第20話 二人の「シャドウ」

田中誠の告白により、美羽の推理は確信に変わった。

「シャドウ」は、田中誠一人ではなく、複数人によって共同運用されていたアカウントだったのだ。

田中は、中村悠斗が楓の個人情報を流出し、彼女を失踪させたことを暴くために「シャドウ」として活動していたが、中村悠斗もまた、自身の犯行を隠蔽しようと、田中誠の技術力を利用し、あたかも自分も「シャドウ」の一員であるかのように装っていたのだ。


つまり、二人の「シャドウ」が存在していたことになる。

一人は、楓の「虚像」を暴き、中村悠斗の犯行を公にしようとした田中誠。

もう一人は、自身の犯行を隠蔽するために、楓のSNSを乗っ取り、田中誠の技術を悪用していた中村悠斗。


美羽は、すべての点と点がつながったことを確信した。

楓のSNS投稿に映り込んでいた観葉植物の葉の向きの変化、タイムスタンプの改ざん、そして廃工場で見つかったアクセサリーの破片。

それらすべてが、中村悠斗によるなりすましと、廃工場での監禁を示唆していた。


五十嵐刑事は、田中誠の供述と、美羽たちが集めた証拠を総合し、中村悠斗の逮捕状を請求した。

中村悠斗は、五十嵐刑事によって逮捕された。

彼は、楓の個人情報を匿名掲示板に流して小遣い稼ぎをしていた事実を楓に知られ、激しく口論となった際に衝動的に楓を廃工場へと連れ去り、監禁したことを認めた。

彼は、楓のSNSアカウントを乗っ取ることで、彼女がまだ生きているかのように見せかけ、自身の犯行を隠蔽しようとしたのだった。


五十嵐刑事のチームは、中村悠斗の供述に基づき、廃工場跡地のさらに奥、地下室に隠されていた秘密の監禁部屋を発見した。

そして、そこで監禁されていた桜井楓は、幸いにも無事保護された。

憔悴しきっていたが、命に別状はなかった。


事件は解決した。SNSの裏側に隠された闇、人間関係の複雑さ、そしてデジタル技術が悪用された犯罪。

美羽は、今回の事件を通じて、情報が持つ力、そしてそれがもたらす光と影の両面を深く知ることになった。

そして、五十嵐刑事との間には、強い信頼関係が築かれた。

美羽の「SNS探偵」としての第一歩は、大きな成功を収めたのだ。

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