第34話 友人

「え~離婚した~? どうして?」

「ちょっと声が大きいわよ。」

「大きくもなるわよ~。」

 綾香は、親友の真澄とコマダ珈琲店で向かい合っていた。

「子どもたちも家を出たし、それぞれ1人になってみようってことに・・・・。」

「だって、あなたたち仲悪くなかったでしょ。

 離婚する理由ないでしょ。どっちから言い出したの?」

「う、うん。私だけど・・・・。」

「怪しいなぁ・・・。だって、和也さん、いい人だし、働き者だし、いいパパだったじゃない。何かあるでしょ。理由が。」

「隠せないか~。実はね。私、好きな人ができたの・・それで・・・お付き合いしたくて。」

 さすがに不倫したことは言えない。


「え~。それで別れたの?そのこと和也さんに言ったの?」

「言えるわけないじゃない。」

「よく納得したね。和也さん。」

「う~ん。疑ってはいなかったけど、別れたく

 なかったと思う。だから、私を女扱いしてなかったじゃないって、ちょっとひどいこと言っちゃった。」

「かわいそう。本当のこと知ったら、すごいショックだと思う。」

「うん。だからこのこと黙っていて!お願い!」

「しかたがないなぁ~。それで、その男とはどうなってるの。」

「うん、付き合い始めて、今、一緒に住んでる。」

「うわ~。それ和也さん知ったらショックじゃない。」

「恋をしたいって言って家を出たから・・・でも、いつか言わなくちゃ。」


「ふ~ん。びっくりしたなぁ。それで~。今、夫と別れて、今あなたは幸せいっぱいってところで私に、惚気に連絡をしてきたってわけか。」

綾香は慌てた。

「え?」

「う、うん。まあ、まあね。そんなところ・・。」

「じゃあ、綾香のハートを奪った、どんな素敵な男性か言ってみなさい!」

「う、うん。料理に詳しくてね・・・・・それで、おしゃれでね・・・話がおもしろくて・・・・。


本当は、真澄に聞いてほしいこととがあったのに。


私、逆のことを言ってる・・・。



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