17.「ボス部屋の予想外の光景&地中から見つかった危険物」

「ゴブリンキングが……五匹!?」


 ゴブリンを巨大化させたような風貌の彼らは、ゴーレムと同じくらいの巨体で、ゴーレムよりも多少素早さは勝るが、逆に膂力はゴーレムの方に軍配が上がる。


 五匹同時に出てくることはまずなく、確かに冒険者たちを苦しめるに足る状況であるとは言える。


 が、あくまでA級モンスターであり、倒せなくはない。

 少なくとも、S級であろう魔王軍の幹部ではない。


 魔王が生み出した塔のボス部屋なのに、なんで?

 

「「「「「ギイイイイイ!」」」」」


 って、今はそれよりも!


「皆さん、ここはドラゴンに任せて下さい!」


 僕はドスドスと走って来る巨大なモンスターたちに向けて、手を翳した。


「『召喚サモン! パワードラゴン』!」

「パワガアアア!」


 足下に描かれた魔法陣から、ゴブリンキングに決して見劣りしない巨躯を誇るパワドラが出現。


「パワガアアア!」

「「「「「ギイイイイイ!」」」」」


 敵の内三匹は、殴ってそれぞれ左右と奥の壁に吹っ飛ばし、一匹は右前足による打ち下ろしの一発で床に沈めて、最後の一匹は、轟音と共にアッパーで天井に減り込ませた。


「ハッ! あれだけのデカブツがぶっ刺さっても崩れない壁・床・天井とはね! 頑丈な塔なこった!」


 久しぶりの登場にやる気満々だったパワドラは、やり遂げたとばかりに天を仰ぎ咆哮を上げる。


「パワガアアア!」


 こうして、僕たちは特に問題なく西塔攻略を終えた。


 なお、幹部はいなかったものの、A級モンスターを倒し続けたので全員のレベルが上がった。


 僕はLV330、マイカさんは138、エルアさんはLV119、そしてウルムルさんはLV112だ。


【基本ステータス】

 LV330

 名前 リュウ

 年齢 15歳

 性別 男

 種族 人間

 職業 ドラゴン召喚士

 状態 ミックスドラゴンブラッド(3種類)

 称号 ドラゴンマスター


【スキル】

 召喚<LV 7>(※ポイズンドラゴンとアイスドラゴンを新たに追加)

 硬化<LV 7>(※パッシブ(常時発動型)スキルに変化)

 身体強化<LV 7>(※パッシブ(常時発動型)スキルに変化)

 闘気<LV 7>


【耐性】

 状態異常(麻痺・石化・呪い・毒)

 攻撃魔法(炎・土・氷)


 硬化と身体強化が常時発動型スキルに変わった!

 やった!


 でも、何よりもまた新しいドラゴンを召喚出来るのが嬉しい!

 楽しみだなぁ。


※―※―※


「なんだか、呆気なかったわね……もちろん、苦戦するよりかはずっと良いんだけど」

「ハッ! 強くなり過ぎちまったか!」

「最近闘気を扱えるようになったばかりの方が、何かほざいていますわね」

「あんた喧嘩売ってんのか!」


 ボス部屋の奥に魔法陣を発見、ラクドラとディテドラに問題ないことを確認してもらい、みんなで塔の入口前まで転移、戻って来た後。


 マイカさんたち同様、僕も違和感を感じていた。


 あの部屋の最奥部にあった宝箱もハイポーションで、確かに高価なアイテムではあるけど、本来魔王軍幹部が守るべき塔の報酬としては、拍子抜けも良いところだ。


「取り敢えず、ズイポ村に報告にいきましょう!」

「そうね。心配しているかもしれないし」


※―※―※


「もう攻略したと!? まだ一時間くらいしか経っていないのにか!」

 

 村長さんが驚いた顔をする。


 A級ダンジョンに相当する難易度の巨大建造物で、A級モンスターのみならず、トラップもちゃんとあるとなると、確かに一時間で攻略なんて普通は出来ないかも。


「それもこれも、ドラゴンのおかげなんです!」

「ほほう、あの生き物か!」

「村長さん、またドラゴンに会いたいですよね? 会いたいですよね?」

「お、おう……そうだな、会いたい……かもしれん」

「ですよね!」


 満足のいく回答を引き出した僕は、「そこまで言うなら、しょうがないですね~」と、手を翳した。


「『召喚サモン! アースドラゴン』!」

「アスガアアア!」


 大地のスペシャリストは、屈んで僕に顔を近付ける。


「アスガ!」

「え? 実はさっき潜った時に、村の真下に気になるものがあったって?」


 アスドラにもう一回地中に潜ってもらって、掘り出してもらった。


「! なんで……!?」


 それは、禍々しい魔力を放つ漆黒の魔石だった。

 サッカーボールくらいの大きさの。


 問題は、〝ドラゴンの形〟をしている、ということだった。


 どうして、こんな形を……?


