暴言クソ野郎に婚約を申し込まれている? らしいので、暴言を返すことにした

月白ヤトヒコ

わたしは、嫌いなモノとはなるべくなら関わり合いになりたくない。


 ※タイトルの通り、主人公が暴言を返します。


 ※人によっては親子関係の地雷あり。


――――――――



 わたしは、嫌いなモノとはなるべくなら関わり合いになりたくない。


 そういう性格をしている。冷めていて可愛げが無い、ともよく言われる。


 だというのに、わたしが廊下を歩いていると・・・


「おい、ブス! お前、ブスのクセに道の真ん中を通りやがって、目障りなんだよ。さっさと退け! 不細工はもっと端に行け!」


 ニヤニヤした顔の少年が、わざとわたしの肩にぶつかって来て言った。


 廊下は数人が通れるくらいの幅があって、混んではいない。だというのに、明らかにわざとぶつけられた肩が痛む。もしかしたら、また痣になっているかもしれない。後で保健室に行って、ちゃんと確認・・しなきゃ。


「っ……」


 痛む肩に顔をしかめて通り過ぎようとしたら、


「お前、俺にぶつかったクセになんにも言わないのかよ?」


 またもやニヤニヤした顔が言った。


 さっさと退けと言ったクセに、こうやって絡んで来る。本当に意味がわからない。


 ニヤニヤした顔が気持ち悪い。


 中等部に入学した頃から、こうだ。わたしのなにが気に食わないのか、毎度毎度顔を合わせる……というか、向こうがわたしを見掛ける度、こうやって一方的に嫌がらせをされる。


 言葉を返したりリアクションを返すと余計に面倒なことになるので、無視を決め込む。


 以前に言い返した際は、突き飛ばされて怪我をした。転んで膝を擦り剥いて血が出た。それを見たこのクソガキが真っ青になり、無理矢理保健室に連れて行かれた。


 さすがに流血沙汰はまずいと思ったのか、保健室に向かう途中、自分が怪我をさせたことは黙っていろと口止めをされた。


 しかも、自分で怪我をさせたクセに謝りもせず、「お前みたいな地味女を、わざわざ保健室へ連れて行ってやったんだから、俺に感謝しろよな」だとか、宣われた。


 厚顔無恥で恩着せがましいクソ野郎だと思った。誰が感謝するか。


 それからは、流血するような怪我はさせられてはいない。打撲や痣などの生傷は絶えないけど。


 一度、親に怪我をさせられたことを言った。けれど、わたしの話をおざなりに聞いて、「お友達と仲がいいのはわかるけど、お転婆も程々になさい」と言われた。


 おそらく、両親はわたしに対する関心が薄い。長男である兄と、妹のことで手一杯なのだろう。真ん中のわたしは、兄と妹よりも優先順位が低い。


 兄と妹の話だと、くだらないことでも真剣に聞くのに。わたしが困ったことがあると言っても、適当な返事を返され・・・


 最後には、こう言われて終わる。「問題を起こさないでちょうだい」と。


 両親はわたしに、兄にとっての良い妹、妹にとっての良い姉、静かで手の掛からない子であれ。ということを常に求めているのだろう。


 まぁ、子供同士で年の近い兄弟の真ん中の子は、余所の家(友人の真ん中令嬢から聞いた)でも大体そういう立ち位置を求められているようだから、うちだけがおかしいというワケでもない。多分。


 だから、家の中でも学園でも、静かに過ごすことを望んでいるのに・・・


「おい! 無視すんなよブス!」


 と、喚くクソガキを置いてわたしは次の授業へ向かった。


 一応、地味であることは自分でも認めるが。わたしは、何度もブスや不細工だと連呼される程の顔はしていない……と、思っている。


 この学園が、男女でクラスが別れている制度でよかった。なんて思いながら教室に入ると、


「また絡まれてたわね」


 クスクスと笑う女子生徒の囁きが耳に入る。


「あの方、本当に素直じゃないんだから」

「そうね。もっと素直に、紳士的に接すれば彼女もきっと……」

「あら、そこが可愛らしいんじゃない」


 などと、よくわからない会話が交わされている。まぁ、わたしには関係無いけど。


 休憩時間をどう過ごそう? どうすれば、あのクソガキに遭遇エンカウントせずに済むだろう?


 と、ウザ絡みをして来るクソガキを、どうやってかわすかを考える。


 あのクソガキは、暴言を吐いて攻撃する程わたしのことが嫌いなクセに、やたらわたしに接近して来る。どんなに避けても、移動教室やお昼休みに待ち伏せしたりして、わたしに暴言を吐く。


 そんなクソガキは、誰でも彼でも暴言を吐いて、あのような態度を取っている……というワケでもないらしい。


 普段はそんなに目立たない生徒らしく、わたしにだけ、あのような態度を取っている……ようだ。見たことないから知らないけど。


 そんなに嫌いなら、視界に入れなければいいのに。わざわざ探し出してまで攻撃する意味が、心底わからない。


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