「ん…ん〜…ん？」

目覚めると、ステンドグラスから侵入してくる光が眩しくて咄嗟に手で遮る。

背中が冷たく硬い。確かめてみたら床がコンクリートみたいに硬い材質だった。

頭の上、というか自分の後ろには十字架のような、ところかしこにトゲトゲしいアレンジが加えられていて、なんかかっこいい大きい物体が立っていた。

自分が寝ていたところと対比して見てみると…俺、そこで寝てたら生贄みたいに見えない？

それと少し寒いような気がする。いや、少しじゃないな。氷漬けになりそうな程寒い…。

あ、てか、俺って今…。

自分の体の違和感に気づく。

「…幼女かよ」

身長は140cmくらい、痩せ型、金髪サラサラロング、どこぞのテンプレート幼女だよ。しかも全裸の。

俺、いや、あたしか？　私（わたくし）か？　あたしでいいや。なんでもいいよ。

あたしはまず自分が前世の記憶を保持していることに驚いた。

一個前の前世では30代のおじさんになるまで思い出さなかったと言うのに。

今回は恐らくだけど前世以降の全ての記憶は思い出せる。

一つ目の人生は監禁生活時々兵器扱い、二つ目の人生はうつ患者になってまってヒッソリと過ごしていた中年男性、そして今回は…あたしが金髪幼女だということしかわからない。

それは今世の記憶、金髪幼女がこの歳までに生きてきた記憶がないということだ。

このパターンは想像していなかった…！

今世の記憶はその後思い出そうと頑張ってみたが、何も思い出すことができなかった。

寒くてガクガク震えながら建物の周りを調べてみたけど、何とまぁ中世のかなり洒落たお城であり、人っ子一人誰も居ないということがわかった。

何をすればいいのよ、これから…？

とりあえず、食べ物の確保？

今はお腹空いてないけど、衣食住は人間としての基本！

でも寒すぎ…ちょっとマシになってきたけど。

食が最優先、次に衣だな、住はお城があるしな。

服は見当たらないけど、外は森林よろしく葉っぱ隊になれるし、後回しにしよう。

…肌着くらいは早く欲しい…。切に願うのだった。

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