第40話 ココノとヤッたら終……わらない⁉

 それから数日、俺たちは結構ドタバタしていた。


 アムハヤ様が死霊にとり憑かれていた事件は、カムンコタンで騒ぎとなった。

 事情を知る者が俺たちだけだったのもあり、いろいろと問い詰められて混乱も起きたが、手の平サイズ化したアムハヤ様が一喝した。


『みんな、なかよーなー』


 威厳ゼロ。可愛い声のアムハヤ様に、町の人たちはひれ伏した。


 偽霊ぎれいジャンガジャンガが討伐されたことで精霊ホッコロも元気を取り戻したようで、彼らも最悪はまぬがれたとわかったら一応落ち着いた。


 それでどうして、とり憑かれたのかだが。


『ぐっすり寝てたらな。とり憑かれてもうてんー』


 アムハヤ様は呑気に言った。

 隙の多さが原因だったらしい。厄介な。


 ただ降臨祀のときぐらいしか旧カムンコタンに参らなかったせいで、厄介な死霊がやってきたのなら、アムハヤ様に責任を押しつけるわけにもいかないだろう。霊たちに安らかに眠ってもらうためにも、これからはもっと先祖参りするとのことだ。


 ちなみに、厄介クソ鎧とはお別れずみ。


 あの厄介、あいかわずちょっと下品な行動をとるたけで重くなりやがる。

 ちょっとしたひと悶着あったがご退場いただいた。まあこれは一旦置く。ちょっとしたひと悶着の話はちゃんとする。


 ココノについてだが。


 陰姫に覚醒したココノは、旧カムンコタンの死霊の声を聞いたあと鎮魂の舞を踊った。ジャンガジャンガに無理やり従わされていた死霊は傷が癒されたかのように、静かに消えていった。


 そして肝心のところなのだが。


『うちー、修行の旅にでるねー』


 ココノは陰姫の力を扱えるようになるため、世界を回ると言ったのだ。


 亜種とはいえ舞姫。

 町の人は反対する者も多かったが、本人の決意が固かったのもあり、旅を認めた。自分の意思をとおそうとしたココノに、驚いていたようにも見える。ま、反対されても旅立ったろうな。


 わだかまりは時間が解決するかもしれないし、しないかもしれない。

 彼女の傷がいつか癒されると信じよう。


 と他人事のように言ったが、俺たちの仲間になりました。

 反対なんてするわけがない。そうさ、俺たちはもう仲間だ!


 交易都市グランニュールの冒険宿。

 夜はとっくに更けている。久々に帰ってきた自分の部屋は、ランプの灯りぐらいでうす暗い。


 俺のベッドのうえでは、仲間になったココノが脱力したように横になって、頬を染めながら女の子の匂いを放っていた。


「このベッド……ハルヤさんの匂いがするぅ……♥」


 健気でドエロイことを言いながら、ココノは白魚のような手を服の股下にすべらせて、肩をゆらす。俺はベッドに座りながらソレを見守っていた。


「ぁぅ……♥ ハルヤさん……まだー……見ててね……♥」

「ああ‼ 俺たちは仲間だからな! ずっと見ているぞ‼」

「嬉しいー……♥ はぅー……♥」


 俺の視線だけで感じたのか肩を丸め、ココノは幸せそうに頬をほころばせた。


 無垢少女ー、俺に見られてー、オ〇ふけるー。

 いとおかし! いとおかし! いとおかし!


「あぅ…♥ ん……っ♥ ハルヤさん……ごめんねー……」

「なにを謝ることがあるんだい?」


 超いい声でたずねた。


「だって忙しいのに……うちに付き合ってもらって……申し訳なくて……」

「ココノのオ〇ニーを見たいといったのは俺さ! いくらでも見るさ! だって仲間だからな!」

「あり、がとうぅ……♥ んんっ……お腹、気持ち、いい……♥」


 ココノは俺に見つめられながらのオ〇ニーを再開した。彼女の胸がふくらんではしぼむ。快感と呼吸が連動しているのがよくわかった。


 ココノは、見られながらオ〇ニーを高度なプレイだとは思っていない。

 極ありふれた一般オ〇ニーだと思っている。

 

 そう、だいたい俺のせいさ‼

 ふふふ……ふふふふ! 無垢で無知な少女が、自分のせいで染まる感覚‼

 これはたしかに……いとおかし! いとおかし! いとおかし!


「はぁー……♥ はぁー……♥」


 ココノの吐き出す息が熱を帯びる。

 身体の火照りを持て余しているようだ。今すぐ手を出したいが、俺を信じている子を穢すわけにはいかないな。


「ぁぅー……♥ ハルヤさんに見られながらするのが一番気持ちいい……♥」

「…………具体的には、どんな感じでっしゃろ?」

「見られるとねー……お腹の下側が、すっごく熱くなるの……♥ ハルヤさんにね……すごく触れたくなるー……♥」


 ココノは俺のモノを求めるよう、上目遣いで見つめてきた。


 先っちょだけならいいのでは?

 ホント先っちょだけならいいのでは???


