閑話 オルトン壊滅の後
= side サーシャ =
「オルトンの難民は一時的に王城の空き部屋に入ってもらいなさい」
「かしこまりました」
ここ最近、私はかなり忙しい日々を送っていた。
事の発端は3日前に北の商業都市であるオルトンが壊滅したというニュースが入ったことだ。
オルトンはフェーベ帝国との国境から100kmほどの街であり、もし侵攻が来れば早い段階で狙われることは確実だった。
そのため、最初は侵攻されたのではないかと思った。
しかし、敵がオルトンまで行くまでにかなり大規模な基地がある。
一都市を壊滅させられる規模の軍を見逃すはずがない。
では、オルトンはなぜ壊滅したのか。
自然災害や現地兵の反乱など、様々な原因を考えたが、ある一つの報告によって思いもよらないものに行き着いた。
「オルトンの守護者がいなくなってる?」
「はい。龍がいた遺跡はもぬけのからになっていました。また、地下遺跡の天井に大穴が空いております」
龍が封印から解かれて街に飛んでいったのだろうか。それならばオルトンが壊滅したのも理解できる。
「つまり、龍が街を襲ったと」
「いえ、それがそうとも言い切れないのです」
「え?」
龍でないなら他に何がやったというのだろうか。
「実は、遺跡の中に超高濃度の魔素が充満しているらしく、何者かが龍を遺跡で倒した可能性が高いのです」
「超高濃度って…。それは大丈夫なの?」
「いえ。あまりにも魔素濃度が高すぎるために、クラス3上位でやっと立てるレベルだそうです。遺跡に入った調査隊のうち隊長であったクラス3.2の者以外が入った瞬間に肉体が爆散したという報告もあります」
結局振り出しに戻ってしまった。
だが、そう思っていた時に突如扉が開かれた。
入ってきたのは初老の男、軍務大臣のラダスであった。
「サーシャ王女。緊急の報告です」
「何が起きたの?」
「はい。オルトンにいた騎士より情報を入手しました。彼らは邪賢者と交戦したそうです」
「なんですって?」
まさか…邪賢者がやったの!?
「さらに、2人の召喚者が連れ去られたとも供述しております。おそらく当時オルトンにいた召喚者だと思われますが」
「たしか、オルトンに剣聖ともう1人に向かわせていたはずよ。まさか、剣聖が」
「おそらくそうでしょう」
たしか剣聖の女…ユイは邪賢者と幼馴染であったはず。それに邪賢者は逃亡前に彼女に話をすると伝えていたと聞いていたけど、まさか連れ去るとは。
(戦争になるわね)
「サーシャ様。どうされますか?」
「そうね。とりあえず国境の監視を強化しなさい。それと、北部の基地に第1魔法師師団を配置して」
「第1魔法師師団ですか!?南の戦線が壊滅する恐れがありますよ!」
「代わりに第3魔法師師団を南に送りなさい。強化兵を与えてあるからすぐに終わるでしょう」
ラダスは渋い顔をしていたが、仲の悪い第2と第3をセットにするわけにはいかない。
そのことを伝えるとそれ以上何も言わなくなった。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
かなり早い展開となってしまいましたが、第2章はここで終わりとなります。
第3章はしばらくしてから投稿をしたいと思います。
今度こそ毎日投稿したいですね。
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よろしくお願いします。
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