第20話 倒せなかった、それでも“負けなかった”
レイヴの身体が、確かに吹き飛ばされた。
だが――彼はすぐに体勢を立て直し、
白いマントを翻しながら静かに着地する。
「……見事だった」
レイヴがそう呟いた瞬間、広場の空気が緩んだ。
魔力の殺気が、ふっと消える。
「君たちの力、精神、連携。
すべてにおいて、私の予想を上回った」
カナタは肩で息をしながら睨みつける。
「じゃあ、まだやるか? それとも、もう満足か?」
「これ以上の戦闘は、街に被害が出る。
それは、帝国としても本意ではない」
レイヴは視線を落とし、僅かに唇を動かす。
「よって、ここでの任務は一時中断。
……だが、これは“敗北”ではない。
覚えておけ」
くるりと背を向けたレイヴに、ミナが叫ぶ。
「待て! それって結局、また来るってことじゃ――」
「それは“君たち”次第だ。
この街の未来を、君たち自身で選び続けろ」
レイヴはそう言い残して、風のように姿を消した。
静寂。
次の瞬間、スフィア中から歓声が巻き起こった。
「勝ったんだ……俺たち……!」
「いや、倒せなかった。でも……“負けなかった”。」
カナタの言葉に、ミナとリオが並んで頷いた。
「それって、すごく大事なことだと思う」
「“勝利”ってのは、敵を倒すことだけじゃねぇ。
逃げずに立ち続けた時、人は初めて“勝てる”んだ」
空を見上げると、雲の隙間から陽光が差していた。
スフィアに、新しい朝が来た。
仲間とともに踏み出すその一歩が、
未来を変える力になると信じて。
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