第27話  ケーキバイキング(女子会)

 ケーキバイキングに来ている。


 白鷹さんが貸切でケーキバイキングができる店を確保したようだ。


 白鷹ママに頼んだとのこと。

鳳ははぶられ、桐花ちゃんは誘われたようだ。 

 萌ちゃんもいる。


 開幕は桐花ちゃんの嬉しい悲鳴から始まった。


「きゃあああああ、萌ちゃん」


 一瞬で桐花ちゃんは萌ちゃんに抱きつく。


「よしよーし」


 桐花ちゃんは歓喜のあまり涙を流していた。


「感謝感激感動ものだよぉ〜」


「はいはい、いつもありがとね」


 萌ちゃんは桐花ちゃんを優しくハグした。

 なんかこう見ると何だかお姉さんに見える。

 

「私死にますかね」


「当分大丈夫だと思うよぉ〜」


 萌ちゃんは仏のような穏やかな微笑を浮かべていた。

 この2人はどうやらいつもの感じらしいことが萌ちゃんの態度から察せた。


「ほらぉー、これがあなたの見たがっていたメイド服よ」


 嬉しいことに白鷹さんがメイド服を着てくださっていた。

 感激のあまり、思考がショートした。

 可愛いすぎる。


「俺ももう死にますかね」


「うふふ、大丈夫よ」


 白鷹さんも嬉しそうだ。

 褒められたら白鷹さんでも嬉しいんだな。


「銀燕さん、わざわざありがとう」


「いえいえ、これぐらいはお安い御用です」


 白鷹さんは萌ちゃんに笑いかける。

 少し前まではバタバタと睨み合っていた2人とは思えない。


「ねぇー、萌ちゃんと同じメイド服を着れて桐花感激!」

 

