2幕

第30話 それぞれの選択肢


——魔王を倒すことこそ、真の平和をつかみ取れる。その言葉を信じて、彼らは王国グラードは力を入れてきた。


……それが、世界のタブーであることも知らないというのに。


「な、なぜだ……なぜ不運が続いていく!?」


王国グラードの王は次々と迫り来る問題の数々に頭を抱える他なかった。


先日、魔王ヴァイスを打ち倒すためにこれまで自分たちが積み上げてきた結晶……勇者パーティーが惨敗した姿で王国に帰ってきた。


そして彼らを連れて帰ってきたであろう新たな聖女、リオネッタは「どうかお気をつけてくださいませ」意味深な言葉を残して、王国グラードから姿を消していくことになる。


魔王が滅んでほしいと願うグラードの国民にとって、勇者パーティーという希望の星がやられたとなれば、不安と恐怖に駆られることになる。


それはなんとしても阻止したかったのか、上層部は彼らが魔王に惨敗したことは再び隠すことにした。


だが……勇者達がやられたという情報がなぜか王国中に広がっているのだ。


「一体誰だ……!勇者パーティーがやられたと報告した愚弄は!!」


また、勇者パーティーという存在が他国にもバレてしまうことになる。

元々、その存在を仄めかしていたが、魔王を倒すという目的で結成されたことも知られてしまったのだ。


それは、魔王達にあまり干渉しないという約束を交わした国々にとっては容易できるものではなかった。

結果、これまでグラードと関係を築いてきた国が次から次へと縁を切られることに。


「こ、国王様!!」


「……今度は何だ?」


嫌なことばかり想像してしまう。

グラードの王はそんなことが頭をよぎるが、聞かないわけにはいかず、兵士の報告を聞くことに。


「さ、さきほど!エルフの王からエミリー殿についてお話ししたいと!」


「……まさか」


バレたのか?彼女が自分たちの国で造られた人造人間であることが。

そんな予感を感じとり、顔を青ざめてしまう。


(もしそんなことがバレてしまえば、最悪の場合戦争になることも……)


「……」


「あ、あの、国王様……?」


「……勇者パーティーを国から放り出せ」


「え?」


「奴らを誰にも会わせるな!!これは極秘の命令だ!!失敗したら死ぬと思え!!!」


「は、はいっ!」


王の怒号ですぐに兵士は行動に移し、宮殿から出ることに。

残された王は頭を抱えこれまでのことを考える。


(儂はどこで間違えた?魔王を倒し、真の人間の世界を取り戻すという宿命は間違えたというのか?)


彼の頭の中はそんな考えが浮かぶばかりなのであった。





「……」


王国グラードから少し離れた山地にて。まるで見下ろすようにグラードを眺めるその聖女、リオネッタは誰にも聞こえないほどの小さな声で呟く。


「……貴方たちの決断は、決して間違いではありません」


それは、魔王を討伐する決断を取った王国グラードに対して。


「事実。魔王たちに恨みや憎しみを持つ者も存在しています。その者たちのために動くことは、きっと立派なことでしょう」


そう呟きながら、彼女は王国に背を向けるように歩き出す。


「ですが、それで多くの人々が命に晒されるのなら……私は、より多くの人たちが生き残る選択を取ることにしましょう」


——たとえそれが、人間として間違いだったとしても。自分を如何に汚そうとも。


そう言った彼女は自身が仕える国へと帰るために、彼女は足を進めるのであった。






《全てを失う悲劇の悪役による未来改変》


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