第21話 馬車の改良と新商品

それから時が過ぎ、商人から馬車のグレードアップの相談が来た。

それと新しい娯楽。

因みにセツナ専用馬車も改良はされている。

サスを搭載したのだ、前輪だけ。

後輪は旧式のまま。

路面の衝撃をモロに伝える為に。

姦りベッドのある前輪の方だけ"リッジドサス"が採用されていた。

まぁ、別名"姦り馬車"だからな。

それから、セツナは大教会に住んでいるが、鍛練場には毎日顔を出していた。

毎日近衛騎士が迎えにくるからだ。

鍛練場には姦りベッドが用意されていて、近衛騎士団と騎士団の鍛練を姦りベッドの上でまどろみながら眺めていた。

行き帰りは近衛騎士が行っている。

もちろん移動はペニスサック、馬車はセツナ専用姦り馬車だ。

大教会に帰ると、近衛騎士がお風呂に入れるのが日課である。

ただ、王都の滞在も半年。

その間に商人や技師達と次の相談をしたりする。

それ以外は各地を慰問で回っている。

セツナ教の事はサティナ魔王国全土に知れ渡っている為、今までのようにはいかなくなりかけたが、セツナが率先して交流した為、しばらくして今まで通りになった。

その代わり、"セツナ教教祖と姦れる、その背徳感が堪らない"と変な方向へ解釈されるのであった。

まぁ、セツナも喜んでいるし、病人や怪我人が居たら治療するから、セツナ様と姦ると"病気や怪我が治る"とか"幸せになる"とか妙な噂が流れるのであった。

それはさておき、セツナ達は馬車のグレードアップに取り掛かった。


(技師 熊獣人)

今度はどうすんだ?セツナ様。


(セツナ)

次はこれ、"ダブルウィッシュボーン"!



見本をいくつかポチる。


(技師 狐獣人)

こう来たか、これはなかなか……



バラし、部品を確認したり、完成品を眺めたり。


(技師 狼獣人)

これは一筋縄ではいかねぇ〜な。


(セツナ)

でもこれは劇的に変わるよ、魔動車には必需品になるかな。


(技師 豹獣人)

そういう事なら、技師のプライドに賭けて、完成させてやろうじゃないか。



"リッジドサス"は比較的簡単?に再現したが、"ダブルウィッシュボーン"はなかなか手を焼くみたいだ。

とりあえずはバネダンパーを採用している。

これを1年かけて実現した。


(セツナ)

やったね!


(技師 熊獣人)

やったぜ。


(セツナ)

まさか"ボールベアリング"も?


(技師 狐獣人)

試作品だ(ニヤリ)


(セツナ)

凄い!


(技師 豹獣人)

早速馬車に取り付けようぜ(ニヤッ)


(セツナ)

やろう!やろう!



早速馬車に取り付ける。


(技師 熊獣人)

うひょぉ〜!スムーズだぜ!


(技師 鬼族)

回転が軽いな、こりゃ良い!


(セツナ)

じゃあ凸凹道を試しますか。



魔法で作ったテストコースを走らせる。


(技師 狐獣人)

こりゃ凄いな、前のサスより乗り心地が良い!


(セツナ)

前のは重さに強いから、荷車に使って。

少し値段下げて購入層を増やそう。


(技師 狼獣人)

そりゃ良い、台数増えたら、1台の利益を多少削っても数で増える。


(技師 熊獣人)

で、魔動車ってのは、この"ボールベアリング"で実現可能か?


(セツナ)

やってみる。

因みに魔動車のモデルはこれ。



そう言うと何台かのスポーツカーをポチった。

タダだ、カッコイイのをポチろう。


(技師 猫獣人)

おいおい、こんなの作るのか?


(セツナ)

そう、カッコイイでしょ。

レース用だから、これで良いんだ。

ちなみにこんなのも。



F-1にラリーカー、耐久レース用、レーシングカミオン、ラリーカーパリダカ仕様も出した。


(技師 蛇獣人)

おいおい……


(セツナ)

色んなレースを考えてるから、それ用の魔動車なんだ。


(技師 犬獣人)

この黒いのタイヤだろ、見た事ないぞ。


(セツナ)

流石にこれは無理だよ。

だから代わりのを考えた。



車輪にゴムを貼り付ける、なんちゃってムースタイヤだ。


(技師 鬼族)

言ってくれるじゃねぇ〜か、作ってやるよ。


(セツナ)

大丈夫?



