思わぬ収穫
俺は草原を踏み越え、破れかけた天幕をくぐる。そこは静かな空間にただ一人――床に広がる魔法陣の上に置いてある椅子に座る女がいた。
年若く見える。
装飾過剰なローブに身を包み、身体は微動だにしない。
目焦点が定まっていない。黒目がわずかに震えているが、何も映していない。
スキル【千里眼】で視認。
名前はカレン。まだ生きてはいる。意識もある。だけど【隷属】の効果で自分の意思では動けない様になっているみたいだ。それともう一つ面白い称号を発見した。この女の称号欄には【転移者】があった。
「どうしようかな」
同じ所から来たかはわからないが初めて同じ立場の人間に会った。1人旅も寂しいし連れて行こうかな?
そんな事を考えている最中もカレンは動かない。返事もしない。
だが、視線だけがわずかにこちらに向いた。
試しにカレンに近づき、将軍が付けていた無駄に豪華な剣を寸止めするつもりで女の脳天に振り下ろす。
その瞬間、空気が振動した。
剣を振り下ろした右腕が関節から先が無くなっていた。
(強制的に防衛する様に命令していたみたいだな)
俺は一歩踏み出す。だが怯まない。敵の魔力圧も、空間の崩壊も、感情の無い彼に意味はない。
カレンが口を開いた。乾いた声で、わずか
「助け…」
ズバンッ!!
こちらに不可視の斬撃を一撃飛ばしてきた。
それをもろに受けるが、斬撃が飛んできた場所の一部だけに【
カレンの身体が反射的に動いた。背筋を反らし、魔力を噴き上げる。だが、
「遅い」
刃側面でカレン首と四肢の腱をしばく。俺は刃を鞘に収めた。カレンは崩れるように膝をついた。
まずは【
『スキル:【隷属】を獲得しました』
『ユニークスキル【
『ユニークスキル:【不可視ノ刃】を獲得しました』
『スキル:【大魔道士】を獲得しました』
『スキル:【高速思考】を獲得しました』
『スキル:【魔力刃】を獲得しました』
『スキル:【封印】を獲得しました』
『称号:【魔女】を獲得しました』
『称号【聖霊の愛し子】を獲得しました』
『称号:【◼️◼️神の祝福】を獲得しました』
『スキル:【魔術師】が【大魔道士】に統合されます』
『スキル:【大魔道士】ユニークスキル:【創生対価】の効果により、魔法系スキルが統合強化できます。統合強化しますか』
『同意を確認しました』
『スキル:【飄風魔法】【炎火魔法】【雷電魔法】【聖光魔法】【氷結魔法】【爆発魔法】【重力魔法】【水流魔法】【大地魔法】【漆黒魔法】を統合強化し、スキル【創造魔法】を獲得しました』
【転移者】は手に入らなかった。
だが、女は立ち上がらない。意識を失ってしまったみたいだ。
ドゴッ
倒れた女の腹に少し力を入れた蹴りを入れる。
「ごはっ……何が!」
「やぁ起きたかい?」
起きた女に自分と同じ転移者が捕まっていることを知って助けに来たと嘘の事情を話した。
「そんなに強いのにどうして捕まったんだい?」
「一緒に行動してたパーティー仲間に裏切られてね、料理に魔力が使用できなくなる薬を混ぜられたのよ」
「ふぅん。まあいいや、ここから脱出するために一旦ここに入ってくれない?」
そう言い【
「いきなり空間が……大丈夫なのよね?」
説明がめんどくさいな。
無言で【創造魔法】で風を生み出し、【射出】で突き飛ばして無理矢理入れる。
「ちょ!扱い方〜!」
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