第14話 "クイーンズエンジェル"死す!そしてギルマスの引退

ギルドに海鮮を卸した凪沙達。

代金を受け取り、屋敷に帰る。


(メイド長 コンナ:女)

おかえりなさいませ、ご主人様方。



いつもの出迎えを受け、リビングへ。


(菊池 凪沙)

また、山菜も行こうね。


(元クイーンズエンジェル 弓使い ショウ:男装)

おぉ、あの"お任せ"の店な!


(元クイーンズエンジェル シーフ ミケ:男の娘)

いつ行こうか?


(元クイーンズエンジェル 魔法使い アキ:男の娘)

そうだなぁ……来月はどうだ?


(元クイーンズエンジェル 騎士 レン:女)

よし、来月行こう。


 

来月行く事が決まった。

そんな幸せな日々を送っていた。

しかし、年月は残酷だ。

凪沙は"不老"だが、レン達は"不老"ではない、老いるのだ、どうやっても逃げられない老衰というものに襲われる。

意外にも、最初に動けなくなったのはショウだ。


(菊池 凪沙)

ショウが一番長生きすると思ったけどなぁ……


(弓使い ショウ)

あゝ?なんで?


(菊池 凪沙)

バカだから。


(弓使い ショウ)

うっせぇ〜わ!


(菊池 凪沙)

惜しい人を亡くしました(涙目)


(弓使い ショウ)

なんでだよ!生きてるよ!まだ死なねぇ〜よ!


(菊池 凪沙)

しぶとい。


(弓使い ショウ)

悪かったなぁ!

しかし、そんな顔すんなよ、お前と違って老いるんだよ。

お前にとっては歳なんて数字だろうが、オレらにとっちゃあ、そうはいかねぇ〜。


(菊池 凪沙)

そうだけどさぁ……(涙目)


(弓使い ショウ)

オレはしぶてぇ〜ぞ、これからが長い、心配すんな。


(菊池 凪沙)

うん。



それから凪沙は暇になると、ショウと一緒に居た。

すると、しばらくしてミケ、アキと立て続けに動けなくなり、遂にはレンまで動けなくなった。

凪沙はギルドからの依頼を全て断り、レン達の介護に集中する。

屋敷も菜園もメイド達に任せた。


(シーフ ミケ)

ねぇ、ナギサ、ギルドは大丈夫なの?


(菊池 凪沙)

うん、大丈夫。

ギルマスが今、値の釣り上げにかかってるんだって。

しばらく無しにして、もっと先でデカい取り引きするんだって。


(弓使い ショウ)

嘘つけ!お前、全て断ってるだろ。


(魔法使い アキ)

ボク達の事は良い、ギルドをしてやってくれ。


(騎士 レン)

メイドの数も増えてる、そこまでしなくて良い。


(菊池 凪沙)

いや、ボクがしたいんだ。

今しなかったら、一生後悔するから(涙目)


(弓使い ショウ)

そりゃダメだな、お前の一生は長ぇ〜(笑)


(シーフ ミケ)

なら、最期までお願いね。


(菊池 凪沙)

もちろん(涙)



凪沙は最高級の介護ベッドに車椅子、介護用品とありとあらゆる商品をポチりまくった。

食事にも気をつけ、体調管理に定期的に回復魔法もかけた。

なので、レン達は風邪ひとつ引くことなく、元気に老いていった。

メイドも更に増やし、24間体制で介護した。

しかし、最期はやってくる。

老いは、老いだけは止められない。

凪沙は生き返らせる事すら出来るのに、老いだけには無力だ。


(騎士 レン)

ナギサ、今までありがとう。

こんな最期が迎えられるとは考えもしなかった。

冒険者はいつ死んでもおかしくない。

知り合いもたくさん死んだ。

まさか天寿を全うできるとはな。


(魔法使い アキ)

しかも、お貴族か!ってぐらいの介護をうけてな。


(シーフ ミケ)

いや、お貴族すら、ここまでしてもらえないんじゃない?


(弓使い ショウ)

なんたって物が違う、こんなもん見たことねぇ〜。



そんな話をした3日後、"もし、お前らが良かったら、死後の世界でもパーティーを組もう"と言い残して、レンが息を引き取った。

そして2ヶ月後、"リーダー1人なら寂しがってると思う、今度はボクがリーダーのところへ行くね、今までありがとう、ボクは幸せだった"と言い残してミケが旅立った。

その半年後、"こんな幸せな人生、送れるとは思わなかった、皆んなありがとう、リーダーとミケに会いに行ってパーティー組んでるよ"と言い残してアキが亡くなった。


(弓使い ショウ)

なっ、言ったろ?オレはしぶてぇ〜んだ(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

流石ショウ、一番最初にくたばると思ってた(ニヤッ)


(弓使い ショウ)

吐かせ(ニヤリ)



凪沙は毎日、ショウと過ごした。


(菊池 凪沙)

ショウ、抱いて(ニヤッ)


