ふたり暮らし、今日のごはん。

りおん

第1話 明け方の卵焼き

 私の朝は早い。

 5時半にセットしていたアラームを止めて、ゆっくりと起き上がる。

 ぐーっと伸びをして、パジャマ姿のままリビング横のキッチンへ。

 まずはコップに麦茶を注ぎ、そのままくいっと一気に飲み干す。これで目が覚めてスッキリする気がする。


 そして冷蔵庫から卵を取り出す。

 ボウルに卵を割り入れて、カチャカチャと混ぜる。その中に砂糖と醤油を入れて、またカチャカチャと。卵の黄色が今日は輝いて見えた。

 

 卵焼き器に油をひいて、火をつける。火加減は中火くらい。温まったところで卵液の3分の1ほどを入れて、全体に広げる。いい感じに焼けてきたところでまとめる。空いたところに油をさっとひいて残りの卵液の一部をまた入れる。半熟より少しかたまったところで卵を巻く。そしてそれを繰り返す。


 繰り返したのちに、卵焼きの出来上がり。

 卵焼き器からまな板にそっと移し、包丁を入れる。うん、いい感じにできたんじゃないかな。


「……おはよー」


 ボウルや卵焼き器を片付けていると、声がした。私は片付けをしながら、


「おはよう、もうすぐご飯にするから、座ってて」


 と、言った。


「オッケー、まだ眠いんだけどね」

「相変わらず朝はぼーっとしてるね、玲子れいこは」

「まぁねー、弥生やよいみたいに朝活動するなんてとてもとても」

「そっか、まぁ仕方ないか」


 炊き上がっていたご飯を、お茶碗によそう。片付けながら電気ポットで沸かしていたお湯で、インスタントのお味噌汁も。

 そして、先ほどの卵焼き。

 シンプルな朝食の出来上がりだ。


「お、卵焼きかぁ、弥生が作る卵焼きって、甘すぎず辛すぎず、ちょうどいいんだよねぇ」

「それはありがとう、作ってよかったよ」

「まぁ、あたしはなんとなくしか作り方分かんないんだけどねー、いただきます」

「いただきます」


 二人でいただきますを言って朝食をいただく。うん、卵焼きもふわっとした甘みがあって美味しい。ご飯もちょうどいいかたさで美味しいし、インスタントのお味噌汁も朝のバタバタする時間にはぴったりだ。


「今日は玲子、遅くなるんだっけ?」

「いや、たぶん定時で帰れると思うよー、弥生はパートだよね」

「うん、帰りに買い物しておこうかなと思ってる」

「あ、じゃあ水に溶けるコーヒー買っておいてくれるかな?」

「分かった、玲子はあれ好きだよね」

「まぁねー、あたしはコーヒー人間ですので」


 私、笠村かさむら弥生やよいと、彼女、津々木つつき玲子れいこは、同じ屋根の下に暮らす二人だ。

 3LDKのマンションで、共同生活をしている。いわゆるルームシェアというものなのかな、あまり意識したことないけど、そんな感じ。

 私の部屋と、玲子の部屋と、もう一部屋は物置部屋。そしてリビングは二人の共通の場所となっている。


 この生活になってもうすぐ2年。最初は玲子が「あたし引っ越すんだけど、一緒に住まない?」と誘ってきたからだった。

 私と玲子は高校時代の同級生。中学までは別だった。高校で一緒のクラスになってから、よく話すようになった。


 大学は別々の道に進んだが、よく連絡を取り合って遊んだりしていた。

 玲子とはなんか合うというか、一緒にいて落ち着くというか、そんな感じがするので、一緒に住むこともあまり考え込まずにOKと返事をした。


 料理が得意な私、笠村弥生。

 掃除が得意な彼女、津々木玲子。


 そんな二人の、なんてことのない日常。

 食器を洗う私と、バタバタと出かける準備をする玲子。

 今日も1日が始まる。いつもどおりの生活を送ることになるだろう。

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