4
「何をぼーっとしてるの？早く遊ぼうよ！」
リーダーの目は主人公を真っすぐに見つめながら、心の中で思った。
『お前は何も分かってないんだな。この賭けゲームでは誰も撃たれないってことをよ。私がこのゲームを提案したのは、お前を脅して借金を早く返させるためだけなんだから！』
主人公はリーダーとしばらく目を合わせた後、ため息をつき、疲れた様子でソファに背を預け、ぼんやりと天井を見上げた。
『リーダーはあんなに自信ありげな目でこっちを見てるってことは……中に弾が入ってないって思ってるんだろうな』と彼は心の中で思った。そして、目を閉じて少し微笑んだ。
『はぁ……まあいいや。どうせ死ぬなら、異世界に転生してチート能力とかもらえたらいいな。ナムー99回！』
部屋の空気は明らかに重くなり、見守っている部下たちの間にも会話はなく、誰もが息を呑みながら二人を見つめていた。それはまるでサスペンス映画のクライマックスを見ているかのようだった。
リーダーはテーブルに腕を置き、落ち着いた声で言った。
「遺書を書いて」
主人公は軽く笑いながら、紙とペンを手に取った。
「はーい、リーダーさま〜」
静けさの中、ペンが紙を走る音だけが響いた。やがて主人公はペンを置き、紙を掲げた。
「書けたよー。そっちはどう？」
リーダーは自分の紙を裏返してうなずいた。
「準備完了」
二人の紙がテーブルに置かれ、部屋の皆の視線がそこに集中した。
「じゃあ、私から始めるわね」リーダーは力強く宣言し、自信満々で銃を手に取った。
主人公は少し首を傾け、口元に笑みを浮かべた。「さすがリーダー、肝が据わってるね」
その瞬間、リーダーは銃をこめかみに当て、引き金を引いた。
カチッ！
発砲音は鳴らず、煙も血も出なかった。部屋の皆はほっと息を吐いた。
部下たちから歓声が上がった。
モブ２が小さく笑った。『運がいいな。俺は誰が死のうと関係ないけどさ。あの二人、仲良いくせに俺に雑用ばっか押し付けてきてムカつくんだよな…』
次は主人公の番だった。
彼は銃を手に取り、その重みを想像の中で感じながらも、手は一切震えていなかった。
『よし、異世界！異世界！異世界！』そう思いながら引き金を引いた。
カチッ！
何も起こらなかった。
見ていた者たちから歓声が上がる。
モブ３が叫んだ。「お前、運強いじゃん！」
モブ４が続けた。「すげーよ！めっちゃスリルあったわ！俺だったらこんなゲーム無理だって！ははは！」
そのとき、主人公の後ろのモニターを見つめていた“仙草ゼリー眼鏡”が冷静な声で言った。
「もうあなたが死ぬシーンまで飛ばしてもいいんじゃないですか」
主人公は眉をひそめて振り返った。「えっ？それでいいの？」
「だってこのシーン、退屈ですもん。どうせリーダーのもう一回も何も起こらないでしょ」
『おいおい、そんなにバッサリカットするかよ！？』主人公は心の中で思いながら、口にした。
「あー、じゃあいいよいいよ」彼は肩をすくめて、再びモニターに目を戻した。
再び主人公の番。
彼は銃を取り、軽くシリンダーを回し、こめかみに銃口を当てた。
「君と過ごした時間、すごく楽しかったよ」
部屋は再び静まり返り、全員の視線が彼に集中した。
モブ４は内心で慌てた。『な、なんだよ！？いきなり死亡フラグ立てやがったぞ！？』
主人公は満面の笑みを浮かべ、引き金を引いた。
バンッ!!
銃声が部屋に鳴り響き、彼の身体が床に崩れ落ちた。周囲からは悲鳴が上がった。
温かい血がこめかみからゆっくりと流れ出し、主人公は荒い息を吐きながら、青ざめた顔のリーダーを見上げた。
そして、すべてが終わる前に最後の微笑みを浮かべた。
『くっそ、アニメの第７期まだ見てなかったのに…でも次こそ…転生できますように…』
彼の視界はだんだんとぼやけ、やがて真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます