第27話:同僚?

「こいつらは俺直属の部下になる者達だ。そして、お前の同僚になる者達でもある。

試験や過去の経歴を見て、まだ伸びしろがある優秀な魔導師達を集めた。

確か、左から・・・」


左から。

二級魔導師『黄金の魔女』フィリス・ウィンセント。

二級魔導師『紅蓮の戦姫』フィリナ・ウィンセント。

二級魔導師『森守の少女』ミ=ロ・セーニャ・フィリフィナ・チー。

二級魔導師『雷光の魔導師』オットー・フォン・シュタールクランツ。

準一級魔導師『薬煙の賢師』魏(ぎ)・青玄(せいげん)。

準一級魔導師『幻魔の紳士』ルシアン・モルゲンブリック。

二級魔導師『迷杖の魔導師』ノエル・ツァオバーヴァイヒ。

さらに、この場にはいないけど、フィッシャーさんもいるらしい。

師匠が、この人達を私に紹介した理由は、

今から一緒に鍛え上げられるっていうのもあるけど。

精鋭部隊?は、師匠を含めた王国9魔将6名と彼らの下に

9名ずつ優秀な魔導師が配属されることになっている。

そして、師匠が指揮する部隊が、以上の人達に私を加えて9名となる。

つまり、師匠が言った通り、私の目の前にいる人たちは皆、私の同僚?

ということになる。

まあ勿論、王国9魔将の方々や、その下で働く人たちとも同僚?

ということになるんだけど。

日々の業務や訓練は、基本的に彼らと行うことになる、のかな?


「さて、お前らに最初の課題を与える。王都から北東の小さな町の近くに1ヶ月前、

ダンジョンが出現した。最初は冒険者組合が対応していたものの、

ダンジョンが急成長し、今や『第一等級・白金』級の危険度にまで成長している。

国内の白金級の冒険者は別の依頼を受注しているため、国に救援要請がきた。

お前らが対処してこい。ああ、安心しろ、優秀な付き添いを手配しておいた。

アイツは既に現地に到着している、お前らも飛行魔法を使って早く向かえ」


師匠の言葉に、この場にいる全員が、驚きと困惑を隠せなかった。

一等級・白金級と言えば、冒険者組合が指定する最も危険な難易度の依頼。


~ 冒険者の対応可能危険度を表す表(冒険者組合指定) ~

第一等級・白金:最強の冒険者。個人では一桁しかおらず、

        パーティでも数える程しか存在しない。

第二等級・金 :超一流の冒険者。個人では数える程しかおらず、

        パーティも多いとは言えない。

第三等級・白銀:一流の冒険者。個人でも一定数がおり、

        冒険者パーティとしては熟練。

第四等級・銀 :一人前の冒険者。個人ではかなりの人数がおり、

        冒険者パーティも多くいる。

第五等級・黒鐡:やっとまともな戦力。『ギリギリ戦力内』と言われている。

第六等級・鋼 :武術の心得がある者は、ここからスタート。

        大半が使い物にならない。

第七等級・鉄 :武術の心得が全くない者が、ここからスタート。完全に戦力外。


普通は入念な準備をして、体力を温存しつつ現地に向かって、

万全のコンディションで挑む。

それを、魔力消費量の多い飛行魔法で急いで向かって攻略しろ、

って師匠は言っている。

でもまあ。師匠らしいスパルタさ、と言えば私は納得できてしまう。


「はぁ。お前らは、王国9魔将の弟子や、優秀な経歴を持った魔導師だ。

俺が認める付き添いも用意してある。言われた通りに訓練すれば、

それなりに使える魔導師にはなるだろう。分かったなら、早く行け」


準一級や二級の魔導師の彼らを使えないって言ってる?

さ、流石師匠だけど。ちょっと失礼じゃ。

怒る人も出てくるんじゃ。って心配したけど、誰も、

何も言わずに研究室を後にする。

ま、まあ、何人か不満そうな顔をしている人はいたけど。

私も師匠に軽く挨拶をすると、そのまま彼らを追いかけて行く。

もし、ここから急いで飛行魔法を使うなら、

研究室から少し離れた城壁の近くのはず。

案の定、皆さんそこに集まっていた。


「ああ。来ましたね、確か二級魔導師のミオ・シノノメさん、

でいいんでしたっけ?」


息を切らしながら付くと、パイプ、いや煙管?を吸っている、

魏・青玄?さんに話しかけられた。

私は反射的に背筋を伸ばして、色々余計なことと一緒に返事をしてしまう。


「はい!ミオ・シノノメ18歳、県立〇×高等学校に通っています!!」


あっ。やっちゃった。

なんでか、面接を思い出しちゃって、余計なことまで言っちゃった。

ああ、恥ずかしい。私ってなんでいつもこうなんだろう。本当に嫌になる。

恥ずかしさとか、焦りとか、色んな感情が入り混じって、泣きそうになってしまう。

そんな時、魏さんの笑い声が聞こえて来た。


「そこまでは聞いていないんですが。

そうですね、良い機会ですし、皆さん、軽い自己紹介でもしましょうか。

私は魏(ぎ)・青玄(せいげん)、年齢は、そうですね、30代とだけ言っておきます。

蒼龍院(そうりゅういん)魔導学府と瑞鶴院(ずいかくいん)医薬学院で、

魔導学、医学、薬学を修めました。

まあ、魔導師兼医師兼薬師の半端な男です。よろしく。

ああ、この煙管の中は全て薬草や漢方なので、健康にいい煙ですよ。

美味しくはないですけど」


色々と驚きが隠せない。30代って言ってたけど、20代にしか見えないし。

魔導師だけど、医者でもあり、薬師でもある。凄い人だ。

それに、あんな細目で見えているんだろうか?でも、優しそうな人でよかった。

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