⑭ 血戦と、再会ー①【†】
——
待ち合わせの場所に、十一人は再び集まった。
だが、そこに立つ者たちの表情は、出発時とは明らかに異なっている。
最年少の
「……ごめんなさい……俺、たぶん感染してます……俺のせいで、
その肩に手を添えたのは、先輩の
「……違う、お前のせいじゃない。俺は、自分の判断で助けに入った。だから……俺の責任だ」
そう言いながら、透夜先輩の顔色は真っ青だった。
そこへ、走って戻ってきた俺、
息を切らしながら、状況を察した
「……俺と
疲労と恐怖、そしてそのさらに上を行く——“絶望”。
沈黙が、どうしようもない現実を突きつけてくるようだった。
*
——時は二時間前へと
突入した十一人は、静まり返った区役所のロビーに足を踏み入れていた。
そこはもう、“行政機関”だった頃の面影すらない、ただの
ガラス片が散らばる無人の空間。人気はない。音もない。
十一人は、慎重に歩を進める。
廊下には、誰かの吐息すら響きそうなほどの緊張が
——パキィッ
先頭を行く
その瞬間だった。
「出たっ!来ます!!」
次の瞬間。
音もなく、その人影は異常な速度で
見た目は普通の人間と変わらない。
だがその目は
「武器持て!やるぞ!」
「こ、こいつら、感染エコーか……っ、動きが速ぇ!」
近づいた
「っ……ダメだ、刺せねぇ……!」
つい昨日まで、ここで働き、誰かと笑いあっていた人間だ。
その相手に、刃を突き立てることができなかった。
だが、その迷いが命取りになる。
「ここから離れろ!絶対一人にはなるな!複数で動け!」
「ぐっ……あぁっ!!」
「青空!!」
その瞬間、俺は駆け出していた。
その速度で世界から音と色が一瞬消える。
——
脳の処理速度が跳ね上がり、周囲の動きがスローモーションのように変わる。
エコーの攻撃動作を読み切り、寸前でその前に割り込むと、反射的に手のひらを突き出した。
「
目に見えない衝撃波を展開し、迫る感染エコーの攻撃を弾き返す。
跳ね飛ばされた敵が床を転がる。
すぐさま
「大丈夫、今治す。……
痛みが引くのと同時に、
「……
背後では先輩たちがスパナやドライバーで感染エコーに立ち向かっていた。
しかし、何度殴りつけても、倒れたエコーはすぐ立ち上がり、襲いかかってくる。
「くそっ、だめだ!スパナが曲がった!これじゃ戦えねえ!」
「全力で殴れねぇし!こんなんでどうしろってんだよ!」
俺は戦線へと戻り、再び能力を発動させた。
「
手のひらから圧縮された空気の衝撃波が”感染エコー”を
だが、後ろから別の”感染エコー”が迫るのを、感じ取る。
振り返るより早く足を踏み込み、腰を沈めた。
振り下ろされた敵の腕を
「——っらぁ!!」
回転の勢いを殺さずに敵の胸元へ
すかさず体を沈め、前傾姿勢から
骨の
少し離れた場所で、
「真尋、大丈夫か!?動けるか?」
その瞬間、エコーが二人に襲いかかる。
俺は即座に反応し、二人を
「
再び展開された防壁が敵を押し戻す。
「
彼女の膝に手を当てると、光が傷を塞いでいく。
この戦いの目的は、内部確認と生存者の
だが、いまだ“感染していない人間”には、一人として出会っていない。
任務は完了していない。戦いは、まだ終わらない。
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