「なんだか、すごく嫌な感じがするわ……」


 同感だ。負のオーラが迸っているのが感じられる。

 このままにしておくと、絶対に何か良くないことが起こりそうだ。


 せっかく格好良い見た目をしているのに少し残念だが、破壊した方が良い。


「村長さん、恐らくこれは危険物です。呪いの魔導具、といった感じの」

「何と!? 一体どうすれば……?」

「この近くに、どこか人気のない開けた場所はありませんか?」

「北側にある森を抜けた向こうは荒野になっていて、そこなら近くに村も街道もないが」

「分かりました。僕らで処分して来ます」

 

※―※―※


 早速僕らは移動した。

 何かあった時に村に影響が無いように、念のために結構遠くの方まで。


「この辺りまで来れば、きっと大丈夫だと思います!」


 危険物処理に取り掛かる。


「爆弾みたいなものよね。まずは慎重に、どういった物かを調査して――」

「たあああああ!」

「おらああああ!」

「はあああああ!」

「って、言ってる傍から何やってるのよおおおお!?」


 斬り(殴り)掛かった僕らに、マイカさんが頭を抱える。


「爆弾と同じようなものって言ったでしょ! 爆発とかしたらどうするのよ!?」

「あ、そっか!」


 さすがマイカさん!

 頭が良い!


 ちなみに、三人の攻撃でも傷一つついていない。強敵だ!


「『召喚サモン! ラックドラゴン! 感知ディテクションドラゴン』!」

「ラクガアアア!」

「ディテガアアア!」


 西塔のトラップと魔法陣を分析した二体に、今回も調べてもらった。


「ラクガ!」

「ディテガ!」

「なるほど! ありがとう!」


 彼女たちによると、まずは熱して、次に急激に冷やした上で武器による破壊を行うと良いみたいだ。


「『召喚サモン! ファイアドラゴン! アイスドラゴン』!」

「ファアガアアア!」

「アイガアアア!」


 入れ替わりで召喚、ファイドラにまずは炎で漆黒魔石を焼いてもらって、それをアイドラに冷やしてもらう。


「今です! たあああああ!」

「おらああああ!」

「はあああああ!」


 闘気を纏った三人で、斬り、殴る。


「あ! 少しだけ罅が入りました!」

「ハッ! 突破口は見えたね」

「でも、結構硬いですわ」


 その後、A級モンスターとは比べ物にならないほどに手こずりながらも、何とか破壊することに成功した。


「結局、何だったのかしら……?」

「謎ですわね……」

「でも、良くない物なのは確かなので、壊せて良かったです!」

「ハッ! 違いないね」


 汗を拭いながら、「ところで」と、僕はみんなの顔を見る。


「今日西塔を攻略して思ったんですけど、多分ガルティファーソン帝国にある南塔にも、残り二ヶ国にある東塔や北塔にも、魔王軍幹部はいないと思うんです」

「その可能性は否定出来ないわね」

「そこで、塔の攻略は勇者であるアキラさんたちに任せて、僕らは幹部を探して倒す、というように方針を変更したいんですが、どうでしょうか? どうしても、もっと強い敵をドラゴンにやっつけて欲しいんです!」


 三人とも、「賛成よ!」「ハッ! 敢えて困難な道を、か。常識破りで良いじゃないか!」「流石はリュウさまですわ! ついて行きますわ!」と頷いてくれた。


「ありがとうございます!」

 

 みんな良い人で良かったぁ!

 よ~し! 思う存分、ドラゴンに暴れてもらうぞ~!


※―※―※


「村を移動することで王都からの面倒くさい口出しを防ぐだけでなく、危険物まで除去してくれたとは! どれだけ感謝すれば良いのか! 大した持て成しは出来ないが、せめてゆっくりとしていってくれ!」


 村に戻った僕らは、村長さんと村の人たちの歓待を受けた。


「ポイズンステーキをどうぞ!」

「ポイズンスープも召し上がれ!」

「ポイズンサラダも美味しいわよ!」


 強く引き留められ、三日間連続で泊まり、毒責め――もとい、毒々しい見た目だけど美味な料理を山のように頂く、というオマケ付きで。

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