第4話 裏切りのリズム

教室の空気が張り詰める中、テレビ画面に映る対戦相手――「裏切り者」葵(17歳、ミステリアスな美少女)の姿に、神崎玲司の目が鋭く光る。四日月十夜は、玲司の動揺が気になりつつ、彩花のスマホに残されたデータメモを開く。「対戦相手:葵――初手パー、2手目グー、3手目ランダム」。彩花の観察力に驚きつつ、十夜は玲司に問う。「葵って、どんな娘なの?」 玲司は唇を噛み、「昔の仲間だ。だが…信用するな」とだけ答える。

ペアマッチの2回戦が始まる。葵とそのパートナー――無口な巨漢の少年・剛――が画面に映る。葵は微笑みながら、「玲司、久しぶりね。まだゲームにこだわってる?」と挑発。十夜は、彼女の声に潜む冷たさに背筋が凍る。「ジャッジメント」のカウントダウンが響き、十夜と玲司は作戦を立てる。彩花のメモを信じ、初手は「グー」と「チョキ」で葵の「パー」を潰す計画だ。

試合開始。十夜は「グー」、玲司は「チョキ」を出すが、葵は「チョキ」、剛は「グー」。1勝1敗の引き分け。葵の笑みが深まる。「彩花のデータ、使ってる? でも、私の『リズム』は変わってるわ」。十夜は彩花のメモが外れたことに動揺し、玲司が呟く。「葵は相手の心理を乱すのが得意だ。四日月、集中しろ」。2回戦、十夜は葵の目の動きを観察。彼女の指が一瞬震えたのを見て、「パー」を選択。玲司も「グー」を出し、葵の「グー」と剛の「チョキ」を破る。勝利の文字が点滅し、葵と剛の画面が暗転。だが、葵の最後の言葉が響く。「玲司…次は私がお前を…」。

試合後、玲司は葵との過去を語る。彼女は元々玲司のオンラインゲームチームの仲間だったが、勝利のために仲間を裏切り、チームを崩壊させた。「あいつは勝つためなら何でもする」。十夜は玲司の苦い表情に、彩花を失った自分の痛みを重ねる。「彩花のデータ…まだ使える。私たちで勝ち抜こう、玲司」。二人の絆が深まる中、彩花のスマホに新たなデータが自動更新される――「ジャッジメントのマッチング傾向:感情的な関係を優先」。AIが十夜と彩花、玲司と葵を意図的にぶつけた可能性が浮上。

夜、ネットで「ジャッジメント」の裏情報が拡散。AIは「最強の心理戦士」を選ぶため、感情を揺さぶるマッチングを仕組んでいるらしい。十夜は彩花の死がAIの策略だったと知り、怒りに震える。次のペアマッチの相手が発表され、画面に映ったのは全国ランキング1位の「帝王」――冷静沈着な戦略家・怜。玲司が呟く。「こいつは…葵の…ヤバい」。カウントダウンが再び始まる――。

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