作戦会議
「作戦会議を行う」
駄菓子屋のテーブル席に着くなり、友達の発子ちゃんがそんなことを言い始めました。
どうも中です。只今、仲良し女子三人組で駄菓子屋にて買い食い中なのですが、発子ちゃんの作戦会議というのが小林先生のことだということは分かっていました。
「作戦の議題は小林先生と、どうやって仲良くなるかです。何か意見のある人は挙手で答えて下さい」
発子ちゃんは仕切りたがりなので、こんなことを毎回しているのですが、今回は議題が良いですね。私も小林先生と仲良くなりたいです。
「は、はい」
「はいシロちゃん、何かありますか?」
大人しいシロちゃんが手を上げるとは、やっぱり誰しも小林先生と仲良くなりたいんですね。小林先生は私達と距離を取りますが、カッコ良いし可愛いし、意外と生徒思いなので、私達クラスメート達の評価は高いのです。
「えーっと、参考になるか分からないけど、先生この間、歌を歌ってたよ」
「ほぅ、それはどんな歌ですか?」
「うーんとね、英語の歌詞だったヒーケイムトゥ―アスフロムアスターって」
「ほほぅ、中ちゃん翻訳よろ」
「えー、なんで私が」
発子ちゃんの仕切りたがりにも困ったものです。渋々ですが、私はスマホを取り出して歌詞の意味を検索してみました。
「”彼は遠くの星からやって来た”だって、どういう意味の歌詞なんだろう?」
「星の王子様的な歌なのかな?」
「謎は深まるばかりですね、小林先生はミステリアス。他に何か情報はありますか?」
いつの間にか仲良くなるから、小林先生の情報交換会みたいになってしまっているんですが、まぁ気にしないことにしました。
「中ちゃん何かありませんか?」
急かすのはやめて欲しいですが、情報が無いこともありませんでした。
「この間、旧校舎の草むらのところで小林先生が腰を落として正拳突きの練習してたよ。凄くカッコ良かった」
「えぇ、ズルい。私も見たかった‼」
急に議長キャラを忘れて素に戻る発子ちゃん。シロちゃんも「羨ましいな」とポツリと呟きました。みんな本当に小林先生のこと好きだな。
小林先生は空手を習っていると聞いてはいましたが、人気の無い所で練習する程にストイックだとは知りませんでした。見れたのはラッキーと言わざるを得ないでしょう。
とここでシロちゃんが発言します。
「先生の宿題プリントに描いてる猫ちゃん可愛いよね」
『分かる‼』
思わず発子ちゃんとユニゾンしてしまいましたが、小林先生は宿題の数学のプリントを自分で作っており、その中で問題の解き方を教えてくれる猫、ヒント猫というキャラクターが出てくるのです。「ここはこの公式を当てはめるのニャ」等と可愛く教えてくれるので、宿題の苦痛を和らげることが出来ます。
「先生のオリキャラなのかな?可愛いよね」
「この間、先生の声でヒント猫のアフレコしてみたけど、萌えすぎて悶絶したよ」
「先生可愛いよね♪」
皆でニコニコしながら小林先生のことを語り合う、これも一種の青春なのかもしれませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます