第21話『骸の王と、七つの魔王座』
玉座の間に、静寂が満ちる。
指輪が骸骨の指に嵌まり、霊気のような魔素が空間全体に広がっていく。
その瞬間、王墓の回廊の奥に鎮座していた“七つの空位”──魔王座が、微かに軋んだ。
【
▶魔王の座に挑む者の資格を判定
▶資格保有者:災火の
玉座の一つが、燃えるように紅く灯る。
それは“第七魔王”の座──歪王アンヴェールの象徴。
アレヴィスが、低く口角を上げた。
「やはり君は、ここに導かれるべきだった。
この座は“正しき者”のために空けてあったんだよ」
「……誰が、何を正しいと決める?」
骸骨は問いを返す。
その声には、かつて人だったころの面影も、怯えもなかった。
「俺は誰かの意志で動くつもりはない。
選ばれたから従うんじゃない。俺が選び、貫く」
アレヴィスは、しばし黙り──やがて、静かにうなずいた。
「ならば君に託そう。七王が分裂し、世界は今、裂け目にある。
この王座は、ただの権力ではない。
それぞれの魔王は、ひとつの“世界認識”を握っている」
骸骨が、視線を玉座の列に移す。
七つの椅子。そこにいるのは“まだ見ぬ存在”たち──
「お前の座は、ここではないかもしれない」
「だが、“座を壊す”という選択肢すら、君には残されている」
骸骨の炎が、わずかに揺れる。
──王となるのではなく、王の仕組みそのものを変える。
それが、彼に与えられた“災火の意志”。
「まずは七王を知り、そして一つずつ、試してみるさ。
……この骸が、誰よりも“生きている”と証明するために」
背後のルディアが、微笑んでうなずく。
「あなたなら、必ずできる。……どんな形でも、私が見届ける」
その言葉を背に、骸骨は七座の間を歩き出す。
彼の手にあるのは、炎を帯びた剣ではない。
“信じる意志”と“選び取る手”。
──世界のかたちすら縫い直す、反逆の第一歩だった。
次回『第22話:咎天の雷槌と、堕ちた神兵』へ続く。
あとがき
今回、第21話では“魔王制度”そのものが明らかになり、主人公がその仕組みに対してどう向き合うかの第一歩が描かれました。
彼は“ただ王になる”ことを拒否し、座を選ぶのではなく“試す”ことを選びます。
第22話では、七王のひとり《咎天》との初接触が描かれ、戦闘要素も強まっていきます。
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