 桐花ちゃんはぴょんぴょんと跳ねている。

 ふと思ったことがある。


「ねぇ、鳳は?」


「粗大ゴミは捨てておくのが1番です」


「なんかごめんなさい」


 桐花ちゃんに思いきり睨みつけられて、反射的に謝ってしまった。

 少しだけ鳳がかわいそうに感じた。


「どうしてそこまで嫌いなの?」


「逆に嫌わない理由あるんですか?」


 純粋無垢な目で見つめられる。


「なんだ子犬より目が綺麗だ」


「もう呼んだかいあったわ、桐花ちゃん面白すぎるわ」


 白鷹さんの笑いのツボにはハマりまくっているようだ。

 桐花ちゃんは萌ちゃんに抱きつく。


「萌ちゃーんの枕ふかふかー」


「そこは枕じゃなくて、萌の胸ですよぉ〜」


 萌ちゃんが呆れたような目つきで俺を見つめてきた。

「あんまり黒小鳥先輩も桐花を刺激しないでください、全部私に来るんですから」


「揉み揉み」


 桐花ちゃんが萌ちゃんの胸を揉んでいた。


「あんまりにストレス溜まると私脱がされてるから困るんですから」


「あらぁー、とても百合百合して素敵じゃない」


 白鷹さんは楽し気に笑う。


「いえ、暴走した獣を抑えるのは大変なんです」


「獣!」


 俺は思わず声を上げた。

 いいのかそんな言い方をして。

 桐花ちゃんを見ると、単に萌ちゃんに胸にうずくまって幸せそうにしている。

 すごい百合百合してる。

 なんというか、猫みたいだった。

 萌ちゃんはまるで聖母のように優しく包み込んでいるから尚更だ。


「がおがおー」


 獣のように桐花ちゃんが戯れていた。


「もう、桐花ちゃんふざけないの」


「えへへ、萌ちゃん大好き」


「はいはい」


 何この空間。

 萌ちゃんはフルーツタルトを食べていると白鷹さんの方を向いた。

 桐花ちゃんは引き続き、萌ちゃんに甘えまくっている。

 どうやらストレスを溜めてしまったようだ。


「前々から思ってたことありますけどいいですか? 白鷹先輩」


「えー、いいわよ」


 白鷹さんが萌ちゃんの方を穏やかに見る。

 なんかいつの間にか和解しているのが不思議だった。

 ちなみに白鷹さんが食べてるケーキはスフレのチーズケーキ。


「バカですよね。黒小鳥先輩」


「そうね、黒小鳥くんはバカね」


 白鷹さんと萌ちゃんは笑っている。


「えっ! そんな俺は天才だと」


「そうですよ、世の中下には下がいますよ、うざにぃーとか」


 パクパクとショートケーキを食べてる桐花ちゃんがポツリとそう呟いた。


「なぁ、フォローしてるようで俺の心を抉るのをやめてくれないか、桐花ちゃん」


「お兄さん、私も悪い意味では言ってませんよ」


「萌も別に悪い意味では言ってないですよ」


「そうなの?」


 萌ちゃんがにっこり笑った。


「白鷹先輩バカって意味です」


「そう、黒小鳥くんは私バカなの」


 白鷹さんもにっこり笑った。


「世の中には本物のバカもいますけどね、うざにぃとかうざにぃとかうざにぃとか」


「桐花ちゃん、君は一周回って、お兄ちゃんのこと好きなの?」


「黒小鳥先輩♡」


 桐花ちゃんの笑顔を見て、背筋がぞくりとした。


「世の中には言っていいことと悪いことがあるんです」


「なんかごめんなさい」


 白鷹さんと見たホラー映画で出てきたゾンビとかよりもよっぽど怖かった。


「大嫌いですよ」

 桐花ちゃんの目が虚だった。

 いや、本当怖いって。


「あのバカでアホでおたんこなすは何を言ってもこたえませんから大丈夫ですよ? 大嫌いとサブリミナル音源として録音してうざにぃーの好きなCDをこっそり全て混ぜても逆に喜んでましたから」


 それをやる執念が逆にと言いかけたが、もう辞めることにする。

 もう理解しようとする方が無駄だ。


「うざにぃーの弱点なら根掘り葉掘りいっぱい教えてあげますよ」


「一応聞かせてくれ」


「まずは股間を蹴り飛ばせばいいと思います」


「怖いよ、それは鳳じゃなくて男の弱点だよ」


「あと、寝てる間にうざにぃーの悪口を吹き込んだボイスレコーダーを枕元に置き、イヤホンを装着します」


「悪魔の所業だよ、俺はやりたくないよ」


「まぁどっちも試したらおにぃは股間は片手でガードするし、ニコニコしながら起きてきましたけどね」


「あいつ人間じゃねぇー!」


 桐花ちゃんは強く頷く。


「そうです、うざにぃーは人間じゃないんです!」


「多分俺のいった意味と違うよ、きっと」


 俺がそういうと、桐花ちゃんは面倒くさげない表情を浮かべた。


「え、うざにぃを見てると私みたいに蹴飛ばしたくなるのは普通ですよね?」


「多分、桐花ちゃんだけだと思うよ」


「プロレス見て勉強してるんですけど通用したことないです、いい技ないですか?」


「そんなの見てたんだね。膝蹴りをジャンピングでかましたのはどこから?」


「バイクから降りて、キックする人いるじゃないですか?」


「仮面ライダーかよ!」


「本当あなたたち面白いわね」


 白鷹さんは目をキラキラにさせていた。

 こんなに楽しそうなのも珍しい。


「ね? ね? 黒小鳥くん、桐花ちゃん、面白いでしょ、私の妹にしたいわ」


「桐花ちゃんも喜ぶんじゃ?」


 桐花ちゃんは白鷹さんに熱心な眼差しを向ける。


「いいんですか? まりあお姉様」


「いいわよ、ただまりあはやめてね」


「はい、まりあお姉様」


「もういいわ」


 白鷹さんが顔を赤らめている。


「これだとまるで鳳が白鷹さんの嫁さんみたいに聞こえて嫌だなぁ」


『ちがいます』


 二人はもった。


「萌見てて思いましたけど黒小鳥先輩は本当白鷹先輩のこと好きですね」


「うざにぃも諦めればいいのに」


 ぴろりん。

 俺のスマホが鳴った。


「まぁ勝負しようね♡」


 鳳からのメッセージだった。


「これどうすればいいかな?」


 俺は桐花ちゃんに一応見せる。


「カラフルな毒キノコを食べさればいいと思います」


「それやっちゃダメなやつ!」


 この後はまたしても桐花ちゃんが萌ちゃんに甘え出して、白鷹さんが笑うという光景がまたしても繰り返された。

 ケーキを食べなくてもこの甘い空間にいるだけでお腹いっぱいになる俺だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


女子会に黒小鳥くんが混ざってる話でした。


もし、白鷹さん可愛い


萌ちゃん可愛い


桐花ちゃん面白い


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回は再び鳳くんも交えたわちゃわちゃした話です


公開日は8月26日6時頃です。


次回もお楽しみにー。

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