(弓使い ショウ)

できたら姦ってるわ(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

溜まってるね(ニヤリ)


(弓使い ショウ)

そんな元気はねぇ〜よ(ニヤリ)



そんなバカ話をしながらショウと過ごす凪沙。

しかし、それも終わりが来る。


(弓使い ショウ)

あゝ、オレ、そろそろダメみたいだわ(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

しぶとかったねぇ〜(涙目)


(弓使い ショウ)

涙目で言っても、説得力ねぇ〜ぞ(ニヤリ)


(菊池 凪沙)

ショウまで居なくなったら、ボク、どうしたらいいんだよ(涙)


(弓使い ショウ)

吐かせ、お前は"不老"だろ。

これからもこんな事はあると思うぞ、いや、絶対あるな(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

なんで、"不老"だったんだろうなぁ……(流涙)


(弓使い ショウ)

バカ野郎、それがお前の運命だよ。

バカみたいな力もそうだ、オレらはそのおかげで夢みたいな生活送って、これだ。

冒険者になった時ぁ〜、引退が早いか死ぬのが早いかって賭けてたぐらいだ。

こんな長生きできるとは思ってもなかったぜ。

で、なんだこれ、お貴族も裸足て逃げ出す贅沢な毎日だ。

こんな事、誰が考えるか。

それも全部、お前のおかげだ。

まぁこれから放浪の旅、楽しめ。

色々この世界、見て回るんだろ。


(菊池 凪沙)

誰が案内してくれるんだよ(半泣)


(弓使い ショウ)

さぁな、間違ってもオレじゃねぇ〜、オレ達でもなかったな、それはすまん。


(菊池 凪沙)

放浪の旅なんて、どうでも良い。

ショウ達と暮らしてるのが幸せなんだ。


(弓使い ショウ)

身体の相性もバッチリだしな(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

そうだよ、身体の相性はバッチリだよ、ショウ達無しでは生きていけないよ。

そんなにしたんだ、責任とってよ(涙)


(弓使い ショウ)

責任かぁ……取れそうにねぇ〜な、悪りい。

まぁ、また出会いっつうもんはある。

お前、"不老"だから長生きだろ?こんな事でしょげてたら、この先心配だなぁ。


(菊池 凪沙)

だったら……


(弓使い ショウ)

一緒に居てってか、無茶言うな。

オレの事を思うなら、心配させるな。

また良いヤツ見つけて楽しく生きろ、楽しく姦られろ(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

ショウ……


(弓使い ショウ)

泣くな、仕方ねぇ〜だろ。

まぁ、あっちに行ったら、リーダー探すわ。

で、"クイーンズエンジェル"復活だな。

お前もメンバーなんだ、お前の事は忘れねぇ〜ってか、忘れられねぇ〜な。

いつでも見守ってるぜ。

姦られるところもしっかりな(ニヤリ)


(菊池 凪沙)

うん、しっかり見てて、楽しんで(涙)


(弓使い ショウ)

ははは、言うじゃねぇ〜か、しっかり楽しませてもらうぜ。

まぁ、マジな話、今までありがとな。

こんな夢みたいな人生、送れたのもお前のおかげだ、礼を言うぜ。


(菊池 凪沙)

こんなの、大したことない、もっと色々したかったよ(涙目)


(弓使い ショウ)

色々って?


(菊池 凪沙)

えーっと…………何が良い?


(弓使い ショウ)

ほらみろ、色々やってくれたんだよ。

オレは、いや、オレ達だな、皆んな満足どころか感謝してるぜ。

だから、変な心配させんな、なっ!


(菊池 凪沙)

うん……でも、泣くぐらいさせてよ(涙)


(弓使い ショウ)

仕方ねぇ〜なぁ。

お前、他のヤツらの時も泣きまくってたもんな。

でも、腹括れよ、これからもあるぞ(ニヤリ)


(菊池 凪沙)

バカなのに、そういうとこは鋭いね(半泣)


(弓使い ショウ)

バカは余計だ、バカは(笑)


(菊池 凪沙)

分かった、腹括るよ。


(弓使い ショウ)

おぉ、それでこそ"クイーンズエンジェル"の一員だ。

オレらに涙は似合わねぇ〜。

バカが死んだと笑うもんだ。


(菊池 凪沙)

流石に…………無理(流涙)


(弓使い ショウ)

しゃあねぇ〜なぁ〜、許してやんよ(ニヤッ)

おっと、そろそろ時間だな。


(菊池 凪沙)

ショウ!(流涙)


(弓使い ショウ)

なんだ、うるせぇ〜なぁ〜、ゆっくり寝させろよ、疲れたわ。


(菊池 凪沙)

ごめん。


(弓使い ショウ)

悪りいと思うなら、そうだなぁ……笑え、お前の笑顔、見せろ。


(菊池 凪沙)

うん……



凪沙は無理して笑った。


(弓使い ショウ)

お前なぁ〜、引き攣ってるじゃねぇ〜か(笑)


