第3話 幼馴染の愛

 次の日の朝、南瀬ほのかはいつものように学校に向かった。








いつも通る道には草花や鳥などの自然がいっぱいだ。








この道を通っている時は心の安らぎを覚える。








自然には不思議な力がある。 人の心を癒す力だ。








突然目の前に天使のような姿をした精霊が現れる。








「ふぁぁぁ。すっかり寝坊しちゃった。ほのか、お願いがあるの。」








「セイちゃん!? お願いって何?」








「昨日から人の心の中に入っている何者かの存在を感じるの。それをほのかに調べてほしい。」








「良いけど... でもどうやって?」








「頭の中で全人類の心の中を想像して。その中に何者かが入っている心がある筈よ。」








ほのかは目を閉じて世界中の人たちの心の中を想像した。








彼女のイメージでは心はピンク色のハート。








その中に一部だけ濃い紫色になっている心があった。








「あれかな?」、ほのかがそう言うと精霊は彼女に杖を渡した。








「イメージでその心にこの杖で円を描いて。そこからその人の心の中に入り込むの。」








「うん、やってみる。」そう言うとほのかは紫色の部分がある心に円を描いた。








その隙に精霊はほのかの心の中に戻る。








ほのかは自身が描いた円からその人の心の中に入り込んだ。








「おっと。来客とは珍しいね。」、そこには住んだ瞳をした青年が立っていた。








「デストロイアではない? でも、人の心の中に入って何かをしようとしている。 あなたは何者?」、精霊が尋ねる。








「ぼくはイデア。空想の世界から生まれた存在さ。君も知っているように今の時代人間の想像力は失われつつある。そのおかげでぼくは大切な仲間たちを失った。人の幸福を集めてぼくの世界を復活させるのがぼくの目的さ。」








「どんな理由があったとしても人の心の中を乱すのは駄目! ほのか、イデアと闘うよ。」、ほのかの心の中から出てきた精霊が言った。








「闘うって、どうやって!?」








その時、身構えている精霊とほのかをイデアが手で制した。








「おっと、ぼくは今取り憑いている人間の心からは何も奪うつもりはない。彼はどこまで行っても救われない人だからね。まだ想像力を失っていない人間が残っていて安心したよ。いずれまた会おう。」、そう言ってほのかたちの目の前から姿を消した。








「ちょっと待って。」、精霊が言った時にはすでに遅かった...








「本当にイデアはあの人間の心から何も奪わないのかな?」と不安そうな精霊。








「次の機会の時に確かめるしかないよ。」とほのか。








「てか、もうこんな時間! 遅刻しちゃう。」、公園の時計を見たほのかは慌てて駆け出した。








しばらく走ると目の前に公園が見えた。








公園のベンチに座っている田中恵理に声を掛ける。








「もう、ほのかったら、遅いよ~!」








「ごめん、ごめん。行こ。」








2人は学校に向かって駆け出した。








恵理とは昔からの幼馴染。








「何かあったの?」








「ううん、何もないよ。」








「そっか。」








「そっか。」、そう言った時恵理が頭の中で私に何があったのか考えているのが分かる。








私たちは長年の付き合いからお互いのことを良く知っている。








人が言葉を発した時、言葉だけでは伝わらない感情がそこにある。








私たちは数少ない言葉の会話でもそのような意味まで読み取れるような仲なのだ。








だから、私は恵理が独りで思い悩んでいることがあることも知っていた。








恵理はしっかり者でみんなから頼りにされている。








困ったことがある度、どれだけ彼女に助けられてきたことか...








辛いことがあっても表情には出さないタイプだ。








でも、私には恵理の悩みや心配事まで手に取るように分かる。








恵理に何かあったら私が何とかしてあげなきゃ...








傍にいてあげることくらいしか私にはできないけれど..

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