婚約破棄された姫は、神様な兄とドラゴン王子に奪い愛されています。
@Luneveil
第1話婚約破棄されたら神様が兄になりました。
婚約破棄された夜、私は自称兄な顔のいい男に攫われていた。
「さぁ、エル!今日から俺はお兄ちゃんだ!」
悲しくて、悔しくて、人生最悪の日になるはずだったのに。
-あの“変な兄”との出会いが、私の運命を変えるとは——そのときの私は、夢にも思わなかった。
私は、小国〈リヴェリア〉の第一王女エルミナ。
王城では華やかな舞踏会が行われていた。
今宵、私はとある国の王子と政略結婚の為の婚約が発表される予定、なのだが…
「どうした?壁の花をしているじゃないか。
今日はお前の婚約発表の日だろ?」
ニヤニヤと私を見下すように、兄ジルが声をかけてきた。
「…別に。なんでもありませんわ。」
冷静にできるだけ冷たく返す。
この嫌味な男と私はすこぶる仲が悪い。
肝心の私の婚約者は、どういうわけか先ほどから私に目もくれず他の令嬢方と踊るばかりだ。
(まぁ、期待はしていないから相手にされないのは別にいい)
「まぁ、仕方ないわな。王子は華やかなお方だ。お前のような地味で田舎育ちの女など、政略結婚でなければ相手にもしないだろう。」
「お言葉ですが、政略結婚に愛は求めておりませんのでご安心を。」
私と王子も関係のいい婚約者とはいえない。
兄の言う通り、王子は私が地味な田舎女である事を嫌っている。
「お、王子が移動したな。そろそろお前も移動した方がいいんじゃないか?」
「そうですわね…。失礼致します。」
王子は、さきほどまで踊っていたご令嬢の手を離し、優雅に壇上へと上がっていく。
それに合わせて、舞踏会に流れていた音楽がすっと止み、ざわめきが広がる。
「お集まりの皆さま。本日は、皆さまに大切なご報告がございます」
(え?どう言う事。発表は2人揃って壇上にあがってからじゃなかった?)
王子は1人で壇上に上がって話し始めている。
慌てて私も王子の元に向かうが、その前に王子はとんでもない事を言った。
「本日、私、レオナルドはーー政略とはいえ、地味な彼女との婚約を破棄することを決めました!」
婚約発表の場でまさかの婚約破棄。
会場の空気が変わり、周りの視線が私に集まる。
ーーー羞恥。
何も知らず壇上に向かおうとしていた私に向けられる視線は、好奇心と嘲笑。
壇上の王子はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。
(落ち着くのよ、私…。)
ここで泣いてしまっては、相手の思う壺。
小さく拳を握りしめ、深く息を吸うと、壇上に目を向け――
にっこりと笑って、はっきり言い放った。
「清々しました。王子。
仮にも婚約を破棄する前の段階で、誰彼構わずご令嬢と踊り、
こちらの様子を伺ってから満を持して“発表”するような男、こちらから願い下げ、ですもの。」
「なんだとッ⁉︎」
王子が僅かに狼狽える。
私は、悔しさで涙が滲みそうになるのを必死に抑え、震えそうになる足に力を入れて、乱れそうになる呼吸を整えて、胸を張って言い切った。
「それでは、失礼致します。」
クルッと身体の向きを変えて、近くにあったワイングラスを手に取り、一気に流し込んだ。
その甘さと渋さを喉に感じながら私は、会場を後にした。
背中に突き刺さる冷たい視線と好奇心とご令嬢達の歓喜の声ー。
(もう、私には関係ない)
ドレスの裾をもち、小走りに王城の門を飛び出した。
「こんなところに、こんなに大きな木ってあったかしら。」
目的もなくただ走り続けていたら、目の前にどこか、神々しさを感じる大樹があった。
どこか暖かそうな空気感を感じ、今まで留めていたものが溢れてくる。
「…王子に好かれていない事はわかってた。
でも、あんなやり方でしなくてもッ‼︎
わぁぁぁー‼︎。」
大声をあげて泣いてしまった。
化粧も整えた髪も気にせずひたすら泣いた。
そのまま子供のように30分ほど子供のように泣きじゃくっていると、だんだんと落ち着いてくる。
「思いっきり泣いて少し、すっきりした。聞いてくれてありがとう。
あ、そうだ。お願いもしておこうかな。」
大樹が何だかずっとそばで寄り添ってくれていた気がしたので、お礼ついでに祈っておいた。
(婚約破棄の件、大事になりませんように……)
(あの王子が後から何か吹聴して回りませんように……)
瞬間ーーー
「眩しい!?」
神木が、突然まばゆい光を放った。
そして、光の中心から、
――ありえないほど整った顔の青年が、現れた。
「なんだか懐かしい気配がしたがーまさか……リリアン?」
彼は目を見開いたあと、少し苦しげに笑った。
「……いや、違うか。死んだんだよな。あいつは」
「は、はぁ?」
何それ、不吉すぎる……てか、誰?
「えっと、どちら様でしょうか? 私、リヴァリアのプリンセスエルミナですけど」
内心は《誰?怖っ⁉︎》だけど、
イケメンすぎて、失礼なことが言えなかった。
……私は、面食いだ。
「声までそっくりだ。いや、これはもう確信だな」
男は私をじっと見つめ、ふっと微笑んだ。
「いいだろう。私のことは兄と呼んで構わない。さあ、神界に行こう。皆に紹介したい!」
「兄⁉︎ 神界⁉︎ 誰ですかあなた⁉︎ まだ名乗ってもいませんよね⁉︎」
「俺はアスガルドだ。お前のお兄ちゃんだ‼︎ 」
「答えになってない‼︎」
パニックになり叫ぶ私を気にもせず担ぐと、男は神木に手をかざす。
「異議は? ないよな! じゃ、出発だ★」
断る間もなくー私は、連れ去られた。
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