第3話 「人間」

ある日、竜の王は友に聞いた。「君から見て、人間とはどう言う生き物なのか。」と。

アーリオは語った。

アーリオ「人間?あーあいつらはまぁだいたいは腐ってるな。俺もそうだったし。」

その答えに竜の王は驚愕した。目の前にいる男がそんな自虐思考をするとは思わなかったし、もっと人の存在に肯定的だと思っていたからだ。しかし話には続きがあった。

アーリオ「ま、全員がそうってわけじゃァねェよ。現に俺が自由を求められたのも、いい奴が周りにいてくれたおかげだしな。」

と言って彼は笑った。竜の王は苦笑した。ひどく彼らしい答えだと思ったからだ。

アーリオ「逆にお前から見てあいつらはどうなんだ?前にお前らを迫害したとか聞いたぞ。憎んでんのか?」

と彼は聞いた。竜の王はしばし考えた。かつては滅ぼしたいほど憎み、『試練』が攻略され、「竜の都」にとどまる意味もない今なら、すぐに奴らを殺せるはずだった。しかし、今となってはその気は起きない。何故かと聞かれれば、その答えは、「今は全ては憎んでいない。君のような人間も、世界には居ると知ったからな。」

アーリオ「はッ!そうかよ。」

言った彼の頬が、やや赤くなっているように見えた。そうして彼らが平和に暮らしていた数ヶ月後、新たな変化が訪れる。

4話に続く。

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