第4話「高持生徒会役員」

生徒会室に入ると、他の教室とは違う何か特別な空気に変わった。


 とても透き通ったような、綺麗な空気。


 一歩ずつ歩いていくと、生徒会長がいた。


 どうやら、書類の作業に追われてるらしい。




「あの」




「あ、いらっしゃい。さぁ、そこに座って」




「は、はい」




 とても緊張した。


 だって、今まで入ったことない生徒会室に、あの有名な生徒会長がいるから。


 私とは縁のないようなものだと思っていたが、こうして実現してしまうと、緊張する。




「ちょっと待っててね。今、他の役員もくるから」




 そう言われて、私は軽く頷いた。


 他の役員がくるまで私は、とりあえず、生徒会室を見渡してみた。


 分厚い本や、高持女子高の今までの記録だろうか、そんな難しそうなものばかり置いてあった。


 そして、目の前の机の上にあるのは、今年の予算とかそんなものだろう。


 みんなの憧れてる生徒会長が、こんなにも追われて必死に、整理していて本当に生徒会は大変なんだなと感じた。




「お待たせ、先生の話が長引いちゃって」




 声がした方に顔を向けると、生徒会長と同じくらい綺麗で可愛い人が入ってきた。


 恐らく、生徒会長と同じ2年生であろう。


 とても落ち着いた感じの人だ。




「大丈夫、まだ時間はあるし」




「あ、もしかして昨日言ってたあの子?」




「えっ」




 真っ先に私に話を振ってきた。


 そして、先輩は、目を輝かせて私に近づく。




「可愛い」




(え、え?)




 とても驚き、意味が分からなかった。


 いきなり、可愛いと言われ、抱きしめられたのだ。


 よく私も友達と抱きしめられ、女の子の香りで満たされるが、何故か先輩の香りは友達のと違った大人の感じであった。


 甘くて、優しい気持ちになれるそんな香りだ。




「止めなさい、驚いてるでしょ」




「ごめん、あまりにも可愛くて」




 生徒会長に注意をされると、先輩は私から離れた。


 そして、いつも座ってる場所なのだろうか、会長の隣に席を着く。


 私も乱れた席を正し、元の場所に戻った。




「ごめんなさい、遅くなりました」




「遅れてしまいました」




 と、またもや入口から二人入ってきた。


 見た感じ、私と同い年の子だ。


 一年生といったところだろう。




「大丈夫、席に座って」




「はい」




「分かりました」




 その二人も席へと座る。


 私の左隣に二人並んで座った。




「これで全員揃ったわね。まず、自己紹介をお願いしようかしら」




 会長は私にみんなを知ってもらうため、自己紹介を始めた。


 


「じゃあ、私から。名前は、和宮はと。高持生徒会の書記をしてるの。よろしくね」




 次というように、だんだんとみんな説明していく。




「私は、青空優芽。高持生徒会の会計をしてます、よろしくお願いします」




 すると、その後に、優芽の隣にいた子が説明を加える。




「あと、優芽はМだから」




「な」




 顔を真っ赤にして、少し下を向いた。


 恥ずかしかったのだろう、でも、少し嬉しそうな感じだ。




「うふふ。私は赤根夕陽、生徒会の手伝いをしてる感じかしら。人手が足りない場合は手伝う、そんな所ね。よろしくお願いします」




 夕陽の説明が終わったところで、次に会長の番となった。


 ゆっくりと席を立ち、みんなを見渡しながら、説明する。




「みんな終わったわね。私は高持女子高の生徒会長、高持美沙といいます。よくしっかりしてるとか言われてるけど、本当はドジッ子なの。ごめんなさいね、みんなの憧れなのに」




「ううん、それが美沙の本当の姿なのだから、認めないと。謝ることはないわ」




「ありがとう、はと。最後に新しく入ることになった子を紹介するわ」




 そう言って、会長は、私に目で合図をした。


 そのアイコンタクトに、他の役員も、私の方に目を向ける。




「え、は、初めまして、この度、生徒会の役員になった相川麻友といいます。最初は生徒会と何の縁もない私だったんですけど、会長さんに頼まれて入ることになりました。分からないことだらけですけど、よろしくお願いします」




 言い終わると、緊張して、心臓がバクバクしてた。


 すると、パチパチと拍手が聞こえ、私は周りを見渡した。




「よろしくね、麻友ちゃん」




「よろしく、麻友ちゃん」




「ふふ、これからが楽しみだわ」




 はと、優芽、夕陽が私を歓迎してくれた。


 あまりの嬉しさに、私は笑顔になった。




「これで揃ったわね。それで、まずこれからすることだけど、今日は時間がないから明日説明するわ」




「了解」




「あ、会長さん、この前の会計が終わりましたので、ここに置いておきますね」




「分かったわ」




 みんな自分の役を果たし、帰り支度を始めた。


 私も帰り支度を始めると、夕陽が話しかけてきた。




「この時間帯は危ないから、私たちと一緒に帰った方がいいわ」




「え、うん」




「もう、夕陽。いきなりそう言うと、ビックリするよ」




 優芽が夕陽に注意をした。


 恐らく、二人は仲がいいのだろう。


 とても仲良しに見えた。




「そうね、一緒に帰りましょう。麻友」




 呼び捨てと思ったけど、夕陽はちゃん付けとかしないような感じなので、あまり深く気にしなかった。




「うん」




 そして、私は夕陽と優芽と一緒に帰った。


 明日から本格的な生徒会が始まるのかと思ったが、みんないい人で楽しそうなので私にもできそうな感じがした。


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