第44話「弟たちの才能に焦る私」

#第44話「弟たちの才能に焦る私」


リナは本当にすごい。

私よりも7歳も歳下なのにすでに私よりもしっかりしていると思う。


彼女はこれまで勉強してきた商業の知識を元にして麦わら帽子と篭を商業ベースにのせようと奮闘している。


そのためにすでに商業ギルドや国に特許申請までしていたという。しかも、それが正式に通ったらしい。先のことを見据えて、しっかりと動いている……本当に感心する。



そして、既に麦わら帽子や篭を販売したらしい。我がヴェルド領では大好評、このまま売れ続けるかもしれない。どんどん進んでいる。


ただ懸念点もあるらしい。今は材料が足りず生産が追いつかないと、少し困ったように嘆いていた。


そんなリナを見ていたルカがある提案を口にした。


「リヴェル領とハーベル領に協力を頼んでみようよ」


私には思いつかないような大胆な発想だ。リヴェル領とハーベル領は共に名門で格上。本来ならば相手にもされないだろう。


でもヴェルド領も様々な形でこの領家に貢献してきた。今なら話を聞いてくれる可能性はある。何よりもルカならば何とかしそうな気もする。



その日の夕食時に、リナがルカと一緒にリヴェル領とハーベル領に行きたいと父に相談した。


「父さん、ルカと一緒にリヴェル領とハーベル領に行きたいの。麦わら関連の生産や販売について直接交渉してきたいのよ」


「……ああ、昼に聞いていた話のことだよな。すでに今日、手紙は送ったよ。返事が来てからだな」


父さんは慎重にうなずいている。


ということはリナとルカが2人きりでリヴェル領とハーベル領に行くのかな?それは駄目だ。そこですぐに私も問いかけた。


「ルカも一緒に?それはいつ行くの?」


「返事が来てからだから……おそらく早くても明後日に出発ね」とリナが言う。


「ルカが行くなら、私も行くわ」


私の宣言に父さんも苦笑しながら頷いてくれた。よし、これでしばらくルカに会えないということはなくなる。


「ああ、一緒に行ってくるといい。お世話になっているからな。挨拶は宜しく頼むぞ」


こうして、リナ、ルカと私、そして数名の護衛でリヴェル領とハーベル領に行くことになった。


私は商談で役に立つことは全くないだろうが挨拶ぐらいはできる。それにこれも勉強だ。商談の席に同席させてもらおう。あまりにも理不尽な話があれば私が遮ってもいい。


ルカやリナを守るのは今回の私の役目かもしれない。しっかりと2人を見守ろう。

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