3章「弟の本当の才能とリリアの成長」
第10話「紙玉の魔法訓練と弟からの宝物」
#第10話「紙玉の魔法訓練と弟からの宝物」
「ねえルカ、どうしたらそんな風に繊細な魔法が使えるの?私にもできるかな?」
ある日、私は思い切って尋ねた。
もう魔法使いの先輩としてのプライドも何もない。
現時点ではルカの方が上だ。教えてもらうしかない。
そして私より先に他の人がルカから魔法を教えてもらうのも許せない。ルカの初めては全て私が独占したい。
ルカは少し驚いたように私の顔を見たあと、にこりと笑って言った。
「練習すればリリア姉もきっとできるよ。僕もずっと毎日練習してる」
そう言って、ルカは自分のポケットから何かを取り出した。
柔らかく丸められた小さな紙玉だった。
「時間がある時はこれで練習してるんだ。軽くて動きやすいし、力を入れすぎるとすぐに飛んでっちゃうから加減が難しいけど…それがいいんだよ」
ルカはそう言って、軽やかに紙玉を空中に浮かせ、指先ひとつ動かさずに、くるくると回転させてみせた。
「これ、リリア姉にあげる!」
「これ…くれるの?」
「うん、僕がいつも使ってたやつだけど、リリア姉ならきっと役に立ててくれると思う」
私は思わず胸が熱くなった。
これは…宝物だ。誰にも渡さない。きっと、ずっと持っていよう。
「ありがとう、ルカ。これ大事にする!」
「いや、大事にするんじゃなくてちゃんと練習してね。それで慣れてきたら増やしていくといいよ」
「ただ俺はこれで上手になったけど、リリア姉がこれで魔法が上手になるか分からないけど、、、いいかな?」
上目遣いでアドバイスをくれるルカがかわいくてしかたがない。
「もちろん、私これで練習する!」と言ってまたルカに抱き着いた。宝物までくれてアドバイスもくれる本当にいい弟だ。
私が抱き着くと真っ赤になって照れている。今日もルカは最高だ。
その日から私は、空いている時間があればルカの紙玉を使って“繊細な魔法”の訓練を始めた。
ふわりと浮かせようとするたびに、吹き飛んでいく。たった一個でもまともに動かすことができない。
これは1個でも難しい。そしてルカはすでに5つ動かしているらしい。そうでもしないとあの繊細な魔法のコントロールはできないのだろう。すでに大きな差があるが負けてられない。頑張らないと。
私は負けたくない。
魔法で家を支えると誓ったんだ。そのために懸命に努力してきたんだ。だから諦めるわけにはいかない。
私がこれをやったことで魔法が上達できるとは限らない。でもやれることはなんでもやってやる!
私は暇さえあれば紙玉を動かそうと集中した。
浮かせる、止める、回す。何度も、何度も。
(私は、もっと上手くなりたい。ルカに少しでも追いつきたい…)
そして今日も書斎にはルカがいる。そして私よりもずっと器用に本を浮かせてペラペラめくっている、、、。
あの段階になるのはどれだけ訓練したらいいのだろう。気が遠くなる。
でもルカは2歳の頃から毎日やっていたんだ。既に大きな差がついているけど追いつくためには私も毎日やるしかない。
ルカはずっと静かに、深く、正確に――魔法に向き合っている。全ての時間を無駄にしていない。
私も魔法と向き合う姿勢だけはルカに負けるわけにはいかない。
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