第33話 屋台って楽しい!
慌ただしく準備が進み。
私とお父様は、アクダマス侯爵領へと向かう馬車に、国王陛下とライオスと一緒に乗っていた。
ジュエルお兄様も一緒に来ると言っていたんだけど、お母様が「一人は不安なのでジュエルだけでも残って」と言われ残ることに。
急に色々ありすぎて、お母様も不安なんだろう。
その気持ちは分かる。
おもちも『わりぇも一緒に行く』って言ってたけれど、馬車に一緒に乗れないし、一人ずっと走らせるのは私が嫌だったので、「いっぱい美味しいもの買ってくるから賢く待っててね」と言って、どうにか納得してもらった。
まぁ、王宮で「おもち様可愛い」とメイドさんや執事さんたちからも、チヤホヤされているので大丈夫だろう。
今日だって。丁寧にブラッシングして貰っていた。
「レティシア嬢、こんな所にまで連れてきてしまって申し訳ない」
国王陛下が申し訳なさそうに私を見る。
だけど、ここまで関わってしまったんだ、途中で放り出す方が嫌だ。
「大丈夫です。確定ではありませんが、謎の病気は私だったら、治癒出来るかもしれないので。話を聞いてしまっては、手伝わずにはいれません」
「レティシア嬢は、六歳とは思えないくらいにしっかりしてるね。本当に驚きだよ」
「本当にね、我が娘ながらレティは天才かなと、いつも思ってますよ」
国王陛下とお父様が褒めてくれるが、私。
前世を入れたら三十歳余裕で超えてますから。
落ち着いてて当たり前なんです、なんて事は言えるわけもなく。
「とりあえず、アクダマス侯爵領まで急いでも二日はかかる。今日はその中継地点にある、アリアロス街で宿泊し、今後の動向を決めよう」
「分かりました」
「アリアロスは屋台が有名な街でね。色んな屋台を食べ歩きしたら楽しいよ」
「屋台ですか。それは楽しみですな」
お父様が屋台という言葉に興奮している。
テーバイはこんなにも食の文化が発達しているんだな。
エンディバン王国と大違い。これはテーバイ帝国がゲームと関係ない国だからかな?
テーバイの屋台って、どんな屋台なんだろう。
屋台は前世でも楽しんだんだ。特に、九州に旅行に行った時に訪れた、屋台通りは最高だったなぁ。
今から重大な任務が待っているんだけれど、屋台と聞いてワクワクが止まらなかった。
★★★
「アリアロス街についたな」
「これがアリアロス!」
まだ街に入ってなくても、街が賑わっているのが分かる。
執事の人が門番の人に受付をし、馬車で中に入ると。
今日はお祭りなのかと思うほどに、街が賑わっていた。
たくさんの屋台が軒を連ね、人が行き交っている。
「すごいですね! お父様」
「ははっ。久々にレティの子供っぽいところを見たよ」
思わず興奮気味にお父様に話しかけてしまった。
だってこれは凄い! 屋台の数が半端ない。
あー……! おもちを連れてきてあげたら良かった。
絶対に大興奮で喜んでいたはず。今さら後悔。
この事件が落ち着いたら、またテーバイに遊びにきて、おもちと一緒にこの街にこよう。
うん! 私はそう心に誓った。
「ダクネス、レティシア嬢。とりあえず、今日宿泊する宿に寄ってから、屋台を回るので構わないかい?」
あまりにも私とお父様が、軒を連ねる屋台をガン見していたので、国王陛下が苦笑いしながら提案してくれた。
なんだかすみません。
だって、こんなにもいっぱいお祭りみたいに屋台が出ているなんて、想像以上だったんだもん。
「さぁ、宿に着いたよ」
「え……?」
馬車が止まった宿は、ここは高級ホテルですか? って思うような外観だった。
テーバイ帝国って、エンディバン王国と比べるとかなり発展している。
執事さんが宿の受付をし、部屋に案内してくれるのだけれど。
「こっ……これは!?」
案内された部屋は最上階にあり、内装は王宮にあった部屋と同じような感じだった。
どうやらこの部屋は、国王陛下しか宿泊できない部屋らしい。
その隣の部屋を私たちにとってくれた。
国王陛下の部屋と比べたらあれだけど、豪華な部屋だった。
王様って凄い……
「じゃあ、屋台に行くかい?」
「レティシア! 行こう」
国王陛下とライオスが直々に誘いに来てくれたので、私たちは屋台に行くことに。
二人の服装は街の人に擬態していた。
確かに国王陛下ってバレたらやばいよね。
屋台を楽しめないよね。
私とお父様も同じように、ラフな服装を着て一緒に出かけた。
アリアロスの街に入った時は、まだ日が暮れていなかったんだけど、今は日が暮れて屋台を歩くと、屋台を光が照らし、それはもうテンションが上がるしかない見た目になっていた。
「この魚の串揚げ美味しい!」
「レティシア、このラーメンも美味しいよ」
「ライオス! これも美味しい」
「どれも美味しいね」
屋台はとにかく最高だった。一品食べてまた別の屋台に移動する。
それもまた楽しい。
屋台をたくさん堪能して、もうお腹いっぱい。
お父様と国王陛下は、「次はお酒を飲みながら二周目行ってくる」と言って私とライオスを宿に送り届けた後。再び屋台に足を運んだ。
流石に私は今日は色々とあり過ぎて、疲れが限界突破している。
お腹いっぱいなのもあり、眠気がやばい。
「ライオスまた明日ね」
「うん。また明日」
ライオスと挨拶を交わし、お互いの部屋に戻ると、同時にそのまま寝台にダイブし寝てしまった。
明日からは、もっと大変になる。
「がんば……むにゃ……」
まさかこの後。
熟睡した私を誰かが連れ去るなんて、この時の私は考えもしないのだけど……
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