第6話 Hotel

「ここ、部屋色々あるヤツだ」

 彼女が指さしたパネルには部屋の写真が並んでる。

 普通の部屋もあれば、診察室、鉄道車両、キッチン、教室……。

 プレイ用の部屋が並んでる。

「学校にしよ」

 彼女が選んだのは、高校の教室風の部屋だった。


「わ、狭いね」

 教室一部屋じゃ広すぎるので、一角を切り抜いたような、こじんまりした部屋だった。

 黒板と、教卓、隣り合った机が一組。

「あ、制服おいてある。着替えよ?」

 コスプレ用の制服が置いてある。

 彼女はカバンを置いて、足早に着替え始める。一応目を逸らす。

 この後のことを考えればそんな必要もないのに。

 

 ──でも結局、こっちも着替えながら、目の端でちらちら見てしまう。

 ヒートテックを脱いで……。

 前は、上は着たままでやったから、彼女下着姿を見るのは初めてだった。

 黒い下着の肩ひもの間から、綺麗な背中が覗いている。斜めからでも綺麗な胸元が見える。

 ドンキで売ってそうな、安っぽいセーラー服を被る。

 ミニスカートを脱いで、制服のスカートに着替える。こっちも丈が短かった。


「わー。私ブレザーだったからセーラー初めて」

 くるっと回ると、短い丈が広がって下着が覗いた。

「ホントに中学生みたい」

 胸だけが変に突っ張ってる。裾が浮いて、お腹がちらっと見えている。

「嘘? ここ高校じゃないの?」

「じゃあ、高校で」

「この歳になって、高校生みたいって言われるのは嬉しいけど、中はないよ?」

「僕はどう?」

「なんか、教育実習のカッコいい先生って感じ」

「教育実習はスーツだと思うよ」

 僕は今ブレザーだ。

 ブレザーとセーターって変な組み合わせだな。

「じゃあ、生徒に無理やり制服を着せられた、親しみやすい教育実習生」

 親しみやすいならいいだろう。

「似合いそう。先生になったら?」

 高校生のコスプレしてる人みたいに……実際してる人か……足をちょっとクロスして、手を後ろで組んで前傾になる。

「教育科目、一応取ってるよ」

 一応、役立ちそうだから何となく取ってる。

 意外と大変でやめようかなと思ってたとこだけど。

「じゃあ、ホントに行くんじゃん。教育実習。えー私のとこ来てほしかった」

 自分を指さして悔しそうにする。

「未来の話と、過去がごっちゃになってて訳わかんないですね」

「あはは。じゃあ、今の話しよ。どの体位でやる?」

 何でもない風に笑顔のまま言う。相変わらず率直だ。

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