吾輩は”人間”である。
中の人(カクヨムのすがた)
星城の杜のペットショップ
優しき樹木の揺り篭
俺が18歳の時分、俺は奇麗な檻の中にいた。
檻と言っても不快なそれじゃあない、繊細な木製の檻だった。檻というよりは植物が巨大な籠状に成長しており、その中に俺が格納されているといった感じだった。だから檻というよりは揺り籠だろう。
揺り籠の床に当たる部分にはふかふかした苔みたいなものが生えていた、天然のクッションだ、そして上の方には瑞々しい果実が常に生えていた。腹が減ったらそれを食べればよく、そしてそれはとても美味だった。
囚われの身にしては待遇が良かった。
ここは巨大な森であり、巨大な樹木に揺り篭は生えていた。つまり「人間を捕えておくために品種改良された樹木」ってことだ。樹木には多数の揺り篭が生えており、半分くらいに俺の様な人間の子供が生活していた。
そして、この森には時々エルフの連中が訪れる。森に住むエルフが応対し、奴らは俺たちを品定めしていた。つまり「客と店主」って訳だ。つまり俺たちはエルフのペット、”商品”としてここに飼われていたことになる。
そもそもお前ら、知ってるかい? 「
人間の数倍は長命だ、奴らにしてみれば30歳などというのは幼子に過ぎない。そして賢い。奴らの言葉は俺らには発音も聞き取りもできず、意味も全く分からない。そして文明は人間と比較にならないくらいに高度だ。
そして何より、「デカい」。
奴らの身長は概ね10メートルはある、人間基準で言えば巨人と言ってよい。子供ですら5メートルは軽く超える。つまり、このペットショップの樹木、奴らにしてみればちょっとした棚位の高さにしかならない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます