近いのに遠いあなた
凪
第1話 兼部の決意
私は、元々とある部活に所属しており、1年生の後期から部長を務めることとなった。きっかけは、元部長の退部だった。実際私は小学生の頃にそのとある部活をその学校に作りたいと思っていたから、好都合であった。
だが、現実は甘くなかった。部長としての経験が浅い私は失敗してばかり。おまけに私は人をまとめるのが比較的苦手な人間だ。無論、リーダーに向いているような人物ではない。
そこで私は何を思ったのか、ダンス部にそろそろ入ろうかなと思っていた。そもそも、入学当時、その部活とダンス部とで兼部をしようと考えていた。つまり、決意が遅くなっただけに過ぎない。
しかも当時は好都合だと思っていた、とある部活の顧問はダンス部の顧問でもあったため、相談することが可能だった。
私は、ダイエット目的でダンス部に入ることを決意しようとしていた。そのとき、その顧問は、ダンス部の別の顧問にも相談してみてと言われたので、相談してみることにした。
その先生はとても優しく、快く受け入れてくれた。私は元々集団が苦手で、そういう環境は自然と避けていたのだが、当時のダンス部には部員が片手で収まるほどしかいなかったので、とてもよいと思った。
でも、ここで問題は発生した。そのとき私はまだ、完全に部活に入ることは決めてなかった。
何が問題なのか。それは、部長である私と、副部長、会計と顧問とで話し合いをする場でまだ決めていなかったダンス部への入部を、あたかも私がもう入る前提でいるかのように、他二人の代表に公表してしまったのだ。
公表されてしまっては、私は入らざるを得ない。そして、翌日に私は入部届を出し、初めての部員との顔合わせ。
最初は、同級生で比較的仲の良かった早坂莉子ちゃんがいてくれたので、そこまで気まずい時間を過ごすことはなかった。
全員が同学年だからか、謎に自己紹介もさほどせず、ダンス部の練習へと早速移った。
ここで少し余談なのだが、私というものはアルバイトでもそうなのだが、初めてのことに対して私への対応をしっかりとなされないことが多い。アルバイトの研修では、本来なら研修中という名札をつけるものだが、研修を担当してくださる方からもらえなかったり、割と放置されちゃったり。しかも悲しいことに、次からくる新人の子には私への対応で学んだのかもっと丁寧な対応が施されるのだ。
私が何を言いたいか。それをこのダンス部でもされてしまったのだ。首のアイソレーションのやり方は教わったものの、それ以外はもう空気が「見て学べ」と言わんばかりだった。しかも、人見知りの私は、ここがわからないですと言えないので、本当に見て学ぶしかなかった。
とある日。あれは、冬も寒くなってきた頃だろうか。莉子ちゃんが来なくなってしまった。あの子はよく体調やらズル休みやらを繰り返す子だったからそういう系だろうと思っていたが、一向に来る気配がない。びっくりしたのが、顧問もそこまで気にしていない様子だった。
この日から、そこまで親しくない部長・岩田さんと二人っきりで部活をすることとなってしまった。
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