ダリル平定

さらに時が経ち、俺は壮年期に差し掛かっていた。親分は俺にグループの未来を託しあの世に旅立っていった。今やここは「山田の広場」になっている。皆の平和を守るためにもダリル軍団だけは倒しておかねばならない。



エルフ娘は家を空けることが多くなった。



カリカリと謎牛乳を与えるのは「老い」の二文字が見え始めてきたエルフ両親が担うことが多くなった。彼らも老いるのだ。俺も油ものが苦手になってきた、カリカリの大部分はサーシャに譲り、謎牛乳だけで過ごしていた。


たまにエルフ娘が帰ってくることがある、満面の笑みで両親と抱き合う、やはり親子ってのはいいものだ。サーシャも完全に俺を親と慕っている。セリア、見てるか。お前の娘はここで元気にやっているぞ。


瀕死の昆虫一匹如きにきゃあきゃあ悲鳴を上げていたエルフ娘と異なり、サーシャは俺の下で着実に戦闘訓練を受けている。俺もそう遠くないうちに老いる。ダリル軍団平定を土産にサーシャを次代のボスにさせたい。





そんなことを考えながら夜、ふと薄暗い部屋でくつろいでいると


突如エルフ娘の手が俺を掴んでくる。


昔、ペットショップでつかんできたあの頃の手より大きい、成長したな。





……と思っていたら上から盛大に水をかけられた。


コップ一杯くらいの量で、温かく、少し塩辛い。水は何度も落ちてくる。


上を見上げると、泣き顔があった。


エルフ娘が涙ぐんでいたのだ。


おいおい、なんて顔だよ。





あの明朗快活だったエルフ娘が涙ぐむ、相当エルフ軍での生活が厳しい様だ。俺が見上げてると、エルフ娘が俺のことをそのまま抱きかかえて机の上に乗せ、じっと俺の顔を眺め、消え入りそうな鈴の声で語り掛けてくる。





山田「なんか言いたいことあるんだな? まぁ分からんが聞いてやる」


エルフ娘「タゥマ√﹀\_︿╱﹀╲/╲︿_/︺╲」


山田「軍隊経験がきついんだろ、まぁ分からんでもない」


エルフ娘「⁄﹀\╱﹀▔︺\︹︿╱\╱﹀▔╲︿_/︺▔╲︿/\︿╱\︿︹︿」


山田「おそらく誰も信頼できる人間……いやエルフがいないんだろう」


エルフ娘「︹_/﹀▔\⁄﹀\タゥマ╱﹀╲︿_/……」





エルフ娘が俺を胸に抱きかかえる、巨大な乳房の中に埋もれる形になるが、エルフ娘なりにつらいことがあるのだろう……俺は「山田」だが、たまには「タゥマ」として接してやってもいい。彼女は俺を抱いたまま床に付いた。



……さて、エルフの嬢ちゃんばかり気を向けてる訳にもいかないな。



翌日俺は「山田グループ」のリーダーとして、ダリル軍団に一気にケリをつけるため、こちらから打って出る計画の話し合いに向かっていった。おそらく今回の戦いで俺たちとダリル軍団は雌雄を決することになるだろう。


俺はあえて前線に出る道を選んだ、皆もリーダー自らの出陣ということで士気が上がっている。俺には考えがあった、後方のリーダーとしての立場をサーシャに体験させる。そして、場合によっては「俺の死」を体験させる。





過酷な戦いだが、山田グループは50人を超える人々の生命を背負っている。


負けるわけにはいかない。





戦いは熾烈を極めた。





山田グループ、ダリル軍団、双方ともに相当の死傷者が出た。だが、最後サーシャがいつの間にか結成していた遊撃隊が活躍しダリル軍団を見事敗走させることに成功した。サーシャ、やるじゃねぇか。もうお前がリーダーだ。


だが、その瞬間、サーシャを凶弾が狙っていた、とっさに気づきサーシャをかばう俺、俺は銃撃に倒れ、うめき声をあげる。遊撃隊が即時反撃し、被害は俺だけで……すん……だ……。





サーシャ……あとは……たの……む……。





???「タゥマ!!!タゥマ!!!」





その瞬間大きな地響きと共に、エルフが数体押しかけてくる、ダリル軍団は負傷者を抱えつつもエルフに追い立てられる、ああ、よかった……もうダリル軍団がこの地を踏むことは二度とないだろう……。



そして俺はエルフに抱きかかえられる、エルフ娘だ。



エルフ娘は必死に街を疾走し、例の館、俺の金玉を取りやがった例のクソ野郎の館に飛び込む。ローブのエルフが俺を急いで抱え、服を脱がし、例の棘の生えたペットボトルの様な木の実を急いで俺の身体に突き刺す。



俺は記憶が途絶える、金玉の次は何を取るって言うんだ? タマか?

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