非業の魔王様は、ただ残酷に愛したい。〜平凡なお兄ちゃんですが、せっかく生き返ったので最強で可愛い兄妹たちのために何度でも頑張ろうと思います〜

@ymns_1892

第一章 非業の魔王の帰還──ルーランド王国の謀略編

第0話 少年のエピローグ

 もう随分と長いこと、考えている気がする。もし、自分の死に際に、誰かが泣いてくれたなら──それだけで、その死にゆく魂は、報われたと言えるのだろうか。そんなことを、もうずっと。果てなく長い時間をかけて。


 誰かが泣いている。


 小さな手。小さな背中。熱を帯びた涙……。それがいったい誰のものなのか、大切なもののはずなのに、何故だか、すぐに思い出すことができなかった。俺はこの自分自身が、何処にいて、誰なのかすら思い出せずにいた。


 けれど、俺の名を呼びかける声が、その答えの全てを教えてくれた。そう、俺の名を呼び、俺のために泣いてくれるのは、あいつらしかいないのだ。


 しかし、どのような顔で、どのような声で、どのような言葉で、俺はそれに応えたのだろう? だが、考える時間は残されていない。もうその時間が来たようだった。そんな問いも、やがて、全てが遠ざかる。声も涙も、痛みも嘆きも、温もりも愛情も、その全てが一様に遠ざかってゆく──。



 そう、俺、アッシュ・グエン・ローリーは死んだのだ。

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