第10話 病気が教えてくれたこと

── 苦しみの中で見つけた光、自分らしく生きるということ



統合失調症と、潰瘍性大腸炎。

ふたつの病気とともに歩いてきたこの人生は、気づけば、思っていたよりもずっと長く続いている。


振り返れば、つらいことのほうが多かったかもしれない。

心が壊れた日。閉鎖病棟で過ごした日々。

三度の閉鎖病棟への入院。

体の自由がきかなくなったとき。

言葉にできない寂しさや苛立ちを、何度も抱えた。


でも、不思議と「生きていたい」と強く願ったことはない。

かといって、「死にたい」と思ったわけでもない。


ただ、毎日を、なんとなくでも乗りこなしてきた。

それだけのことだった。


でもその「なんとなく」こそが、

わたしがちゃんと生きてきた証なのかもしれない。


他の人みたいにバリバリ働くことはできないし、大きな夢があるわけでもない。

でも、朝起きて、働いて、ごはんを食べて、ほんの少し笑うことができたなら、それで十分なんだと、今は思える。


病気が教えてくれたのは、「他人のように生きなくていい」ということだった。


わたしにはわたしのペースがあって、わたしなりの暮らし方がある。


これからも、きっと波はある。

調子のいい日もあれば、うまくいかない日もある。

でも、それも全部、わたしの人生。


特別じゃないけど、どこかに静かに根を下ろすように――

新しいわたしで、病気を乗りこなしていく。

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