【連載小説】気弱な私の日常
遠藤良二
第1章 1話 彼氏にフラれた
私は一晩中泣いた。理由は彼氏にフラれて。彼に好きな人ができたみたい。私のことは必要なくなったんだ。そう思うと悲しくて悲しくていたたまれない。
翌朝、目を真っ赤にして出勤すると同僚に言われた。
「
出勤前、目を冷やしたがあまり効果がなかったようだ。
「……実はさ、彼氏にフラれちゃってね、……一晩中泣いてた」
「え! そうだったんだ……。それはつらいね」
思い返すとまた泣きたくなってきた。仕事とプライベートを公私混同しちゃだめだ。そう思うけれど、涙が溢れてくる。私は慌ててトイレに駆け込んだ。目をハンカチで抑えると、メイクが落ちてしまった。ロッカーに行き、目だけメイクした。でも、抑えようとしても涙は出てくる。今日、仕事できるかな……。不意に不安がよぎる。同僚の
「柿谷さん、今日カラオケに行かない? フラれた腹いせに」
「あ、彼氏に呼ばれなければ行けるよ」
「わかったー」
彼氏に呼ばれなければかー、私の方が先に声をかけたのに。言い方は悪いが、柿谷さんは彼氏に支配されていると思う。自分の意志を言わないのだろうか。好きだから、嫌われたくないから、彼氏の言いなりになるのかな。それはさすがに訊けないけれど。私は逆に自分の意見をたくさん言ってたな。だから私以外の女を好きになったのかもしれない。わからないけれど。 私のフルネームは、
私と柿谷さんは高校を卒業してから入社した。勤続年数7年目。彼女がいたから7年も続けられたのかもしれない。だから私は柿谷さんに感謝していいる。いろいろと助けられたこともあるし。彼女は強い女だと思う。上司の部長や社長にも間違ったことを言われたら食ってかかる。私だったら彼らには反発できない。そこまで気が強くなくて。
お昼休みはいつも柿谷さんと一緒に食べている。私も彼女もお弁当を持ってきている。私に至っては、お母さんに作ってもらってるけれど。それに引き換え柿谷さんは一人暮らしをし、自分でお弁当を作っているらしい。凄いなぁと思う。私だったらもし、一人暮らしをしたら、自分の部屋のこともお弁当も作れないと思う。なぜか、疲れやすくて。私なりに頑張ってはいるんだけれど。
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