 い、いや、こんないい子を穢すわけには……っ。


「ハルヤ、さぁん……♥ どんどん気持ちよくなるよぅ……♥」


 ココノは俺の太ももに身体を寄せてきた。表情を隠すように顔を押し当てて、かっかっと熱い体温を感じさせながら肩を小刻みにゆすっている。


 息が途切れ途切れになったココノは、そうして「きちゃぅ……♥」と言って、ビクンと跳ねた。


「あっーーーー…………♥」


 ココノは小さく震えつつ、俺の匂いを嗅ぐよう、さらに顔を押しつけてきた。

 なにもわかってない少女の本能による行為。俺からいつか旅立つであろうココノは、ひたすらに性をむさぼっていた。


 いつか彼女は花を散らすだろう。

 だがそれは今日であっていいし、俺相手でもいいのでは?


 そう、あくまでオ○ニーの名目でならいけなくね???

 たとえばだが。


『ハ、ハルヤさん、これ本当にオナ〇ーなのー? やっ♥』

『ああ、まごうことなくオナ〇ーさ! お互いにお互いに慰めあう、高度なオ〇ニーだ! はたしてココノのは最後までオナ〇ーできるかな⁉』

『う、うんー♥ うち……がんばるよー♥』

 

 なら大丈夫だと思う! なにが大丈夫かはわからんが!


 あとあと! 初めて相互オナ〇ーにしたときは、ココノに意味がわからずとも『童貞卒業おめでとうございます♥』って言ってもらいたいなー! なにせ童貞こじらせ男子が一番言われたい台詞(俺調べ。調査対象、俺のみ)だからなー!


 俺が相互オ〇ニーにもっていけないものか考えていると、ココノが顔をあげた。 


「ハルヤさんもしたいのー……?」

「ん?」

「今度はうちが……見てあげるよー……?♥」


 ココノは女の表情で見つめてくる。

 無意識なのだろう、俺の股間のふくらんだ一部分をその細い指でズボンのうえからなぞってきた。


 いとおかし! いとおかし! いとおかし‼


「きゃっ」


 俺はココノを抱きかかえて、ベッドのうえに改めて横にさせる。

 彼女におおいかぶさるように座りなおし、わけがわかっていない表情、でも顔が真っ赤なココノを見つめた。


 今なら障害はない! こんな都合のいい状況、みすみす見逃すわけないわ!

 ふははははははは! そう自分に都合が……よすぎるよな???


「? ハルヤさん?」


 俺の人生はいつだってそうだ。

 ここぞというときになにかが起きる。


 俺の人生はいつも抜刀ばかり。抜刀抜刀抜刀抜刀抜刀で、いつだって納刀ができない。無駄撃ちと刀のぬぐい紙だけが増えるだけで、オナ〇ー信者と呼ばれてもおかしくない。


 本当に障害はないのか、改めてココノに問う。


「ココノ、陰姫になって体調はどうだ?」

「うち? うちは特に変わらないよー」

「力の制御はできているな? 暴発することはないな?」

「うんー、元々陰気質だったし、困ることはないよー。あ、でも――」

「やっぱりなにかあるのか⁉⁉⁉」


 なにかあるんだな⁉⁉⁉

 なにかあってしまうのか⁉⁉⁉


 俺が泣きそうになりながら問うと、ココノはびっくりしたように目を大きくした。どういえばいいのか困っている様子で、目を泳がせている。


「え、えーっとね、うちじゃなくて周りが……」

「――兄さん、兄さん、忠告しておくでー」


 間のぬけた声が、俺の隣から聞こえてきた。


 小さな龍……アムハヤ様が眠そうに浮かんでいた。

 ココノが笑顔で「アムハヤ様ー」と手をふっている。そうなんだよな、ココノについてきたんだよな……この龍。


 俺は恨みがましい瞳を送る。


「アムハヤ……様……あなたがですか」

「いやいや、わしは邪魔せんよ。自由にしんさいな……ただなー」

「ただ?」

「ちょっとこっちにおいで、兄さん」


 俺はアムハヤ様に連れられて、重い足取りで窓まで向かう。

 窓からのぞける交易都市グランニュールは、夜でも比較的明るい。色町の方角は鮮やかな光を放っていた。


「ん? いつもより暗いよーな?」


 今日はいつになく暗い気がする。

 町の光、というか冒険宿の周りだけ光が消えているような。空気も冷たいし、なんだか霧もでているよーな……。


「ぁ」


 俺はそこで気づいた。


 窓の外で、死霊たちがチラホラとこっちの様子をうかがっている。精霊ホッコロもいるようで、魔導街灯にぶら下がったりしていた。


 呼吸停止した俺に、アムハヤ様が告げる。


「ココノの優しさに、霊がえらく心を打たれたようでな」

「そう……」

「なんでも『ココノちゃんの純真見守りたい隊』を結成したみたいでな」

「そっかぁ…………」

「まあなんや、ココノを本当のお姫様みたいに扱っとるから、きーつけたほうがええで兄さん」


 カリカリと窓を削るような音がする。

 窓ガラスに血文字で『本番行為禁止』と描かれた。


 陰姫サークルができあがっている……。いろんな意味で恐怖体験を味わっている俺はゆっくりとココノにふりかえる。


「えへへー?」


 よくわからずも幸せそうに笑う姿は、前世では見られなかったもの。

 それがあんまにも魅力的過ぎて、生殺し過ぎた。


「……いとおかしい!」

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