第17話:告発と、手を取り合う日

王都の広場は、まるで息をひそめたような緊張感に包まれていた。


 だがその中を、二人の姿が歩いていく。


 


 レティシアと、王太子ライナルト。


 静かに、けれど力強く歩くその姿に、民たちがざわめき始める。


 


 「……あれは王子?」「妃殿下と一緒に……?」


 


 レティシアは一歩足を止める。


 そして、ライナルトの手を取った。


 


 その手は、王子のものではなかった。

 傀儡のものでもなかった。


 


 ひとりの男として――この国を生きようとする人間の手だった。


 


 「……みなさん」


 


 レティシアの声が、広場の空気を裂いた。


 


 「私たちは、真実を届けに来ました」


 


 その瞬間、民たちが一斉に押し寄せるように集まりはじめた。


 王宮の前、石畳の上に広がる群衆――


 


 その中心に立つふたりを、誰も止められなかった。


 


* * *


 


 王宮の玉座――その上で、王はのんびりと笑っていた。


 


 「……何を言おうと無駄だ」


 


 記録を突きつけられても、証人が名乗り出ても、王はすべてを“作り話”として切り捨てる。


 


 「で、それがどうした?」


 


 笑っていた。


 まるで、すべてが“戯言”であるかのように。


 


 レティシアの手が震える。


 


 だが、その手をライナルトがそっと握る。


 


 「大丈夫。俺たちは……もう、前を向いてる」


 


 群衆の中から、誰かが声を上げた。


 


 「……私の村では、三重に課税されている!」


 「うちの父は、不正を告発しようとして、事故に見せかけて殺された!」


 


 怒りの声が連鎖する。


 それは“民の声”だった。


 


 静かに、しかし止められない勢いで――民たちの怒りが爆発し始めた。


 


 「王の退位を求める!」


 「民を苦しめる者に、玉座の資格はない!」


 


 誰かが叫んだ。


 誰かが立ち上がった。


 誰かが、手を伸ばした。


 


 そのすべての中心で、レティシアとライナルトは――ただ、手を取り合っていた。


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