ルイからのプレゼント。

 いいおしりの夢を見た、翌朝。


 俺とルイは、ルイの部屋で朝食を取ることにした。ルイの部屋もこの監禁エリア内にあって、部屋の内部構造は俺の部屋とほぼ同じだった。


 俺は椅子に、ルイはベッドに腰掛ける。待っているとメイド姿になったシルフィさんが、サンドウィッチを運んできてくれた。


「ありがとう、シルフィさん」


「別に」


 お礼を言っても、シルフィさんはかつてのエリカ(伝わるんかコレ)のように冷たかった。俺の顔を一度も見ることなく、運び終えるなり、クールにスタスタ部屋を出て行ってしまった。


「どうしたハヤマ。急に嫌われてるじゃん」


 ルイがニタニタしやがった。


「……いいんだよ」


「ナニしちゃったのかな?」


「ほっといてくれ。……俺たちはこれでよかったんだから」


「??」


「よかったんだよ、これで……」


 ――あぁ、ハードボイルドな気分。


 フッ。


 終わった男女って、感じだな。


 ※始まってもいない



「……それにしてもハヤマ、来たと思ったらすーぐいっちまうんだな。お前も大変だな」


「俺も驚いてるよ。でも2週間だ。帰ってきたらまたよろしく」


「おう」


 ルイはもぐもぐ、頷いた。


「……そういえば昨日、なんでルイはフラン行きに挙手したの?」


 サンドウィッチの包みをベリベリめくりながら聞くと、ルイは視線を床に落とした。


「……どう考えたってお前の方が解読官として有能だろ。何かあった時のために、使えねえ方が行くのが合理的だろ」


 そう答えるメガネの奥の瞳は、険しかった。


「ルイ…………」


「俺はこれでも考えてるんだよ」


 ――ルイはルイなりに、ベルガの国益を考えて挙手したのだろう。それに、護衛として彼の好きなレーナさんがつく。尚更残されたことに不満を感じているに違いない。


「まあ、王妃がああいうなら仕方ない。ハヤマ、マジで気をつけていけよ」


 それでもルイは、不満を俺に向けなかった。それどころか、ビビり散らかしている俺の背をそっと押し出すように、そばにいてくれる。

 

 …………ルイ、いいヤツだな。


 好き。



「ハヤマ、それとなによりさ、レーナに無茶させんなよ」


「あ、うん」


「無茶させたら後でシバく」


「が、がんばるよ」


「頼むぜマジで」


 ――レーナさんに、無茶をさせない。


 俺はサンドウィッチをもぐもぐしながら、釘を刺してくるルイに約束した。


 ……でもな。


 そういえばレーナさんってさ。


 俺が何もしなくても、1人で勝手に無茶するんだよな…………





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「……あ、そうだこれ。俺がこっそり隠してたとっておきの魔石。特別にハヤマにやるよ」


「え、いいの?! ……ていうか魔石隠し持つなよ。職権濫用だろ」


 ※葉山君も隠し持っています


「いいんだよ、一つくらい。有効活用してくれな。ハヤマが無事に帰って来れるよう……祈ってるよ」


 そう言って、ルイが手渡してきた魔石は――


 


――霊体出現魔法 発動呪文:霊よ姿を現したまえ――

 



「…………えっと? なにこれ?」


「霊感のないやつでも見れるようになる魔石だと思う。なんか面白そうだろ?」

 

「面白くねぇよ。戦場で使いたくない魔石ナンバーワンだよ」


「お前の無事を祈ってる……」


「本当に祈ってる??」

 


〈現在の葉山君の所持魔石 ※取得順〉

 ・エロエロにする魔石

 ・バリアを張る魔石

 ・世界を滅亡させる魔石

 ・霊が見れるようになる魔石 ←New!

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