とりあえず、タイヤの構造の本を出した。


(技師 狐獣人)

・・・マジかよ……


(技師 狼獣人)

未知の限界突破だな……(汗)


(技師 牛獣人)

これを作るのか……いや、技師としてはやり甲斐はありそうだが……


(技師 犬獣人)

年単位の話だな……


(セツナ)

だから車輪にゴムを貼り付けるのをまず使おうと思うんだ。

もちろん馬車にも使う。

更に乗り心地が良くなるから。


(技師 熊獣人)

それならすぐ出来る。


(セツナ)

じゃあお願い。

後、自転車も作ろう。



自転車の見本をポチる。


(技師 狐獣人)

ほう……これは面白い。

これは"ダブルウィッシュボーン"より簡単だ。



(セツナ)

当面のタイヤは事故防止の為にもしっかり貼り付ける必要はあるけど、まぁ馬車の最高速度より早く走ることは普通は無いから。

しかし、魔動車は遥かに早い速度で走るから、相当しっかり貼り付ける必要がある。


(技師 熊獣人)

どれぐらい速い。


(セツナ)

想定は馬車の15倍以上。

最終的には。


(技師 狐獣人)

無茶苦茶だ、そんな速度。


(セツナ)

まぁ、走れる場所作ったら、その車で試そう。

ただ、ボクも15倍の世界は未知だ。

元居た世界では、レース車両なら最高速度はそれぐらい出てた。


(技師 猫獣人)

無茶苦茶な世界だな、命知らずにもほどがある。


(セツナ)

だから時々死ぬ。


(技師 馬獣人)

だろうな。


(セツナ)

それを死なない安全装置を作る。

当主や王族でも楽しめるように。

後、治癒室ね。

骨折ぐらいはするだろうから。

ただし、無傷に治るようにする。


(技師 狼獣人)

出来るのか?


(セツナ)

魔法に細工すれば可能かと。

これも試す必要があるけどね。


(技師 鬼族)

なら、俺達はタイヤを作るか。

コイツは待ってくれ、しかし、必ず作ってやる。


(セツナ)

期待してるね。



女王様に許可を取り、郊外にサーキットを作った。

1ヶ所で5コースを走れるようにした。

"インディ"と"モナコ"、"ル・マン"で1つ。

隣りに"鈴鹿"と"富士"を併設した。

"モナコ"を囲むように"インディ"を作ったから、実際の"インディ"より1周が長くなった。

ちゃんと観客席もオーロラビジョンも設置した。


(セツナ)

我ながら力作だ!



サーキットが出来た事を技師達に知らせて集まってもらった。


(技師 熊獣人)

仕事が早ぇ〜な。


(セツナ)

まぁ、魔法だから。

で、約束の試乗会。


(技師 狐獣人)

よし、乗せてもらおうか(ニヤッ)



使用するのは"鈴鹿"にした。

まずは返事した狐獣人。

ピットから走りだす。

使ったのは……ランボルギーニ……と言いたかったが、NSXにした。

無難なATの慣れた方が良い。


(技師 狐獣人)

ぬぉっ!おいおい……


(セツナ)

まだ序の口だよ。

今で大体……


(技師 狐獣人)

馬車の倍ぐらいかって、カーブだよ!スピード落とせよ!曲がらねぇ〜よ!!


(セツナ)

大丈夫。



無事曲がる。


(技師 狐獣人)

マジかよ。


(セツナ)

ペース上げるよ。


(技師 狐獣人)

・・・は?



アクセルを踏み込み、速度を上げる。


(技師 狐獣人)

おいおいおいおい(冷汗)


(セツナ)

出来る限りのペースで走るね。


(技師 狐獣人)

やめろぉ〜!死ぬ、死ぬ、死にたかねぇ〜!!(涙目)


(セツナ)

大丈夫、ミスしなきゃ死なないから。


(技師 狐獣人)

もう安全装置付けたんだよな!(半泣)


(セツナ)

えっ?


(技師 狐獣人)

嘘だろぉ〜!!(泣)


 

2周してピットに戻る。


(セツナ)

ただいま。


(技師達)

・・・(絶句)


(セツナ)

大丈夫?

 

(技師 狐獣人)

はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡そんなわけねぇ〜だろ!!(泣)


(セツナ)

でも全然遅いよ?

レースになったら、今の1.5倍は出してたよ?

