第四章 アサヒの物語 暗闇の星
二つの新設メスウィッジ
アサヒさんは側女から夫人に昇格、『クルティザンヌ』としてラクシャシー・ヴィラ全般の責任者として任命された……
提出された報告書から、問題がありそうなのがムーンナイトという惑星。
肌が真っ白で眼の赤い女だけが住む暗闇の星で、美人ばかりの星といえます。
必然的に眼はパッチリとした、そしてほっそりとした人種なのです。
食料人種ですからね、命じられれば躊躇無く体を投げ出しますし、どのようなことでもする女たち、無意識に媚を売ります。
ネットワークの世界には男もいるわけで、このままでは困ったことになる……
そこでとにかく惑星ムーンナイトを視察することにした。
* * * * *
ラグナロク戦争が終わり、プラネテスは多くの惑星をお守りすることになった。
終戦後、幾つかの女官組織が新設され、その一つはデーヴァのインペラトル直轄三十二惑星を10のロッジに再編、デーヴィー・メスウィッジとして成立させ、プラネテス・メトロ・カウンティの管理下となったわけである。
このデーヴィー・メスウィッジはラクシャシー宇宙に位置している。
当初、デーヴァの10のロッジの統治が問題とされていたが、ここは女性戦士の世界で、案外にヴィーナスさんの鶴の一声でプラネテスの命令を素直に受領している。
といっても、その気質の荒いこと……ここの住人はジャーリアハレムやレムーノスハレムと遜色ない、というより二割ほどさらに荒い……
それでも、プラネテスミリタリーとしては軽便鉄道を管理下に置き、際限ない辺境宇宙の紛争に対処できるようになったので、この三つの女性兵士の集団を指揮下に置き、単独で軍事行動ができる戦力を確保したわけで、問題はない?
もう一つのグリセット・メスウィッジは、新設のラクシャシー・ヴィラを置き、プラネテス・メトロ・カウンティの管理下に置かれた。
戦争の結果、虫の食料惑星を接収、放っても置けず、静養中のヴィーナスさんがマレーネさんに命じて、千ほどある虫の食料惑星をラクシャシー宇宙に動かしたのである。
そしてラクシャシー・ヴィラとして、その下にこの千ほどの虫の食料惑星を、コンパートメントとし配置したのである。
ラクシャシー・ヴィラにある千ほどのコンパートメントは軍政で、軍政司令官として、プラネテスのマニッシュ婦人戦闘軍の女性下士官、『デクリオン(十人隊長)』が派遣されることになった。
現在のプラネテスミリタリーの問題は、グリセット・メスウィッジ管轄のラクシャシー・ヴィラにある、幾つかの惑星の『お色気』である。
ラクシャシー宇宙は、デーヴィー・メスウィッジが存在している宇宙であり、ラクシャシーインペラトル簡易鉄道が敷設されることが決定されている。
簡易鉄道とはショートワープでつながっている貨物鉄道で、民間には非公開ですが、たまには臨時の旅客列車も運行しています。
ユニバース管理のラクシャシーインペラトル簡易鉄道は、ロッジごとに10のステーションが設置され、統括するのはラクシャシーステーションである。
デーヴィー・メスウィッジの10のロッジは、すべてラクシャシーインペラトル簡易鉄道とつながっている。
戦争後、ネットワークの人手不足は甚だしく、このラクシャシー・ヴィラの千ほどあるコンパートメントの中から、グリセットという下働きさんを採用することになった。
その責任者としてアサヒさんが側女から夫人に昇格、『クルティザンヌ』としてラクシャシー・ヴィラ全般を管理する、グリセット・メスウィッジの上席執政官に任命された……
ネットワークの執政官とは、人事権を持つ管理責任者という意味らしく、大体ハレムレベルとなる。
ホームレベルの管理責任者は上席執政官と呼ぶようだ。
ただその上の、五つあるメトロ・カウンティレベルの管理責任者は、すべて『レディーズ・メイド』の兼務となっている。
もともと『夫人待遇側女』に昇格の予定でしたが、ホームレベルの責任者ですので、『夫人』となったのです。
最終的には軍政を解除して、フルーツガールに似たコンパートメントはフルーツガールホームに移籍、ハレムはフルーツガール・メスウィッジとし、コンバートメンはロッジ(ハレム型)にする。
フルーツガール・メスウィッジに移動したコンバートメントの残りは、グリセット・メスウィッジの下に移籍、いくつかのコンパートメントはロッジ(ハレム型)に、残りのコンパートメントは昇格したロッジ(ハレム型)の下に、ルームとして配置するという目論見のようです。
この度、グリセット・メスウィッジ上席執政官の辞令を受けて、アサヒさんはラクシャシーステーションに赴任したのです。
アサヒさんはとりあえず、ラクシャシースステーションの一室に事務所を間借りしたという訳です。
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