウ。オマエ、コロサレナイ。グリム、タベル。ゼンブ、タベル!》


ゼノと悠、神と魔を喰らう二本の剣が、再び衝突する――!


(第15話へつづく)

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