――卵かけご飯の恐怖――
昔の人は、栄養を付けて元気になるには、取りあえず、卵と云うような凝り固
まった考えがあったのだろう。
生卵の記憶は、まだ
と云う事は、上の
るため、どれだけ苦労して卵かけご飯を食べさせたかと言う話をした。
「は~い、コッコちゃん卵よ、はい、コッコッコ…コッコッコ~」と言って、スプ
ーンに卵かけご飯を入れて追いかけて来た。
私は、あのヌルヌルした生臭い生卵が大嫌いだった。
無理矢理、口を開けさせられて、一口入れるだけで、吐き気がした。
その場で吐き出すと、お茶碗から吐き出した卵かけご飯を、そのまま、すくって
又、口に押し込められた。
その気持ち悪さから、食べたふりをするため、口に含んだまま、フラフラ歩き回
る振りをして、縁側から庭に吐き出したり、勝手口の土間に吐き出したり、ゴミ箱や
台所の流しに吐き出しに回った。
それが、ある時にバレて、余計に厳しく監視され、口に入れられた後、「あ~ん、
してごらん」と口の中を検査された。
口に入った途端に気持ち悪くなり、噛まずに、ご飯を丸呑みしたが、飲み込むの
には苦労した。子供用の小さいお茶碗だったが、一杯分を食べるのが拷問だった。
最後の方は、飲み込む度に、涙が溢れて来る。
目に涙を浮かべているのを見た
「ホラ、ホラ、コッコちゃん卵よ、はい、コッコッコ…コッコッコ~」と言いなが
ら、食べ終わるまで追いかけて来た。拷問だった。
そんな辛い思い出を、
勿論、今でも生卵は食べられない、半熟卵も苦手だ。
そのため、すき焼きも食べられない。生卵を付けなくても、すき焼き自体も牛肉
も嫌いになった。
半熟卵を使った、親子丼などの丼物もトロトロのオムライスなども食べられない。
最近では、ハンバーグやステーキなど、何にでも半熟卵が乗っている料理が多
い。
困った事に、それだけで気持ち悪くて食べることが出来ない。
70歳になろうとする今でも、テレビのグルメ番組などで、生卵や卵が乗った料理
を見るたびに吐き気がする。
卵かけご飯なんて、とんでもない。見るのも気持ち悪い。
どうして、日本人は、卵がここまで好きなんだろう?と思ってしまうと同時に、半
煮えの卵や生卵が食べられないことによって、世間を狭くしているようで情けなくな
る時がある。
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