(菊池 凪沙)

ははっ、ごめん(笑顔)


(弓使い ショウ)

そう、その顔だ。

お前の笑顔も見れたし、そろそろ寝るか。

そうだ、オレらの金なぁ、全部お前にやる、旅の路銀にしろ。

これは皆んなで決めてたんだ、嫌とは言わせねぇ〜。


(菊池 凪沙)

分かった、でも、これだけはさせて。

お墓の維持、これだけはやらせてね。


(弓使い ショウ)

そんな無駄金、使う必要はねぇ〜ぞ。


(菊池 凪沙)

ボクがしたいんだ、でなきゃ必ず悔やむから。


(弓使い ショウ)

まぁ、冒険者に墓は似合わねぇ〜んだがな。

維持する仲間も居なくなりゃあ、朽ちて無くなるのが冒険者だ。

大体、墓なんてあるヤツが珍しい。

お前が皆んなの墓建ててくれるがな(ニヤッ)


(菊池 凪沙)

でも、それだけは、お願い。


(弓使い ショウ)

わぁ〜った、好きにしろ(笑)


(菊池 凪沙)

ありがとう(涙目)


(弓使い ショウ)

じゃあ、オレはそろそろ寝るわ(微笑み)


(菊池 凪沙)

うん、おやすみ、ゆっくり寝てね(涙笑顔)


(弓使い ショウ)

ありがとよ、ホント、お前は泣き虫だな(笑)


(菊池 凪沙)

あはは(笑顔)


(弓使い ショウ)

その顔見れて、ホッとしたぜ、おやすみ。


(菊池 凪沙)

おやすみ。



そう言うと、半間後、息を引き取った。


(菊池 凪沙)

ショウ……ショウぉぉぉっ!(号泣)



しばらく泣き崩れた凪沙。

涙を拭くと……


(メイド長 コンナ)

ご主人様……


(菊池 凪沙)

明日、ショウを埋葬します、手配を。


(メイド長 コンナ)

はい!



翌日、葬儀が行われ、ショウが埋葬された。

ミケが死んだ時、レンを埋葬し直して、皆んな一緒に埋葬できるように、墓地を買っていた。

ここに4つ目の墓標が建つ。

"クイーンズエンジェル"の墓だ。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

これからどうするんだ?


(菊池 凪沙)

まだ考えてない。

気持ちの整理がついてから考える。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

まぁ、無理すんなよ。



そう言うと、ギルマスは帰って行った。

管理人に永代供養にはいくら要るか聞き、その3倍額を払い、念入りに手入れを頼んだ。

その後、屋敷に戻る。

もうメイドはそんなに数は要らない。

メイド長と話し、最初のメンバーだけ残ってもらい、後は暇を出した。

いわゆる解雇だ。

退職金はたんまり弾んだ。

皆んな大喜びし、お礼を言って退職した。


(菊池 凪沙)

これからよろしくお願いします。


(メイド長 コンナ)

何をおっしゃいます、こちらこそよろしくお願いいたします。



凪沙はギルマスの引退までは街に留まる事にした。

放浪の旅はいつでも行ける。

ギルマスが現役の間は、この街で依頼を受けることにした。

なんだかんだで恩はある、だから、それを返すことにした。

ギルマスは大喜びした。

これで引退まで安泰だと。

それから凪沙は意欲的にクエストを消化していく。

採取から討伐まで。

たまに海鮮や山菜を食べに行っては、料理を土産にお墓参りもした。

あまりしょっちゅう行っても心配したらいけないので、レンらの時と同じ間隔で参った。

そうしていると、ギルマスに引退の通知がきた。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

今までありがとう、ボクも引退だ。


(菊池 凪沙)

こちらこそ、色々お世話になりました。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

これからは?放浪ですか?


(菊池 凪沙)

そうですね、この世界を見て回ろうと思います。

前回の旅で、この国の大体は見たので、国境を超えてみようかと。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

なら、これを持って行ってくれ。



そう言うと、冒険者カードを渡した。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

とっておいたんだ。

これで国境も自由に行き来できる。

知っての通り、ギルドは第三者機関だ。

ギルドの口座も使えるが、必要ないか。

ただ、送金はできるので、便利に使ってくれ。


(菊池 凪沙)

ありがとう。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

一応、金ランクにした。

その上を復活させるか迷ったが、この方が良いだろう。

変に絡まれる心配もない。

ただ、協力は求められると思うので、適当に相手してやってくれ。


(菊池 凪沙)

分かりました。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

じゃあな、また会えたら嬉しい。


(菊池 凪沙)

そうだね。

一周回って戻って来たりしてね(笑)


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

あり得るよな(笑)


(菊池 凪沙)

で、この街って、なんて名前だっけ。


(ギルドマスター コルナ・ビアンナ)

そういえば、言ってなかったな。

ここはクロネだ、覚えていてくれ。


(菊池 凪沙)

分かった。



そう言うと、凪沙はクロネの街を出発した。


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