ボクは無理だけど。


(技師 狐獣人)

ソイツら頭おかしいだろ!!(流涙)


(セツナ)

こういう走りが出来るタイヤが欲しいんだ。


(技師 鬼族)

ちょっと乗せてくれ、体感してみる。



恐怖より技師魂が勝ったようだ。


(技師 鬼族)

うわああぁぁぁっ!!なんじゃこりゃああぁぁぁっ!!


(技師 熊獣人)

ぎゃああぁぁぁっ!!


(技師 狼獣人)

お”があ”ぢゃぁ〜ん”!!



技師魂って凄いね、なんだかんだで全員乗った。


(技師 熊獣人)

はぁ♡はぁ♡はぁ♡ はぁ♡しかし、この速度に耐えられるタイヤか……


(セツナ)

あと、"ボールベアリング"もね。


(技師 狐獣人)

バラしてみたが、あそこまで再現できたかどうか……


(セツナ)

大丈夫、どんどん性能上げれば良いから。

皆んななら可能でしょ(ニヤッ)


(技師 狼獣人)

言ってくれるな(ニヤッ)


(技師 牛獣人)

作ってやろうじゃねぇ〜か(ニヤリ)


(技師 鬼族)

しかし、まずはタイヤだ。

あの構造のが作れたら、可能だよな。


(セツナ)

そうだけど、ワザと貼り付けて取れないようにしたのでも良い。


(技師 兎獣人)

なんでだ?


(セツナ)

速度が出せないから、ある意味安全。


(技師 牛獣人)

それも言えるな。


(セツナ)

あの速度で突っ込んだら、死んでもおかしくないから。

まぁ、そうならないように装置組むけど。

魔法使ったら可能でしょ。


(技師 馬獣人)

魔法を使ったら?


(セツナ)

あれには付いて無いよ、単に元の世界から取り寄せただけだから。

魔法なんて無い世界だったし。


(技師 熊獣人)

えっ?……それで走ったのか?


(セツナ)

うん、まだ装置は出来てないし、工房オリジナルでデザインして欲しいから。


(技師 鬼族)

アンタも大概、頭イカれてるよ!(涙目)


(セツナ)

あと、石畳だから滑りやすかった。


(技師 狐獣人)

聞きたかねぇ〜よ!(涙)


(技師 狼獣人)

デザインだが、見本が欲しい。

何種類か調達できるか?


(セツナ)

もちろん。

用途別に用意するよ。

それと、動力は魔力にするから、魔力動力システム作ろう。


(技師 牛獣人)

魔力……そうか、魔法の無い世界だったな。

って事は、どうやって動いたんだ?これ。


(セツナ)

"ガソリン"って言う、燃える液体。

それをこの"エンジン"って中で爆発させて動かすんだ。

だから、漏れたら燃えるし爆発する。


(技師 馬獣人)

怖ぇ〜よ!


(セツナ)

でも、乗ったやん。


(技師達)

・・・(冷汗)


(セツナ)

魔石を使った安全な魔力動力システムにしよ。


(技師 鬼族)

当然だ。



セツナは魔力動力システムと安全装置を作った。

それと、治癒室に"テラヒール"が発動できるように魔法陣を刻んだ。

これで古傷まで治るようにした。

安全装置も重要な骨、生命に関わるような場所の損傷を防ぎ、手足の骨折、まぁ複雑骨折程度はするぐらいにした。

ある程度怪我しないと無茶通り越して無謀な事が出来るからね。

これで安全装置を勝手に弄らない限り死なないようになる。

また念の為、安全装置を弄れば壊れて直せないようにした。


(技師 熊獣人)

見本見たんだけどよ、サスが全然違うんだわ。


(セツナ)

それは無視して"ダブルウィッシュボーン"に統一して。

あれね、複雑だし重くなるんだ。

特に街道以外の場所を走ると壊れる危険性が高いから。


(技師 狐獣人)

それで1人乗りの矢尻みたいなヤツは"ダブルウィッシュボーン"なのか。


(セツナ)

そうそう。


(技師 狼獣人)

それと、あの"エンジン"とかいうのの積んでる場所が違うのは?


(セツナ)

それは使う。

それによって癖が変わるんだ。

それも選ぶ基準になるし、本体のデザインにも自由度が増すでしょ?


(技師 鬼族)

なるほどな、それは面白い。

で、ボディに字みたいのが書いてあったり付いてるんだが。


(セツナ)

あれはその車の名前だよ。

色々名付けて差別化しようよ。

マークというか、バッチもあったでしょ?


(技師 兎獣人)

あゝ、あれ何だ?家紋か?


