いまいち レストラン!~クセ強店員だらけの飲食店で働くことになってしまった件~

八木崎

1話

今日が初出勤! 私、頑張ります!



「今日からお世話になります、諏訪千佳すわちかです! よろしくお願いします!」


 店内のバックヤードにある休憩室にて。私――諏訪千佳すわちかは新品の白と黒を基調としたエプロンドレスに身を包み、目の前にいる相手に向けてそう告げた後、深々とお辞儀をした。

 少し前に高校を卒業をして、大学に入ったばかりの私にとって、初めてのアルバイトだ。正直、すごく緊張する。けど、やるからには精一杯頑張らないと。


 ……ん? どうしてアルバイトをしようと思ったのかですって? そんなの決まってます。単純明快、お金が欲しいから。

 まあ、遊びに使うお金が欲しい……というよりかは、少しでも学費の足しになれば良いなって考えかな。あと、バイトをすることで社会経験にもなるしね。


 ちなみに私が働くことになった職場はというと、全国規模で店舗を展開している大手ファミリーレストランのチェーン店。

 通称は『ソコイチ』と呼ばれていて、老若男女問わず多くの客で賑わっている人気店だ。


 特に価格設定は安めであり、それでいて味も良いということで、懐事情の厳しい学生にはとても助かる場所だったりする。

 私も高校生の頃は、よく友達と利用させてもらっていたものだ。価格の安いポテトとかドリンクバーで、長々と居座りながらゲームをしたり、雑談していたっけ。


 そんな感じで馴染みがあるし、家から近場ということもあり、私はこの場所で働くことを選んだという訳なのです。そして今日が初となる仕事日となっている。


「おー、元気が良さそうだなぁ」


 そして気だるげそうな声を出しながら返事をしたのが、今回私が働くことになった店舗の店長である。

 年齢は30代ぐらいだろうか。どこかやる気を感じない三白眼の瞳が特徴的だ。


 適度な長さの髪をオールバックにして纏めており、所々に剃り残しがある無精髭を生やしている。

 そして着ている制服はくたびれていて、なんとも締まりがないように見えてしまう。


 飲食店なのに、それは大丈夫なんだろうか? 正直あまり清潔感が感じられないような印象を受ける。


「あっ、そうそう。俺は店長の遊佐ゆさだ。ちなみにフルネームは遊佐誠司ゆさせいじ。まぁ、よろしく」


「は、はいっ! よろしくお願いします!」


「それでだけど、えーっと……諏訪さん、だったか? 君、歳はいくつなんだ?」


「歳ですか? 一応、今年で19歳になりますけど……」


「おっ、若くていいねぇ。俺なんて今年で38だよ。もう十分にオッサンだわ」


「……え、あ、はい。そうなんですか」


 突然そんなことを言われたので、私はどう反応して良いか分からず、とりあえず相槌を打っておくことにした。

 すると、店長は頭を掻いて面倒臭そうに言う。


「まぁ、そういうことだからさ。君のような若い力で、俺の分まで頑張ってもらいたいもんだね」


「は、はぁ……」


「という訳で、諏訪さん。新人だからって臆することなく、今日から一戦力としてよろしく頼むな」


「え、えぇっ!?」


 それが普通だぞ、みたいな感じにそう言ってくる店長に対し、思わず驚いてしまう私。


 いや、ちょっと待って欲しいんだけど。店長はこの入りたての新人の私に一体、何を期待しているのだろうか。

 というか、そもそも……今日が人生で初めてのバイトだから、右も左も、何も分からないんですけど……。


「い、一戦力って……その、まだ今日が初日なんですが……」


「ん? 知ってるけど?」


「ですので、えっと……いきなりそんなこと言われても困りますよ。私、まだ全然何も出来ないですし……」


「あー、そういうのはいいから。まずは何事にも、トライする精神が大事だと思うぞ」


「いや、でも……」


「まぁ、別に失敗してもいいわけよ。人間誰でも最初は初心者なんだし、気楽に取り組んでくれればいいさ」


「け、けど……それってあまりにも無責任なんじゃ……?」


「ああ、大丈夫だって。それにいざとなれば、誰かがフォローするからさ」


「……」


 店長の雑な説明を受けて、軽く絶望感を抱いてしまう。

 えっと……私、これからちゃんとやっていけるのだろうか、本当に不安しかないんですが。


「それにな。初日だろうが来店するお客さんからすれば、新人とか関係無く、君はただの働くスタッフの一員に過ぎんだろう」


「いや、そうかもしれませんけど……」


「なら、他のスタッフに負けないぐらい、君も頑張って働かないとな。とにかく、早く一人前になれるように頑張ってくれよ」


 そう言って激励する感じにポンッと肩を叩いてくる店長。


「あ、はい……頑張ります……」


「ん? 覇気が感じないぞ。最初の元気はどうしたんだ?」


「え、えーっと……」


「という訳で、もっと元気良く、声出していこう」


「が、頑張ります!」


 そうして半ば強引に押し切られる形で、私の初勤務が始まるのであった。










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