三軍竜騎士は大罪皇女の夢をみるのか。

浅倉由依

第1話 昔々のお話です。

 かつてこの星は、人と竜が暮らす美しい世界でした。


 そこに争いはなく、人々は竜との共存を果たし、穏やかな日々を過ごしていたのです。


 お腹がすいたらおいしいご飯を食べ、優しい家族と一日の終わりに夢を見る。


 人と竜は、楽しいことが大好きでした。


 歌は互いの心を繋ぎ、言葉は愛を紡ぐのです。


 人々はこの幸せが、ずっと続くと思っていました。




 けれど悲劇は……突然起こったのです。


 とても怖いアンデッドの群れが、人々を襲ってきました。


 アンデッドは、人を食べてしまいます。


 多くの人たちは為す術もなく、屍人の眷属にされてしまったのでした。


 竜は泣き咽び、狂った人々を恐れ、この世界のどこか遠い場所へと旅立ってしまいます。




 後に残ったのはただひとり。


 最果ての魔女ひとりだけだったのです。



       ――古文訳書「竜と魔女とアンデッド」読み聞かせ、より一部抜粋。

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