(セツナ)

そう、どこの工房が作ったか、分かるようになってるんだ。


(技師 牛獣人)

ほう、面白れぇ〜なぁ(ニヤッ)


(セツナ)

でしょ、工房の名前も付けるんだよ。

例えば、ランボルギーニ・ウラカン。

ランボルギーニ工房のウラカンって名前の車ってね。

名前にLMやGTなんて付けたりね。


(技師 鬼族)

変な文字だが、なんかカッコいいな。


(セツナ)

この国の文字でも良いやん。

相手を威嚇する名前で"サタン"とかね。


(技師 豹獣人)

悪魔のように速いってか、気に入った。


(技師 熊獣人)

面白れぇ〜事になりそうだな(ニヤッ)


(セツナ)

でも、似てるからって喧嘩しないでね。

渡した中でも似てるのあったでしょ。

その代わり、人気や内装とかで差別化したら良いんだから。


(技師 狐獣人)

分かった、約束する。


(セツナ)

で、コレが魔動システムで、コレが安全装置。

どっちも弄らないでね、乗った人が危険になるから。

一応、弄ったら、壊れて修理不能にしたから。


(技師 狼獣人)

別にセツナ様が言うんだ、弄らねぇ〜よ。


(セツナ)

いや、買ったのがやりかねんから。

それで死んだらシャレにならない。


(技師 鬼族)

たしかにそれあるか。

馬車でもやりやがって、文句言ってくるお貴族居たな。


(技師 蛇獣人)

なら、コレでいくか。


(セツナ)

ちなみに、耐久用ってのに積むのや冒険ラリー用っとのには、安全装置で魔力システムの魔石が熱もち過ぎたら、止まるようにした。

この空いている口から風が入って冷えるようにしたんだ。

耐久は丸一日とかにするから、それも注意しないと勝負に影響するようにね。

よく見て掃除しないと熱もつようにした。

それ以外は魔石は絶対熱持たないようになってる。


(技師 熊獣人)

魔石、高いぞ?


(セツナ)

魔動車専用魔石を作った。

そこそこ安くしたから、お貴族ならそれほど負担なく買えるよ。

あくまでお貴族にとってそこそこね。

だから財力誇示だよ。

レースも競馬と同じように勝てば旗や盾を渡す、年間王者も決める。

順位によってポイント与えて、総ポイントの多い人ね。

だから年間王者を取るにはたくさんレースに出ないとなれない。

もはや毎度ありだよ。

魔石、タイヤは工房に売ってもらうから。

ボクは手数料、売り上げの2割で良い。

魔石は簡単に作れるように魔法陣作ったから。

どこにでもある水晶で作れる。

一応、レース用は統一規格だけど、普段、こういう"サーキット"を走るときは選べるようにした。


(技師 サキュバス)

やり手商人もびっくりだわ。

しっかり儲けさせてもらうよ。


(セツナ)

車体は基本、新車は金貨200枚で、払い下げの中古は金貨80枚。


(技師 鬼族)

おいおいボッタくりだ。


(セツナ)

危ないから、あくまでお貴族がターゲット。

この程度なら、買えるでしょ。

新しい娯楽、そしてあの迫力、財力誇示、年間王者。

お貴族にはちょうど良くない?

お貴族しか買えない、嗜めない娯楽。

プライドくすぐるかと。

観戦は見る場所、サービスによって金額を変える。

見るだけなら庶民でも可能にするんだ。

普段の使用料も安くする、走り込めるように。

皆が上達したら、白熱のレースになって、盛り上がると思うよ(ニヤッ)


(技師 狐獣人)

セツナ様、アンタやっぱり商人だわ(笑)



それから動力と安全装置以外はなんだかんだと一通りできており、実装して試そうとなった。

1週間後、再度集まる事にして。

商人の方には"将棋"と"ペタンク"を提案した。

やはりまだ紙は高い、紙を使う娯楽もあると言うと、お貴族向けに売り出そうとなったが、とりあえず"将棋"を売ろうと。

説明しながらやってみる。


(商人 狐獣人)

これは売れますよ!


(商人 狼獣人)

戦略が鍵ですな、これは軍師などはハマるのではないか?


(商人 熊獣人)

それに、覚えれば子供でもできる。

そろそろ"リバーシ"が頭打ちだけに、これは良い!


(商人 鬼族)

それに、この"ペタンク"も良い。

分かりやすいし、スペースも取らない。

これ、お貴族のお茶会でも流行りそうだ。



という事で、新しい娯楽として売り出した。

やはり大当たりし、"将棋"と"ペタンク"の一大ブームになった。


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