46話:壊部圧縮
「ガアアァァァァァァ!!!」
イヴは世界を揺らす程の雄叫びを上げる。
漆黒の影を
ビリビリと全身の毛が逆立つ。
しかし相手な気迫に圧されていては何も出来ない。
今は動きをどうにかして止める事が出来れば…!
彼女の触手が大きく振り回されブォン!と風が鳴る。
突風に巻き込まれる瓦礫が、私に向かって
ガラガラと瓦礫同士がぶつかり合い者音を立てる。それ事態は特に気にする必要は無いのだが、問題はその瓦礫が飛ばされた時よりも小さくなっていることだ。
砕けたにしては随分破片が大きく均等だ。
頭の上に疑問符を浮かべていると、先程と同じ様に触手が振り回され突風が起こる。
「うわっ……!!?」
回避すると同時に彼女に近付こうと動いたその時。スパンッと私が跳び乗っていた柱が斬られ倒れた。
そうか!飛んできていた瓦礫が妙に均等だったのは砕けてではなく、斬られていたからだったのか。
しかし近付いてしまえば風の斬撃も出せないだろう。
「掴んだっ!!」
頸に巻かれた触手の一本を掴む事が出来た。後は、引き寄せるなり投げ飛ばすなりして気絶とか出来ればきっと……!!
しかし実際はそう上手くはいかない。
「わっ、ちょわぁぁ!!!」
引き寄せる筈が、此方が逆に引き寄せられてしまった。
体を持ち上げられた私はそのまま壁に投げ飛ばされる。
また距離が離されてしまった。直ぐに近付こうと動いた瞬間、触手は鋭い槍の様になり私を貫こうと伸びてくる。
そうはさせまいと体を捻る事で私の土手っ腹に穴が空くことは阻止できたが、易々と安心を与えてくれることはなく、鋭い触手は雨の如く私に向かい突きの連撃を行う。
私が避けた事で出来上がった穴に体を通し壁を思いっきり蹴る。
触手は壁を破壊するばかりで、イヴは私がそこに居ないことに気付いていないようだ。
壁がもはや塵と化すまで削り続けた彼女は、私を自身の害となる者だと認識し出したのか、積極的に探すようになる。
こうなってしまってはより厄介だ。近距離でしか攻撃できない私と、正確な射程距離は分からないが、遠距離でも攻撃出来る彼女。
これだけでも不利なのに、確実に狙われるとなったら先程の様に近付くことは正に自殺行為だろう。
ならば何とかして遠距離から攻撃するのが理想的なのだが───一か八かだ。
私は近場に転がっている瓦礫を数個ひょいっと拾い上げ、イヴに向かって投げつける。
勿論このままでは薙ぎ払われて終わりだ。
そうならないために使えたら良いけど……!
《"
彼女に向かって飛んでいく瓦礫はガンガンッと一つの塊になっていく。
出来た……!!私にも治癒魔術以外も使えたんだっ!!獣人は元々魔術が使えない種族だから期待はしていなかったけど、使えるとなると何はともあれ嬉しいものだ。
彼女目掛けて投げられた瓦礫は人の頭程の大きさとなった。
「ガァァ!」
バガンッとその瓦礫は彼女の触手により破壊されてしまう。……しかしそうなってしまう事なんて予想通りだ。
この
「それはもう……
私は更に多くの瓦礫を投げる。そこに転がっている木の棒等もだ。
そうして投げられた物と先程彼女によって砕かれた塊はまた一つの塊へと姿を変えていく。
「そりゃ!そりゃ!そりゃあ!!」
投げては圧縮。投げては圧縮。それを繰り返す内にどんどんと塊は大きくなっていく。
この調子でいけば、遠距離でももしかしたら…!
「グルァァァァ!!!」
イヴは雄叫びを上げ二本の触手を大きく振りかぶる。
その触手から十字に放たれる空気の斬撃は、私の命を確実に刈り取ろうとしている事など容易に想像つく。
……そう易々と死ぬ訳にはいかない!!
手に持っている一つの小石をひょいと上に投げる。
そうして宙を舞う小石に
《"
放り投げた小石に術を掛ける。イヴによって砕かれた塊は私の真上を舞う小石に集まっていく。
「それからっと!」
近くに転がる大きな岩に着地し触れる。それにより小石へと私を乗せた岩は宙に浮き始めた。
でもこの速度じゃ彼女の斬撃は躱しきれない!完全な状態で一気に圧縮出来ないけどしょうがない。
彼女の斬撃の半分くらい上がった所で一気に跳び上がり、宙に浮く二十センチ程の塊を掴む。
その塊の上に乗りどんどんと大きくなるのを待つ。
子供ひとり分程の大きさになったのを確認して跳び上がる。
後はこれをイヴに向かって……蹴っ飛ばす!!
「こんの塊を!受け取っちゃえぇぇ!!」
ガンっと蹴ったそれは彼女に向かって飛んでいく。後はイヴが予想通りの動きをしてくれれば…
彼女は触手を連続で突き、向かってくる塊をどんどんと削っていく。削れたそれは彼女の足下や周りに散らばる。
……よしっ!後はその破片を───
「圧縮っ!!」
破片は触手を動かす彼女を挟んで合体しようと動き出す。
どんどんと集まっていくそれは彼女の頭から下を覆うように一つの歪な岩となった。
これによって触手も隙間に挟みながら塊となってくれたお陰で、そう易々と抜け出すことは出来ないだろう。
こうして、あの黒いのをひっぺがすだけと言うところまで状況を運ぶ事に成功した。
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