エンバース・リバー 余燼の長河
@OkadaMochi
プロローグ
神々の遺骸を敷き詰めたその地に、黄昏は――腐った血のように淀みながら、静かに世界を蝕んでいく。
残されたわずかなグロー――涙のように震えるクリスタル、消えかけた火種、囁く護符のホタル――それらは一つのリバーを織り上げる。
その川は、生と死の断崖をなぞり、骸骨を岸辺に、絶望を息吹に変えて流れていく。
そこには、声にならないキッズの恐怖、抑えきれぬすすり泣き、錆びついたブレードの静寂がゆっくりと運ばれてくる。
前方には、永夜が穿った純粋にして貪欲なジャウル(大口)が待ち構え、
背後には、沈みゆく聖なるマウンテンが、冷たく巨大な墓碑のようにそびえ立っている。
そして、あの歌――ホタルのように儚く、星のように強靭なメロディは、
絶望の只中で唯一灯る、たった一つのナビゲーション。
それはこの光骸のリバーを導き、誰も知らないブラックアビスの果てへと流れゆく。
石の境界を越えるその一歩一歩は、闇への冒涜であり、消滅へのレジスタンスだ。
灰燼のブレードが指すその先に、影狩りが黄昏のキバに身を潜め、
孤児の鋭い眼差しは、暗流に沈んだまま解けぬ予言のように静かに輝く。
こうして、信仰の残り火、血脈の残光、人間の微かな光をすくい集めたリバーは、
神国最後の吐息を携えて、決然と永遠の夜へと沈んでいく。
――余燼長河は、永暗のオーシャンを彷徨い、
その星火は、決して消えることのない残り火。
深淵へと投げ入れられた、それは――最も悲壮で、美しいメモリアルのメッセージなのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます