第11話『灰の街と、骨の王』
灰が舞う街──そこは、かつて人間たちが魔王に反旗を翻した砦都市のなれの果てだった。
瓦礫の下に沈んだ民家。
黒く焦げた剣と、折れた盾が転がる道。
そして、誰もいないはずのその街に、“亡霊”がいた。
骸骨の足音に反応して現れたのは、かすかな声。
「……まだ、戦っているのか……?」
見る影もない兵士の亡霊。
しかし、その声は確かに“生”を求めていた。
【サブキャラクター:灰守の
▶生前:城塞都市レアティの守備長
▶死因:魔王軍による都市殲滅
▶状態:残留思念/暴走寸前の怨霊
「……守りたかった。だけど、助けは来なかった」
骸骨は黙っていた。
誰かを救おうとして殺された自身の記憶が、亡霊の言葉と重なる。
だが、亡霊の姿が一変する。
悔恨と怒りに満ちたその姿が、次第に膨れあがり、骸骨に襲いかかる。
「誰も、俺を見てなどいなかった……! お前も――砕いてくれる!!」
黒い霧とともに放たれる残響の刃。
骸骨は咄嗟に身を捻り、その一撃をかわす。
「……違う。俺は“見てる”」
骸骨の奥底から、新たな力が目覚める。
【スキル獲得:
▶効果:死者の思念と接続し、記憶・技能を一時共有
▶副作用:長時間接続すると自我への干渉リスクあり
骸骨の意識に、
家族を守れなかった後悔、民を信じたことへの自責、そして誇り高き兵としての矜持。
「……こんなところで、終わるな。お前の“戦い”は、まだ終わっていない」
骸骨の掌が淡く光り、接続された亡霊の怒りが鎮まっていく。
やがて、静寂の中に声が響いた。
「……俺の剣、預ける。……あとは、お前が振るってくれ……」
そう言い残し、カラドの魂は解放された。
骸骨の足元に、一振りの剣が残る。
【獲得武器:灰守の
▶属性:死念特化/対霊・対魔族に特攻
▶効果:斬撃と同時に怨念ダメージを与える
骸骨は剣を握り、言った。
「……これで、“あの日”の続きを始める」
背後には沈黙を守る街。
その足元に、いまひとつ“戦う理由”が刻まれた。
―――――――――――――――――――――――――
【あとがき】
この第11話では、骸骨の中に新たな目的が生まれる瞬間を描きました。
他人の記憶を受け継ぎ、怨念と共に歩むその姿は、英雄ではなく“咎を背負った反逆者”そのもの。
物語は、彼の意志によってさらに加速していきます。
【応援のお願い】
読んでくださってありがとうございます。
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――次回『第12話:骸骨に集う影と、裏切り者の名』へ続く。
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