エロゲ転生した父、ヒロインの一人が母。二人がくっつかないと私は消える運命にあるのだが、父が楽しみだしたからマジキレそう……。

米太郎

第1話

 男性向けエロゲを嗜む程度の女オタクと言えば、私の人となりがわかるだろう。


『拗らせ過ぎた喪女』と言い換えるヤツがいたら、そいつは自分の子供が拝めないように身体の一部を八つ裂きにして、虚しい人生を送らせてやろうと思う。


 小さい頃から英才教育を受けているエロゲマスターな私だからこそ、わかることがある。




 ここは、エロゲの世界だ。




 まず、学生達が巨乳過ぎるのだ。こんな人間、どこに行ったら拝めるんだっていうくらいの大きさの胸をたゆんたゆんと揺らして歩いている。人体の不思議という言葉では終わらせられない。これは脳内妄想により膨れ上がった煩悩の結果だ。

 そんな女子が一人や二人ではない。ほとんど全員がそんな身体をしている。


 男子だったら、涎を垂らして喜んでいるところかもしれないような世界をしている。そもそも、制服に乳袋がついているというのは、エロゲの世界の特徴だ。

 何故か私には乳袋はないが……。



 そして、私ほどエロゲをやりつくしている女子がいたら、ここに呼んで一緒に語らせて欲しいのだけれども。そんな女子はいないから私が唯一無二のエロゲマスターの十七歳だと自負しているのだけれども。


 そんな私は、制服を見ただけでなんのエロゲなのかが分かってしまう。

 現実で、どんな奴がコスプレをしていようとも、絶対に間違えることが無い。可愛い女子だけじゃなくて、マッチョな男がコスプレをしていたとしても、絶対に間違えることはない。

 私がなん百回とクリアしたゲーム。


 ここは、『エロゲ学園』だ。


 中庭から、周りの様子を眺めていた私だったのだけれども、胸の大きい女子がフラフラとこちらへ歩いて寄ってきた。



「ご機嫌麗しゅうございます」


 この挨拶。このカーテシー。


 確定だ。


 足を交差した瞬間に、『エロゲ学園』だと、私の中で確定した。

 もしも、早押し問題だったらボタンを連打しているところだろう。



 とりあえず、私も同じ所作で挨拶を返す。


「ご機嫌麗しゅうございます」



 これは、夢にまで見たエロゲの世界。



 けど、どうしてココに来たのだろうか……。


 というか、私がエロゲ転生するときは、TSして男側にしろと毎夜寝る前に神棚に置いたエロゲにお願いしていたのだけれども。それで、主人公になったあかつきには、ヒロイン達を蹂躙したいって夢を持っていたのだけれども。


