第20話:6/23/月:

 5:30AMちょうど!

 パッと起きて、カーテンを開ける。

 朝だ、アサダアメ。


 今日はやるぞぉ!

 けど何をしよう。

 そこもワクワクなんだけど。


 まずはメガネをかけよう。

 ん、床、キレイ。

 でも、水ぶき。


 和室は昨日でだいぶ片付いた。

 箒がけ。

 ごはん、レンチン。


 よしと。

 ごはん食べたら、入浴。

 うーん、廊下が肥料の臭いする。


 田舎の香水っていうんだって。

 窓、閉めるか。

 洗面台もふいて、鏡みがいてと。


 今日の香りはスルタン。

 甘やかで神秘的な魅力。

 好きなんだけど、自分には似合わないかな、と思ってて。


 でもせっかく、夕べからコーデ決めてたんだし。

 思いきるのよ。

 ストレートパーマの薬液の臭いはイヤなのよ、本当。


 リラックスが台無しで。



 ルイボスティー飲も。



 にゃんこのブラッシングはOK.

 今日は爪切りの日。

 スコちゃんが素直に切らせてくれるかなぁ。


 猫は脚に触られるの、嫌がるから。




 昨日、かましんでKITAIDE家の面々に出逢った。

 私は目が悪い癖に、人との距離をかなり長くとる。

 人違いをするといけないから、遠くから観ているわけ。


 で、KITAIDEさんに笑顔で話しかけられて、ああ! と思い、お孫さんの名を呼んだ。

 あどけない、お人形さんみたいな子。

 両手に何か持っているけど、よく見えないから、


「何持ってるの? おかし? よかったねえ」

 って話し、男の子はおもちゃの刀を抜き放った。

「武器持ってるの! 剣だねえ、一の呼吸!」


 って言ったら、KITAIDEさんが、

「タンジロウだよ、シャキーン!」

 って擬音を入れてくれた。


 しかし、その子は、一言も口をきかなかったばかりか、終始キョトーンとしていたのだ。

 お姉さまが中学生で、美容室でお手伝いをしていたが、やはり声をあまり発さなかった。

 マンション暮らしの子と接するの、初めてだからわからないな。


 声を聴かれたくないのか?

 子供らしい声を出さないように、しつけられているのか?

 どんな暮らしをしているのか、まったくわからない。


 KITAIDEさん宅は、朝、廊下側の窓と玄関ドアが開け放たれていて、多分、空気の入れかえをしているのだろう。

 ここの廊下を歩いていて思うのは、各家庭にそれぞれの匂いがあって、ドアの前を通り過ぎるごとに様変わりしていくのだ。

 甘い香がすると、ああ女性が住んでるな、と思うし、オーガニック系の匂いだと、年配の富裕層かな、と思ったりする。


 私の部屋は、洗濯せっけんの匂い。

 いつもこうありたいものよ。



 そうそう、最近、洗濯の時、洗剤と洗う順番みたいなのを見つけた。

 インナーと使用済みタオルは別に洗う。

 レンジやコンロをふいた油汚れの布巾は、洗剤も変えるし、柔軟剤はお気に入りのタオルと身に着けるものにしか使わない。


 長期的に看てどうかはわからないけれど、何かの節約にはなるだろう。

 特に、アロマ系の、ビーズとか柔軟剤とか。

 自己満足だけれどねぇ。




 家計簿を眺めていて気付いたのだが、まとめ買いって効果的に取り入れないと、単なる浪費になってしまう。

 三日分の食材、買ったとて。

 冷蔵してもつかというと、そうでもない。


 葉ものはすぐいたむから、大量に買っても消費が追いつかない。

 結局、健康的な食事のためにも、毎日節約しつつ、お買い物した方がお財布にやさしい。

 特売とか、利用してね。


 肉のメガ盛999円とか、レタス丸ごと108円とか、サメの切身二切れ200円とか。

 直売所を利用する手もある。

 パンパンにぎゅう詰めされたほうれんそうが、120円とか。


 母の情報うれしいな。

 けど、私はなぜかかましんの六束で170円のほうれんそうが好き。

 インプリンティングで、渋みがうまみに感じるのだ。


 白だしかけたときの味がしみる。

 なにより、満足感がある。



 昔、何かにかぶれた上の妹が、私に向かって

「豚!」って言ったけど、今や彼女は正真正銘のおデブさんです。

 呪い返ししといてよかった。


 お気の毒。

 せっかくソクラテスのつもりだったのにね。

 ソクラテスは不幸な結婚をしたの、知らない?


 哲学者のマネしたって、人生がややこしくなるだけだ。

 もっと頭のいい人にまかせとけばよろしい。

 ま、太ったのは子供の残した食事を食べたから、と言ってたらしいけど、本気で痩せる気はないと看た。


 大丈夫よ、祖母に「あれは幸せ太り」って言ったから。

 もう亡くなったことだし、私は悪口言わないやさしい姉だから。




 今日の洗面台のお花は、あじさいとドクダミだったわ。

 そういえば、ネギの花が咲いてたようだけど、ああいうのは自然のままがいいわね。

 楽しいし。


 まあるく、ぽむんとしていて、風にそよぐ姿が牧歌的。

 ネギの花って紫なのね。

 なんで私、あれがネギってわかったのか、自分でわからないのよ。


 勘違いかも。

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