第23話 追憶の街、そして“彼”の影

リオに案内され、帝都の裏路地へと足を踏み入れたカナタたち。


煌びやかな表通りとは打って変わり、そこには貧困と陰が渦巻いていた。


「ここ、雰囲気違いすぎるだろ……」


カナタが眉をひそめる。


「ここが本当の“帝都”さ。

栄えてるのはほんの一部、あとは全部ごまかし」


リオの声に、僅かな怒りが混じる。


ミナが壁の張り紙に目を止めた。


「……“徴兵告知”?

しかも“志願兵優遇”って、実質強制じゃん」


「最近は特にひどい。

表向きは平和だけど、中じゃ兵を集めて武力を強化してる」


リオは歩きながら、呟くように続けた。


「……俺の家族も、その一環で失った」


その言葉に、空気が沈黙する。


「リオ……」


「平気。もう、乗り越えたから。

……だから、俺は止めたいんだよ。帝国のやり方を」


ミナがそっとリオの肩を叩く。


「私も。あんたがそう言ってくれて、なんか……安心した」


カナタはその背を見つめながら、胸の奥に熱を感じていた。


(……やっぱ、こいつらと出会えてよかった)


その時――


「ようやく見つけたと思ったら、ずいぶんと感傷的だな」


背後から響く、聞き覚えのある声。


三人が振り返ると、そこにいたのは――


「……クレイン……!」


カナタの目が見開かれる。


黒髪に金の瞳。かつての仲間、そして“裏切り者”。


「よお、久しぶり。生きてたんだな」


「てめぇ、なんでここに……!」


「ん? そりゃ、君らを迎えに来たんだよ。

“帝国側”として、な」


その笑みは、酷く悲しげで――

どこか、覚悟に満ちていた。

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