第2話 農業スライムと最初の収穫



「……さて、と」


 まずは畑を作る。そう決めたのはいいが、実際のところ、俺一人でできるわけがない。


《現在、召喚可能な初期モンスター一覧を表示します》


 目の前にホログラムのようなメニューが表示された。


【召喚候補】

・畑スライム(1MP)

・草ゴブリン(2MP)

・キノコダック(2MP)

・耕作用ゴーレム(5MP)


「……畑スライムって、なんだよ」


 思わず笑った。けど、召喚コスト1MPってことは、いちばん手軽。しかも説明を見てみると、


《畑スライム》:土壌を柔らかく耕し、水分・栄養バランスを調整する働きを持つ。野菜に詳しい。


「即決。畑スライム召喚!」


 目の前の地面がポコッと膨らみ、ぷるぷるの何かが飛び出した。

 ぷにっとした体に、葉っぱのような触覚を揺らしながら、それはピョンと跳ねた。


「ぷにっ! よろしく、マスター!」


 ……しゃべった。しかも、なんか可愛い。


「名前、いるか?」


「ぷにた!」


「……早いな。了解、ぷにた」


 さっそくぷにたは、地面を滑るように移動しながら、土をほぐし始めた。

 まるで耕運機のように、地表を整えていく。


 俺は自分の中のダンジョンコア機能から、「タネセット(初心者用)」を呼び出し、ぷにたの後を追うように播種していく。


「これ、うまく育つかな?」


「ぷににっ、ぷにっ! 収穫は二日後だよ!」


 そんなに早いのか!? さすが異世界。時間の流れすら、ちょっと違うのかもしれない。


 こうして、俺とぷにたの“農業生活”が始まった。


✒️あとがき

今回は、主人公の最初の仲間「ぷにた」が登場しました。

ただのモンスターではなく、性格も知識も豊かな“農業スライム”という設定で、今後も彼(?)は都市の食卓を支えるキーパーソンになっていきます。

次回は、水問題と新たな仲間が登場する予定です!


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