 そうやすやすとは叶えてもらえないようだった。

 この世に女神はいなかったのか。



 今は神無月でもないし、七月だったと思うんだけどな。

 女神様は仕事サボって、どこ行ってるんだよ。バカンスかよ。はぁ……。



 とりあえず、ヒロインを見つけ次第、蹂躙していこうと思う。



 この世界だったら、好き放題してもいいだろう。

 学園内でハーレム形成して、やり放題な主人公だし。


 そもそも、私のキャラは誰なのだろう。こんなキャラはいなかったから、私自身はモブ転生だったのだろう。

 モブが何をしようとも、本編には関係ないだろうしな。



 まぁ、転生してしまったものはしょうがない。

 この世界を楽しむとするかな。私の第二の人生。

 モブでも、世界を知り尽くしている私にとっては、裏からこっそり無双できると思うんだよな。



 私の愛しいヒロイン達が、誰だか知らない男に攻略されるなんて、まっぴらごめんだな。


 主人公キャラのヤツよりも先に、私がヒロイン達を攻略していけばいいんだよ。私が女キャラだろうと、全員落として見せるし。

 こっそり裏から、ヒロイン達を蹂躙していけば、主人公は誰ともくっつくことができずに、バッドエンドだろうな。

 はははは。それは傑作だな。



「おはようございます!」



 この世界のことに思いを馳せていると、元気よく挨拶してくる女子がやってきた。きっと、ヒロインの一人だろう。


 振り向いて、私も挨拶を交わす。



「おはようございます。うんうん、エロゲ学園で見慣れたヒロイン……。ヒロイン……?」



 そこにいたヒロインは、エロゲの中でというよりも、違う場所でよく見たような顔だった。思わずじろじろと見つめてしまった。



「わ、私の顔になにかついていますか?」



 見慣れているっていうレベルではないくらい。というよりも、毎朝見ているような……。

 生まれた時からずっと見てきた顔に見えてくる……。



「お、お母さん……?」


「は、はい? 私がお母さんなわけないでしょ!? それは、先生に対して間違える呼称ですわよ。寝ぼけてらっしゃるのかしら? 御冗談がお上手ですわね。ほほほ」



 この喋り方の雰囲気、声の感じ……。

 これは、絶対にお母さんだ。



 私と同い年くらいになったお母さんが目の前にいる。

 それも、エロゲのヒロインになっているようだ。この制服の着こなしは、三条院彩芽ぅていうキャラクターのはずだけど、お母さんだ……。


 エロゲ転生したと思ったけど、私だけじゃなくてお母さんも転生してたっていうこと……?



「どうしてしまいましたか? 本当に寝ぼけてらっしゃいますかー?」


「い、いや。少し考えごとを……」



 大人数で転生するとか、そういう転生パターンもあるあるだけれども、こういう場合ってダメだろ。エロゲに母親と一緒に転生って……。母親と一緒に転生するのは、異世界ファンタジーだけにしておいてもらいたいのだけれども……。

 少なくとも、エロゲ転生だけは絶対にさせないで欲しい。



「大丈夫ですか? 顔色が悪いようですけれども……?」


 それにしても、お母さんがとても若い。

 エロゲキャラの年齢を言ってしまったら、色んなコンプライアンスに引っ掛かると思うけれども、三条院彩芽は高校二年生のはず。


 蹂躙クエストは、学園もののエロゲだ。

 エロゲにコンプライアンスも無いのだけれども。



「大丈夫っす……。ちょっと衝撃的だったもので……」


「そうなんですか……? 体調が悪いなら、保健室に行った方が良いかもですわ?」


 近寄ってくるお母さんの顔。

 私のおでこに、お母さんのおでこが当たる。



 そして、私の手に触れてくるお母さん。普段よりも柔らかい触り心地がするのは、年齢が若いからだろう。


 お母さんが若い頃って、こんな感じだったのかな。


 なんというか、無性に可愛い……。



 なんかちょっと、ときめいている私がいるし。

 お母さんでもエロゲ風にされると、気持ちが乗ってくるのかもしれない。いつもは、反抗的な態度ばっかり取っちゃうのだけれども、その気が薄れる気がする。

 可愛い……。



「そういえば、貴方のお名前を聞いていなかったですわ。意識があるうちにお名前を伺ってもよろしいですか?」


「えっ……、あれ……? 私のことがわからない……?」


「んっ? 初対面だったかと思いますけれども……?」



 知らない人でもお世話を焼く感じ、困っている人を見ると放っておけない置けない感じ……。

 絶対にお母さんだと思うんだけど、お母さんじゃないのかな?


 まるで、私のことをわかっていないみたいだし……。


「私の名前は、未来みらいっす……」


「いいお名前ですわね。じゃあ、保健室で汗でも拭いて差し上げますわ。さぁ、行きましょう?」


「え、えっと……。はい……」



 やはり、私を認識していないようだけれども、お母さんであることに間違いは無さそうだし……。

 早速、初回のスチルイベント、保健室でのイベントが発生しようとしているんですけれども……。


 誰か解説よろ……。



 ✧••┈┈┈┈┈┈••✧

 あとがき


 こちら、6月16日に完結予定の短編になります。

 面白いと思っていただけましたら、☆での応援をよろしくお願いします。(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)


 ✧••┈┈┈┈┈┈••✧

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